医療一般|page:123

第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会の開催について【ご案内】

 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会は、5月13~14日に『第5回 AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会』を開催する。今回は、「Co-Creation ―対話からはじめる共創―」とし、長期的健康管理や身体活動性の維持、新規就労など社会とのつながりにおける課題、AYA世代と家族、終末期医療などAYA世代のがん医療を取り巻く多様な課題について取り上げる。大会長の渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)は、「この学術集会を通して、当事者と家族・医療者・支援者それぞれが向き合いながら、ときには立場を超えた対話をすることに挑戦したい」としている。  本研究会は、思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult,:AYA)のがん領域の学術活動、教育活動、社会啓発および人材育成などを行うことにより、わが国の思春期・若年成人がん領域における医療と支援の向上に寄与することを目的としている。

胃がん患者向けGLが19年ぶり改訂、2023年3月発表のエビデンスも反映

 2023年3月に「患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版」が発刊された。2004年版以来、19年ぶりの改訂となる。そこで、金原出版は2023年3月31日に、本ガイドラインの作成委員長を務めた寺島 雅典氏(静岡県立静岡がんセンター胃外科/副院長)を講師に迎え「胃がんの標準治療の今-開発の歴史と今後確立が予想されるエビデンス」をテーマにセミナーを開催した。  胃がんについては、2004年版を最後に患者さん向けのガイドラインが作成されていなかった。しかし、寺島氏は「患者さんがインターネットなどで目にする情報には不適切なものが多く、正しい情報にたどりつけない方も多い」と言う。

乳児期アトピーの“早期治療介入”、鶏卵アレルギーの発症予防に/国立成育医療研究センター

 国立成育医療研究センターの大矢幸弘氏らの研究グループは、2023年4月10日のプレスリリースで、食物アレルギーの発症リスクが高い、乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎の乳児に対する早期の積極的治療が食物アレルギーの発症を予防することを世界で初めて実証したと発表した。  大矢氏らは、食物アレルギー予防のためにアトピー性皮膚炎の乳児に対して早期に治療を行う臨床研究「アトピー性皮膚炎への早期介入による食物アレルギー発症予防研究/多施設共同評価者盲検ランダム化介入平行群間比較試験:PACI(パッチー) Study(スタディ)」を実施し、研究対象となるアトピー性皮膚炎の生後7週~13週の乳児を、標準的な治療を行う群と、ステロイド外用薬などを使った積極的な治療を行う群に分け、生後28 週時点で鶏卵アレルギーがあるかどうかを調べた。

片頭痛患者の血清尿酸値は痛みの強さに影響しているのか

 プリン体の最終代謝産物である尿酸は、抗酸化物質として作用し、酸化ストレスと関連している。血清尿酸(SUA)は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患の病因と関連している可能性が報告されている。しかし、片頭痛とSUAレベルとの関連を評価した研究は、これまでほとんどなかった。トルコ・Istanbul Basaksehir Cam ve Sakura City HospitalのYavuz Altunkaynak氏らは、片頭痛患者の痛みの特徴とSUAレベルとの関係を調査し、頭痛発作中および頭痛がない期間における片頭痛患者のSUAレベルを対照群と比較検討した。その結果、片頭痛患者の発作中と発作がない期間のSUAレベルの差は、痛みの強さと正の相関を示していることが報告された。Medicine誌2023年2月3日号の報告。

糖尿病患者に対する血糖・血圧・脂質低下薬処方中断の実態

 糖尿病患者への血糖降下薬、降圧薬、脂質低下薬の長期的な継続使用に関する研究結果が報告され、それらの薬剤の処方が開始された後に中断される患者が少なくないという実態が明らかになった。米エモリー大学のPuneet Kaur Chehal氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に1月30日掲載された。脂質低下薬については患者の43.3%で、処方の中断が認められたという。  近年行われた大規模スタディによって、糖尿病の血管合併症の発症・進展抑止には、血糖値だけでなく、血圧や血清脂質も厳格に管理することが重要であることが明らかになった。そのため、糖尿病患者に対しては血糖降下薬だけでなく、降圧薬や脂質低下薬など、複数の薬剤が必要とされることが増えてきている。

