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母親のFLG変異が、子のアトピーのリスクを高める

 疫学研究から、アレルギーのリスクはインプリンティング(遺伝子刷り込み)により母親から子へ遺伝することが示唆されている。アトピー性皮膚炎(AD)は、フィラグリン遺伝子(FLG)の機能喪失型変異による皮膚バリア機能の欠乏に起因する可能性が知られているが、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のJorge Esparza-Gordillo氏らは、FLG突然変異の遺伝から独立して母親の遺伝子型の影響がみられることを明らかにした。母親における突然変異誘導性の全身免疫応答が、子のADリスクに影響している可能性を示唆している。PLoS Genetics誌2015年3月10日の掲載報告。

抗うつ効果に文化的背景は影響するか

 大うつ病性障害(MDD)を有するラテン系アメリカ人は、非ラテン系白人と比べ、薬物療法へのアクセス、薬物治療開始、服用、治療維持など、どの定義においても、抗うつ療法の実施が低調である。こうした差異がみられる理由の1つとして、ラテン系アメリカ人の薬物療法に対する文化的適合性が低い可能性が挙げられる。そこで、南カリフォルニア大学のSylvanna M. Vargas氏らは、ラテン系アメリカ人のうつ病と抗うつ療法に対する認識を明らかにする調査を行った。その結果、うつ病を有していないラテン系アメリカ人には、うつ病およびその治療に対して批判的な意見があること、その一方、うつ病患者は抗うつ療法に関心はあるものの、薬物中毒や薬物依存への懸念があることがわかったという。著者は「ラテン系アメリカ人の抗うつ療法への関わり方を改善するには、処方医がそうした見解や懸念に着目していかなくてはならない」と指摘している。Transcultural Psychiatry誌オンライン版2015年3月3日号の掲載報告。

神経難病へのメマンチンの可能性:群馬大

 脊髄小脳変性症1型(SCA1)はSca1遺伝子内にあるCAGリピートの伸長を原因とする進行性の神経変性疾患である。SCA1症状の発症機序は明確になっていないが、ニューロンの異常活性が、この疾患の特徴であるニューロン細胞死の一因となっている可能性が高い。群馬大学の飯塚 朗氏らは、SCA1ノックイン(KI)マウスにN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)のメマンチンを長期経口投与し、SCA1の発症メカニズムについて検討した。その結果、マウスの体重減少抑制と生存期間の延長が認められ、SCA1の発症にNMDAR異常活性が関与している可能性を示唆した。Neuroscience Letters誌オンライン版2015年2月25日号の掲載報告。

ブレークスルーとなるか、がん免疫チェックポイント阻害

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:相良 暁)とブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ダビデ・ピラス)は2015年3月17日、「がん治療の新たな選択肢 ~がん免疫療法~」と題し、プレスセミナーを開催した。講師に、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの西川 博嘉氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任准教授)を迎え、がん免疫療法の特徴や作用機序、他の治療法との相違点などについて紹介された。

アルツハイマー病へのDBS、臨床応用への可能性は

 米国・ペンシルベニア大学のKeyvan Mirsaeedi-Farahani氏らは、アルツハイマー病(AD)に対する脳深部刺激療法(DBS)の費用対効果、臨床効果を標準治療との比較で検討した。その結果、軽度AD患者でDBSの成功率が20%以上であれば費用対効果は高いこと、80%を超えれば臨床効果、費用対効果ともに標準治療より高くなることを報告した。ADは記憶機能の障害を特徴とし、本症状はADの標準治療によりわずかな改善を認める。しかし最近の報告により、DBSが記憶機能を改善する可能性が示唆されていた。Journal of Neurology誌オンライン版2015年3月6日号の掲載報告。

自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか

 自殺は公衆衛生上の大きな問題であるが、自殺のリスクを有する患者について、自殺念虜の減少を目的として実施された無作為臨床試験はほとんどない。そうした中で現在行われている「Reducing Suicidal Ideation Through Insomnia Treatment:REST-IT」試験について、米国ジョージア・リージェンツ大学のWilliam Vaughn McCall氏らは2年目の状況をまとめ報告した。その結果を受けて著者は、「選択基準および除外基準、ならびに他の安全策を慎重に考えることによって自殺のリスクを有する成人患者を対象とした無作為化試験を安全に行うことができる」との見解を示している。Clinical Trials誌オンライン版2015年3月1日号の掲載報告。

統合失調症の治療成績にD2/3結合能は影響するか

 これまでの統合失調症研究で確認された最も優れた知見の1つが、陽性症状におけるドパミンD2受容体遮断と抗精神病薬効果の関連性である。デンマーク・コペンハーゲン大学のSanne Wulff氏らは、統合失調症初回エピソード未治療患者における線条体D2/3結合能(BPp)と治療アウトカムの相関性について調べた。結果、両者間の相関性を確認し、低BPp患者は高BPp患者と比べて治療反応が良好であること、またドパミン受容体遮断が高レベル時に機能が低下する可能性がある示唆が得られたことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年2月18日号の掲載報告。

SSRI中止は離脱症状に注意を

 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は臨床現場で広く用いられている。SSRIは幅広い症状と関連しており、その臨床的意義は十分に理解されているわけではない。イタリア・ボローニャ大学のGiovanni A Fava氏らは、SSRI中止による影響について検討するシステマティックレビューを行った。Psychotherapy and psychosomatics誌オンライン版2015年2月21日号の報告。

週1回の投与で血友病患者のQOL向上へ イロクテイトがもたらす定期補充療法

 3月10日、都内においてバイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社による血友病のプレスセミナーが、花房 秀次氏(荻窪病院 理事長/血液科 部長)を講師に迎え、開催された。これは同社の血友病A治療薬エフラロクトコグアルファ(商品名:イロクテイト)の発売に関連し行われたものである。

ロボット支援脊椎手術は有用か

 転移性または原発性脊椎腫瘍患者の治療において、外科手術は重要な役割を果たしている。近年、手術支援ロボットなどの新しい技術が開発され、正確なインストゥルメンテーションの設置や合併症の減少など有望な結果が示されている。米国・Texas Health Presbyterian Hospital PlanoのXiaobang Hu氏らは、ロボット支援脊椎手術の自験例について評価し、転移性または原発性脊椎腫瘍の治療においてロボット支援システムは安全かつ有用であることを報告した。著者は、「多数例におけるさらなる検討の実施を支持する結果である」とまとめている。International Journal of Spine Surgery誌オンライン版2015年2月3日号の掲載報告。

第103回日本泌尿器科学会総会 開催のご案内

 日本泌尿器科学会は、2015年4月18日~21日の4日間、第103回日本泌尿器科学会総会を金沢市で開催する。会長は、並木 幹夫 氏(金沢大学大学院医学系研究科 泌尿器科学 教授)。今回は新たに「若手医師が創るプログラム」という企画を設け、若手医師自らが将来に向けた泌尿器科医のあり方を参加者と考えるセッションも予定されている。また、発表される一般演題数も今回は1,750を超え、過去最高となる。

高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は

 ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学病院のKonrad J. Werhahn氏らは、高齢者の焦点性てんかんに対するカルバマゼピン徐放製剤(CR-CBZ)の有効性を、レベチラセタム(LEV)およびラモトリギン(LTG)と比較検討する無作為化二重盲検並行群間試験を実施した。その結果、CR-CBZに比べLEVのほうが高い治療継続率を示したことを報告し、LEVの良好な忍容性がこの結果の背景にあることを示唆した。Epilepsia誌オンライン版2015年2月12日号の掲載報告。