慢性腰痛に抗うつ薬は本当に有効か?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/05

 

 これまで、慢性腰痛に対する抗うつ薬の治療効果を検討したさまざまな無作為化比較試験(RCT)やメタアナリシスが報告されてきた。そのなかには有効性が示されているものもあったが、カナダ・Fraser Health Authority のOwen D. Williamson氏らは、こうした報告についてナラティブレビューを行った。その結果、従来の研究ならびにメタアナリシスで用いられた併合解析法は多様であり、抗うつ薬は慢性腰痛に対し鎮痛効果を発揮するというシステマティックレビューの結果については、慎重に解釈する必要があると報告。抗うつ薬の鎮痛効果を検証するためには、最近のデュロキセチン(商品名:サインバルタ)の研究のように、適切に設計され検出力のある研究が望ましいとまとめている。PAIN Practice誌2014年2月号(オンライン版2013年10月17日号)の掲載報告。

 研究グループは、慢性腰痛に対するデュロキセチンの鎮痛効果をほかの抗うつ薬と比較する目的で、デュロキセチンのプラセボ対照RCT 3件と、各種抗うつ薬のRCT 13件(計11剤)ならびにシステマティックレビュー5報告の結果を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・サンプルサイズ、治療期間および解析方法は研究間で異なっていた。
・システマティックレビュー5報告にはそれぞれ5~9件のRCTが含まれ、3報告では抗うつ薬の鎮痛効果が認められたが、ほかの2報告では認められなかった。
・全体として抗うつ薬治療群の簡易疼痛質問票(BPI)平均スコア最小二乗平均差(標準誤差)は、-0.7(0.15)(p<0.0001)であった 。
・有効率は、プラセボよりデュロキセチンが有意に大きかった。

(ケアネット)