認知症のリスクを下げる7種類の習慣

 心臓に良いことは、脳にも良い――。これは、心臓の健康を維持するための7種類の習慣が、認知症の発症リスクも抑制する可能性のあることを示した、新しい研究からのメッセージだ。この研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のPamela Rist氏らによって行われ、第75回米国神経学会(AAN2023、4月22~27日、ボストン)での発表に先立ち、研究要旨が2月27日にオンラインで公開された。  この研究で認知症リスク抑制効果が評価された7項目のリストには、より多く体を動かすこと、より健康的な食事を取ること、適正体重を維持すること、タバコを吸わないこと、血圧とコレステロールおよび血糖値を良好に保つことが含まれている。これらは米国心臓協会(AHA)が、心臓の健康維持のために提唱していた「Life's Simple 7」と呼ばれるもの。なお、現在はこれらに加えて「睡眠」も留意すべき事柄とされ、「Life's Essential 8」と呼ばれている。

ICI肺臓炎に対するプレドニゾロン6週間治療/日本臨床腫瘍学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連肺臓炎(irP)に対するプレドニゾロン6週間漸減療法の効果が示された。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)における、浜松医科大学の柄山 正人氏の発表。  irPはICIの重篤な有害事象(AE)であり、がん治療の経過にも大きく影響する。irPの標準治療は全身性ステロイドの投与だが、前向き試験は行われておらず、投与量・期間は明らかになっていない。そのような中、柄山氏らは、irPに対するプレドニゾロン6週間漸減療法の有効性と安全性を評価する前向き多施設単群第II相試験を行った。

オレキシン受容体拮抗薬を使用している日本人不眠症患者の特徴

 日本におけるオレキシン受容体拮抗薬(ORA)の処方パターンに関して、臨床現場のリアルワールドデータを調査した研究はほとんどない。MSDの奥田 尚紀氏らは、日本の不眠症患者へのORA処方に関連する因子を特定する初の調査を実施し、睡眠薬による治療歴の有無により、ORA処方に関連する因子は異なることを明らかにした。著者らは、「本調査結果は、ORAを用いた適切な不眠症治療の指針となりうる可能性がある」としている。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年3月3日号の報告。

なぜジャンクフードを食べたくなる?おやつに意外な効果も?

 高脂肪・高糖質の食品には中毒性がある。高脂肪・高糖質の食事は、エネルギーの過剰摂取と体重増加をもたらすが、その根底にあるメカニズムは明らかになっていない。また、肥満が脳内ドパミン神経系の変化と関連することが知られているが、これらの変化が、「太りやすい体質にしているのか」「肥満に伴って2次的に生じるのか」「欧米型の食事に直接起因するのか」は解明されていない。そこで、ドイツ・マックスプランク代謝研究所のSharmili Edwin Thanarajah氏らは、正常体重の健康成人を対象に、通常の食事に加えて高脂肪・高糖質のヨーグルトまたは低脂肪・低糖質のヨーグルトを8週間摂取させる無作為化比較試験を実施した。その結果、高脂肪・高糖質のヨーグルトの摂取は、低脂肪食品への嗜好性を低下させたが、高脂肪・高糖質のミルクセーキに対する脳の反応を増加させた。さらに、食事とはまったく関係のない連合学習能力も向上させた。これらの変化は、体重や代謝パラメータとは関係がなかった。本研究結果は、Cell Metabolism誌4月4日号に掲載された。

田舎生活は人々を幸せにする?

