慢性疼痛の存在が重度の術後痛と関連していることを踏まえ、ドイツにあるゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンのJoachim Erlenwein氏らは、慢性疼痛の非外科的急性期痛への影響を、急性帯状疱疹患者において前向きに調査した。その結果、慢性疼痛を有する患者では、帯状疱疹関連急性痛がより強く、疼痛に関連した機能障害もみられ、より長期の入院を要するなど、術後急性痛と同様の所見が確認されたという。Pain Medicine誌オンライン版2016年3月5日号の掲載報告。
研究グループは、急性帯状疱疹で入院した連続患者59例を対象に、慢性疼痛の既往歴別に帯状疱疹痛について比較検討した。
ベースライン時(入院日)に疼痛強度、疼痛関連機能障害、鎮痛薬の使用、および心理学的・生理学的特性について調査し、入院1、4、7日目および退院日に疼痛強度と機能障害について評価した。鎮痛薬の使用についても記録した。
主な結果は以下のとおり。
・59例中25例42.4%が、慢性疼痛を有していた。
・慢性疼痛を有していた患者は、慢性疼痛のない患者と比較し、すべての評価日において帯状疱疹急性痛が重度で、機能(睡眠の質や可動性など)の障害も認められた。
・鎮痛薬の使用量については、慢性疼痛の有無で違いはなかった。
・慢性疼痛のない患者では、帯状疱疹痛の重症度との関連が、鎮痛薬の使用量のみにおいてみられた。
・対照的に、慢性疼痛を有していた患者は、鎮痛薬の使用量との関連はみられなかったが、慢性疼痛の重症度、身体的健康、および神経障害性疼痛の程度と、帯状疱疹関連急性痛の関連がみられた。
(ケアネット)