医療一般|page:203

反復性片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性~日韓共同第III相試験

 片頭痛の約90%を占める反復性片頭痛に対する予防療法は、現在の利用可能な治療では十分でない。片頭痛の病因に関連するカルシトニン遺伝子関連ペプチド経路を標的とするモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、大規模な国際第III相臨床試験において、慢性および反復性片頭痛に対して効果および忍容性が確認されている。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人および韓国人の反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性について、評価を行った。Headache誌2021年7月号の報告。

広範囲の疼痛と認知症や脳卒中リスク~フラミンガム研究

 慢性疼痛は、認知機能低下の初期に認められる指標である可能性があるといわれているが、広範囲の疼痛と認知機能低下や脳卒中リスクとの関連をシステマティックに調査した研究は、これまであまりなかった。中国・重慶医科大学付属第一医院のKanran Wang氏らは、慢性疼痛の一般的なサブタイプである広範囲の疼痛とその後の認知症、アルツハイマー型認知症および脳卒中との関連を調査した。Regional Anesthesia and Pain Medicine誌オンライン版2021年8月16日号の報告。  米国コミュニティベースのフラミンガム心臓研究のデータを用いてレトロスペクティブコホート研究を実施した。疼痛の状態は、1990~94年の単一時点で評価した。広範囲の疼痛は、フラミンガム心臓研究の疼痛ホムンクルスに基づき決定した。ベースライン時に認知症でなかった人を対象に、中央値で10年間(四分位範囲:6~13年)フォローアップを行った。広範囲の疼痛と認知症、アルツハイマー型認知症、脳卒中との関連を調査するため、比例ハザードモデルを用いた。

いよいよ総裁選!医師が希望する次期総裁は?…会員1,000人アンケート

 9月29日、自民党総裁選の開票が行われる。出馬する4氏のうち次期総裁になって欲しい人物や、次期総裁に期待する政策について、会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年9月22日実施)。  「出馬を表明した4氏のうち、次の総裁になってほしいのは誰ですか?」との問いには河野 太郎氏(行政改革担当大臣)が54%の支持を集めトップで、続く21%の高市 早苗氏(前総務相)に倍以上の差をつけた。岸田 文雄氏(前政務調査会長)は高市氏と僅差の20%、野田 聖子氏(幹事長代行)は5%と伸び悩んだ。

切除不能のStageIII NSCLCに対するCRT後のデュルバルマブはリアルワールドでも生存改善(PACIFIC-R)/ESMO2021

 化学放射線療法(CRT)後の切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)へのデュルバルマブ地固め療法のリアルワールド研究が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress2021)で発表された。中間解析の結果、リアルワールドでも、この患者集団におけるデュルバルマブの有用性が示された。  このレジメンを評価する第III相PACIFIC試験は、当初から良好な成績を示しており、5年解析でも全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)とも有意に改善している

早期乳がんの術後トラスツズマブは6ヵ月で十分か?~メタ解析/ESMO2021

 HER2陽性早期乳がん患者に対するトラスツズマブ単剤での術後補助療法の無浸潤疾患生存期間(iDFS)について、これまでの無作為化非劣性試験の個々の患者データを用いてメタ解析を実施した結果、標準である12ヵ月投与に対して6ヵ月投与での非劣性が示された。英国・Cambridge University Hospitals NHS Foundation TrustのHelena M. Earl氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

統合失調症患者の早期再発に関連する要因

 統合失調症は、再発を繰り返して進行する慢性的な精神疾患である。再発リスクに影響を及ぼす可能性のある多くの因子を特定することは、再発を予防するうえで重要である。トルコ・Gulhane Training and Research HospitalのIbrahim Gundogmus氏らは、統合失調症患者の早期再発率とそれに関連する可能性のあるリスク因子を特定するため、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年8月19日号の報告。  統合失調症患者308例を対象に、自然主義的観察デザインのプロスペクティブ研究を実施した。早期再発のカットオフ値は、1年と定義した。