 都会の喧騒を離れて田舎に移り住むことは、穏やかで幸福な暮らしをもたらすように思うかもしれないが、必ずしもそうではないようだ。米ヒューストン大学心理学分野のOlivia Atherton氏らが実施した研究で、農村部に住んでいる人は都会に住んでいる人よりも、生活に対する満足度が高いわけではなく、また、生きていく上でより多くの目的や意味を見出しているわけでもないことが示された。さらにこれらの人では都会の人よりも、不安や抑うつを抱えやすく、神経症的傾向も強いことも示唆されたという。この研究結果は、「Journal of Personality」に2月1日掲載された。

地中海式のライフスタイルは食事以外にも健康に良い

 地中海式ダイエット(全粒穀物、果物、野菜、魚、健康的な油脂類を中心とする食事)は心臓の健康に多くのベネフィットをもたらすことが知られている。しかし、例えば、家族との食事や午睡、地域社会との強い絆などの食事以外の地中海式のライフスタイルも健康に良いのだろうか? 地中海から1,500マイル(約2,400km)以上離れた英国に住む中高年に、食事も含めた地中海式のライフスタイルを取り入れてもらったところ、がんや心血管疾患、その他の原因で死亡するリスクが低減することが明らかになった。

BA.4/5対応2価ワクチン、初回接種での使用を申請/ファイザー

 ファイザーとビオンテックは4月11日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の2価ワクチン「コミナティRTU筋注(起源株/オミクロン株BA.4-5)」について、生後6ヵ月~4歳における初回免疫と追加免疫、および5歳以上における初回免疫での使用を可能とするための承認事項の一部変更を厚生労働省に申請したことを発表した。  本剤は現在、国内において5歳以上の追加免疫での使用のみ承認されている。なお、米国においては、5歳以上の追加免疫での使用に加え、2022年12月8日に生後6ヵ月~4歳における初回免疫の3回目としての使用が、2023年3月15日には同年齢層における1回の追加免疫(初回免疫を1価ワクチンで3回接種完了した者が対象)が米国食品医薬品局(FDA)より承認されている。

アリピプラゾールの自律神経への影響、長時間作用型注射剤と経口剤の比較

 非定型抗精神病薬は、自律神経系(ANS)の活動にさまざまな影響を及ぼす。中でも、経口の抗精神病薬であるアリピプラゾールは、ANS機能不全と関連しているといわれている。長時間作用型注射剤(LAI)は統合失調症の主な治療オプションであるが、ANS活性に対するLAIと経口剤との違いは、これまでよくわかっていなかった。横浜市立大学の服部 早紀氏らは、統合失調症におけるアリピプラゾールの経口剤と月1回LAI(AOM)のANS活性への影響を比較検討した。その結果、AOMによる単剤治療は、経口アリピプラゾールと比較し、交感神経系などの副作用リスクが低いことを報告した。BMC Psychiatry誌2023年3月3日号の報告。

不健康なプラントベース食では死亡、がん、CVDリスクが増大

 “健康的”なプラントベース食(植物由来の食品)の摂取が多いほど、死亡、がん、心血管疾患のリスクが低くなるが、“不健康”なプラントベース食ばかりではそれらのリスクがむしろ高くなることが、英国・クイーンズ大学ベルファストのAlysha S. Thompson氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2023年3月28日号掲載の報告。  プラントベース食は、卵、乳製品、魚、肉を少量のみ摂取またはまったく摂取しないことを特徴とする食事で、環境と健康の両方の理由から世界中で人気となっている。しかし、プラントベース食の質と死亡や慢性疾患のリスクに関する総合的な評価は不十分であった。

医師の働き方改革、いまだ2割強が基準超の時間外勤務/医師1,000人アンケート

 2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則960時間となる、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートするのを踏まえ、会員の勤務医1,000人を対象に働き方改革の制度の理解度、期待と不安、勤務先の対応策などについて聞くアンケートを実施した(2023年3月9日実施)。  直近1年間の勤務時間について、1日8時間・週40時間(=5日)勤務を基準とした場合の「当直を含む時間外労働時間の合計」を聞いたところ、「月45時間未満・年360時間以下(≒週7時間)」が42%、「月100時間未満・年960時間以下(≒週20時間)」が36%、「月100時間未満・年1,860時間以下(≒週40時間)」が13%、「週40時間を超える」が9%という結果となった。

