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統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

 前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方で吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者における、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し検討した。その結果、統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。

患者自身による「きめ細やかな基礎インスリンの用量調節」がカギ!

 2013年7月9日(火)、サノフィ株式会社による「2型糖尿病の最適な血糖コントロール」をテーマとしたメディアセミナーが開催された。演者の東京医科大学内科学第三講座 主任教授の小田原 雅人氏は、6月21日~25日に米国シカゴで開催された米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会において発表されたATLAS(Asian Treat to target Lantus Study)の意義について語り、「血糖コントロールが不十分な患者自身が基礎インスリンの用量調節を行った場合でも、良好な血糖コントロールが得られることが明らかになった」と述べた。

複合性局所疼痛症候群患者では広範痛についても評価が必要

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者では、10%を超える患者が広範痛(widespread pain)を有していることが明らかとなった。英国・エンツリー大学病院のThomas Birley氏らによる後ろ向き研究からの報告で、結果を踏まえて著者は、「CRPS患者の臨床評価においては日常的に、さらなる痛みについて問診をすることが支持される」とまとめている。Pain Practice誌オンライン版2013年6月24日号の掲載報告。

アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

 カナダ・ダルハウジ大学のAutumn R. Meek氏らは、ヒト脳内に存在する内因性分子の特定を試み、それらのβ-アミロイド領域への親和性ならびにβ-アミロイド凝集抑制作用を検討した。その結果、L-PSと3-HAAという2種類の内因性脳内分子を特定し、それらがβ-アミロイド領域に結合し、凝集を抑制することを報告した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2013年7月号の掲載報告。

慢性リンパ性白血病に対して国内初の分子標的薬

 白血病の1つである慢性リンパ性白血病(CLL)は、わが国の患者数が約2,000人と推計されている希少疾病である。治療はフルダラビンやシクロホスファミドを用いた化学療法が第一選択であるが、これらに効果がない場合や再発した場合の新たな治療選択肢として、分子標的薬であるアーゼラ(一般名:オファツムマブ)が今年5月24日に発売された(適応は「再発または難治性のCD20陽性のCLL」)。

アトピー性皮膚炎児、喘息リスクは全員が一律に高いわけではない

 アトピー性皮膚炎と喘息との関連について、アレルゲンを多く有する子どものほうが喘息リスクが有意に高いことが明らかにされた。英国・Microsoft Research CambridgeのN. Lazic氏らが機械的に任意に抽出した2つの出生コホートを分析して報告した。従来定義の小児アトピー性皮膚炎患児のうち、喘息リスクが高いと判明したのは、3分の1以下であったという。アトピー性皮膚炎は喘息との関連が強いリスク因子の一つだが、その関連性はほとんど明らかになっていなかった。

変形性脊椎関節症による慢性腰痛に対するグルコサミンの効果は確立されていない

 変形性脊椎関節症による慢性腰痛患者の症状や機能に対する、グルコサミン経口投与の効果を確認するシステマティックレビューを、英国・イーストアングリア大学のReena Sodha氏らが行った。既存の報告は、データが不十分かつ研究の質が低いため、慢性腰痛患者に対し経口グルコサミンは臨床的に有用であるともないとも証明できなかった。BMJ Open誌オンライン版6月14日号の掲載報告。

英国民、新硬貨発行でニッケルアレルギーが増大?

 英国では2013年に新硬貨が発行となった。このうち5ペンスと10ペンスは従来、銅ニッケルであったものが、鉄製でニッケルメッキを施したものに変更されたという。スウェーデン・カロリンスカ環境医学研究所のAnneli Julander氏らは、新たな鉄ニッケルメッキ硬貨と従来の銅ニッケル硬貨のアレルギーリスクを比較する検討を行った。その結果、新硬貨のニッケル曝露は従来硬貨の4倍であるなど、アレルギーリスクの増大が起きていることを報告した。Contact Dermatitis誌2013年6月号の掲載報告。