トラスツズマブ デルクステカン、HER2変異NSCLCに有望(DESTINY-Lung01)/ESMO2021

 HER2抗体複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)による、既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する第II相試験DESTINY-Lung01の初回解析が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表され、有効な成績が示された。  NSCLCにおけるHER2遺伝子変異は約3%と多くはない。標的治療薬は承認されておらず、検査は行われない。治療には化学療法が使われるが、効果は限定的である。  そのようななか、第II相DESTINY-Lung01試験の中間解析で良好な成績を示したことから、T-DXdに新たな選択肢としての期待がかかる。  DESTINY-Lung01試験は多施設国際2コホート研究。

TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ上乗せ、CPS≧10でOS改善(KEYNOTE-355)/ESMO2021

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験におけるOSの最終解析結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。

初期アルツハイマー病に対するaducanumabの長期的ベネフィット

 アルツハイマー病は、慢性的かつ進行性の神経変性疾患であり、患者および介護者に対して大きな負担が強いられる。aducanumabは、アルツハイマー病の病理に作用する初めての治療薬として米国FDAより承認された薬剤であり、アルツハイマー病の病態生理学的特徴である脳内のアミロイドプラーク減少が期待できる。第III相臨床試験であるEMERGE試験で、aducanumabはアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度アルツハイマー型認知症患者における臨床的な進行抑制作用を示し、アミロイド病理に対する作用が確認されている。米国・RTI Health SolutionsのWilliam L. Herring氏らは、初期アルツハイマー病患者に対するaducanumabの長期的ベネフィットを評価するため、EMERGE試験の有効性データに基づき検討を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2021年8月23日号の報告。

EGFR exon20挿入変異非小細胞肺がんへのmobocertinibをFDAが迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年9月15日、プラチナベース化学療法で進行した、EGFR exon20挿入変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、mobocertinibを迅速承認した。  mobocertinibは、EGFRexon20挿入変異を標的とした、新たなTKIである。  今回の承認は、上記患者を対象とした国際非ランダム化非盲検マルチコホート試験(NCT02716116)に基づいたもの。  同試験では、プラチナベース化学療法で疾患進行した114例の患者に、mobocertinib160mg/日を疾患進行または忍容できない毒性の発現まで投与し、有効性を評価した。

閉経後乳がん術後療法、タモキシフェン後のレトロゾール延長の効果は?(GIM4)/ESMO2021

 閉経後のホルモン受容体(HR)陽性乳がんの術後補助療法において、タモキシフェン2〜3年間投与後のレトロゾールの投与期間について、標準の2〜3年間に比べて5年間のほうが無浸潤疾患生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を有意に改善したことが、イタリア・Gruppo Italiano Mammella(GIM)によるGIM4試験で示された。IRCCS Ospedale Policlinico San MartinoのLucia Del Mastro氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。なお、この結果はLancet Oncology誌オンライン版2021年9月17日号に同時掲載された。

大腸がんガイドライン改訂案に関するパブリックコメント募集/大腸癌研究会

 大腸癌研究会は、治療ガイドライン改訂案についてのパブリックコメント募集を開始した。  募集しているのは「大腸癌治療ガイドライン医師用」2022年版に関するパブリックコメントで、大腸癌研究会のホームページ上に改訂案を公開している。  今回の改訂は、「薬物療法」と「Stage IV大腸癌の治療方針」に限定している。

イメグリミンが2型糖尿病治療の新薬として発売/大日本住友製薬・POXEL

 POXEL社および提携先の大日本住友製薬 株式会社は、2型糖尿病を適応症とする治療薬イメグリミン塩酸塩(商品名:ツイミーグ錠 500mg)を2021年9月16日に発売した。  イメグリミンは、2型糖尿病を治療するための、独自の2つの作用機序を有するファーストインクラスの薬剤。単剤および他の血糖降下療法レジメンへの追加療法として承認されている。 両社が共同で実施した “TIMES”(Trials of IMeglimin for Efficacy and Safety)プログラムを含む多数の前臨床試験および臨床試験の良好な結果に基づいて、今年6月に厚生労働省から承認されたことを受け 、今回の発売となった。