肺がん・上部消化器がん、オランザピンが食欲・体重を改善/JCO

 食欲減退は進行がん患者の30~80%にみられ、化学療法により悪化することがある。そこで、インド・Jawaharlal Institute of Postgraduate Medical Education and ResearchのLakshmi Sandhya氏らは、がん患者の化学療法に伴う消化器症状の改善に用いられるオランザピンについて、食欲亢進・体重増加効果を検討した。肺がん患者、上部消化器がん患者に対して、化学療法中に低用量のオランザピンを毎日投与することで、食欲亢進および体重増加が認められた。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年3月28日号に掲載された。

重度の円形脱毛症、MTX+低用量ステロイドで毛髪再生

 フランス・ルーアン大学病院およびフランス国立衛生医学研究所(INSERM)U1234のPascal Joly氏らは、円形脱毛症(AA)のうち重度とされる全頭型AAまたは汎発型AA患者を対象に、メトトレキサート(MTX)単剤とプラセボの比較、MTX単剤とMTX+低用量prednisoneの併用療法を比較する2段階の二重盲検無作為化比較試験を実施した。その結果、MTX単剤では主に部分的発毛が可能であったが、MTX+低用量prednisone併用療法は患者の最大31%で完全発毛が可能であった。著者らは、「これらの結果は、JAK阻害薬で最近報告された結果と同程度であるが、コストははるかに安価と考えられる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年3月8日号掲載の報告。

循環器領域における「睡眠呼吸障害の診断・治療ガイドライン」改訂で“睡眠”も心血管リスク因子に

 睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)が循環器疾患の重要なリスク因子であることが明らかになり、2010年に『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』が発刊された。あれから13年、3月11日に本ガイドライン(以下、GL)の2023年改訂版が発刊され、第87回日本循環器学会学術集会の「ガイドラインに学ぶ2」において、葛西 隆敏氏(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 准教授)が改訂ポイントを6つに絞り、改訂の背景や臨床に役立つ点を発表した。

精神科病棟の認知症患者に対する音楽療法~レトロスペクティブ研究

 音楽療法は、地域および施設でケアされている認知症患者の気分を高め、興奮を軽減し、苦痛を伴う行動の減少が期待できる治療法である。しかし、精神科病棟に入院している認知症患者に対する音楽療法の影響はあまり知られていない。英国・アングリア・ラスキン大学のNaomi Thompson氏らは、2つの精神科病棟において認知症患者に対する音楽療法の影響を調査した。その結果、音楽療法を実施した日は実施しなかった日と比較し、苦痛を伴う行動が有意に減少し、音楽療法が患者の気分および興奮の軽減をサポートする価値ある介入であることが報告された。BJPsych Open誌2023年2月23日号の報告。

ハリケーンで認知症の人の死亡リスク上昇

ハリケーンによる災害が認知症の高齢者の死亡リスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。認知症でない高齢者に比べて死亡リスクが1割近く高く、被災後に非被災地へ移転した人でも死亡リスクの上昇が認められたという。米ミシガン大学のSue Anne Bell氏らによる研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に3月7日掲載された。  論文の筆頭著者であるBell氏は、ハリケーン被災により認知症の高齢者の死亡リスクが上昇することの理由として、「日常生活の混乱、生活環境の変化、さらには介護や医療へのアクセスが妨げられることに起因する可能性がある」としている。その上で、「この研究からの重要なメッセージは、被災した認知症の高齢者には固有なニーズがあるということだ。その最も顕著な一例を挙げるなら、認知症の人は災害発生時の危機的な状況を認識できないため、身の安全の確保をほぼ完全に介護者に依存することになる」としている。