自然災害後は精神的ストレスで腰痛を発症

 急性腰痛から慢性腰痛への移行は、身体的および心理的要因に影響される。大規模災害後において、これらの要因を同定することは、命に関わる腰痛を識別し、治療するうえで重要となる。イタリア・ラクイラ大学のChiara Angeletti氏らの調査によれば、自然災害によって誘発された精神的ストレスが交感神経活性を高め、末梢神経や中枢神経系を介してさらに痛覚が増幅され、非特異的腰痛を引き起こしたり、疼痛が慢性化する可能性があることが示唆された。Pain Practice誌オンライン版2013年6月14日号の掲載報告。

今、学ぶ 『小児1型糖尿病の実態』

 2013年7月2日(火)都内にて、「小児1型糖尿病の実態」をテーマにセミナーが開かれた(サノフィ株式会社開催)。演者である駿河台日本大学病院の浦上 達彦氏(小児科 准教授)は、インスリンポンプやBBTが治療の主流になっている現状に触れたうえで、「子どもでも、ライフスタイルや血糖値の動きを見ながら、患者さんに合わせて注射法を選択する時代がきている」と述べた。

リウマチの異常歩行をスマホで評価できる?

 関節リウマチ(RA)患者において、歩行パターンの乱れは深刻な問題である。本研究はRA患者の歩行パターン測定におけるスマートフォンの有用性を検討するために、京都大学の山田 実氏らにより行われた。本研究は、歩行パターンの計測にスマートフォンを用いた初の研究となる。Rheumatology international誌2012年12月号の掲載報告。

たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

 スペイン・ミシェル・セルヴェ大学病院のTirso Ventura氏らは、年齢と誕生日を尋ねる2つの単純な質問が、臨床において概して認知症をルールアウトするのに有効であるという仮説について検証した。その結果、特異度および陰性適中率がほぼ100%近かったことが明らかになった。感度は約61%、陽性適中率は約45%であった。これらの結果を踏まえて著者は、「この単純な質問テストは現在までに報告された最善の方法であり、認知症のルールアウトに用いることが普遍化されるかもしれない」と述べている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2013年6月15日号の掲載報告。

韓国人女性の髪と頭皮の変化の特性、日本やその他の国とは一部で異なる可能性

 韓国・Advanced Hair Research LaboratoryのS.N. Kim氏らは、韓国人女性の髪と頭皮の加齢に伴う変化の特性について調べた。その結果、40代以降に多様に変化する特性が示され、他国の女性の髪の変化とは一部異なる可能性が示されたことを報告した。これまでに、白人女性および日本人女性において、年齢が髪の性質に与える影響については報告があったが、韓国人女性について調べた報告はなかった。British Journal of Dermatology誌2013年6月号の掲載報告。

腰部硬膜外ステロイド注射によって椎体骨折のリスクが増加

 腰部硬膜外ステロイド注射(LESI)は神経根障害や脊髄神経の圧迫から生じる神経性跛行の治療に用いられるが、副腎皮質ステロイドは骨形成を低下し骨吸収を促進することで骨強度に悪影響を及ぼすことが示唆されている。米国・ヘンリーフォード ウェストブルームフィールド病院のShlomo Mandel氏らは、後ろ向きコホート研究において、LESIが椎体骨折の増加と関連していることを明らかにした。

難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は?

 田中脳神経外科クリニック(鹿児島)の田中 滋也氏らは、難治性部分発作てんかんの治療にレベチラセタム(LEV、商品名:イーケプラ)を追加した場合の有用性を検討することを目的に観察研究を行った。その結果、LEVの追加は安全性に大きな影響を及ぼすことなく、有意な効果が得られることを報告した。結果を踏まえて著者は「難治性部分発作を有する患者に対して、本治療レジメンは推奨できると考えられる」と結論している。Epileptic Disorders誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。

日焼け止め塗布は自動車運転中も大切

 米国・ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のDennis P. Kim氏らは、皮膚がん患者の自動車運転中のサンプロテクトについて評価した。その結果、ほとんどの患者の認識が薄かったことを報告し、「皮膚がん予防運動について、とくに運転中の日光曝露に主眼を置いた修正が必要である」と提言した。これまで、運転中のサンプロテクトに関する認識や具体的行動について調べた患者データはなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年6月号の掲載報告。