アテゾリズマブの術後補助療法の有効性は症例タイプによって変わるか(IMpower010)/WCLC2021

 IMpower010試験で示された、アテゾリズマブによるStage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の有効性が、大きな反響を呼んでいる。このアテゾリズマブの術後補助療法の成績は症例タイプによって違いはあるのか、探索的研究が世界肺癌学会(WCLC2021)で発表された。  その結果、ほとんどの症例タイプにおいて、アテゾリズマブの術後補助療法の追加により、無病生存期間(DFS)が改善した。

長期的な血圧変動と認知症リスク~メタ解析

 高血圧は、認知症や認知機能障害の重要なリスク因子であると考えられている。しかし、血圧レベルに関係なく、血圧変動が認知症や認知機能低下に影響を及ぼしている可能性が示唆されている。香港中文大学のPingping Jia氏らは、血圧変動が、認知症や認知機能障害の独立したリスク因子であるかについて、調査を行った。Hypertension誌オンライン版2021年8月15日号の報告。  2021年5月までに公表された文献をMEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、Web of Scienceより検索した。認知症または認知機能障害リスクの予測因子として、血圧変動を用いて評価を行った縦断的研究を分析対象に含めた。認知症または認知機能障害リスクに対する血圧変動の影響を評価するため、メタ解析およびメタ回帰分析を用いた。

交互接種・コアリング防止など追記、新型コロナ予防接種の手引き/厚労省

 厚生労働省は、2021年9月21日に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(4.1版)」を公開した。  この手引きは、2020(令和2)年12月17日に初版が公開され、逐次新しい知見やエビデンスを追加し、ほぼ毎月改訂を重ねてきた。  今回の主な改訂点は下記の通りである。 【第3章 3(10):妊娠中の者等への接種体制の確保について追記】 妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に妊娠後期は重症化しやすく、早産のリスクも高まるとされている。妊娠中の者及び配偶者等(以下「妊娠中の者等」という)が希望する場合には、できるだけ早期に、円滑に新型コロナワクチンの接種を受けることができるよう、例えば、予約やキャンセル待ちに当たって妊娠中の者等を可能な範囲で優先する、現時点で妊娠中の者等が年齢等によって必ずしも接種予約の対象となっていない場合には妊娠中の者等を接種予約の対象とする、といった方法により、特段の配慮をすること。

ポルノ依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連

 男性がポルノ関連情報に触れる機会は、過去10年間で大きく変化しており、インターネットポルノ(IP)依存症やそれに関連する性機能障害の有症率は増加している。DSM-Vのコンセンサスや正式な認識が欠如していることにより、IP依存症の定義は明らかとなっていない。現在得られているIP依存症や性機能障害に関連するエビデンスの多くは、消費者、ケーススタディ、定性研究からの情報に限られている。経験的な測定が用いられることにより、研究者は、性的反応に関するさまざまなアウトカムを発見したが、これらのデータは、IPの利用と自己認識しているIP依存症との混同、性機能障害の臨床診断による性的反応の正常な変動と関連している可能性がある。そのため、IPの利用や自己認識しているIP依存症の両方が男性の性機能に及ぼす影響を評価するためには、さらなる経験的な解明が求められる。

HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021

 トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を発表した。  DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサンで以前に治療されたHER2+mBC患者におけるT-DXdとT-DM1の有効性と安全性を比較した多施設共同非盲検無作為化第III相試験。

デュルバルマブ+tremelimumab+化学療法が、NSCLC1次治療の生存を改善(POSEIDON)/WCLC2021

 Stage IVの非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用、および、同併用への抗CTLA-4抗体tremelimumabの上乗せの評価結果が世界肺癌学会(WCLC2021)で発表された。  試験は無作為オープンラベル国際第III相POSEIDON試験である。その結果、デュルバルマブ、tremelimumabと化学療法の併用が、統計学的に有意に生存を延長したことが示された。

ストレスと認知症や軽度認知障害リスクとの関連~メタ解析

 多くの研究において、ストレスと認知症リスクとの関連が調査されてきたが、ストレス評価の測定尺度にばらつきがあるため、調査結果に一貫性が認められてない。オーストラリア・メルボルン大学のKatherine H. Franks氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、成人の心理的ストレス(神経症、ストレスの大きいライフイベント、認知されたストレスなど)と認知症および軽度認知障害のリスクとの関連を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年8月3日号の報告。