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職業レベルの高さとうつ病治療への反応率との関係

 うつ病は、就業における問題を引き起こす主な原因となる。職業的問題がうつ病の発症を促進し、回復プロセスを妨げる可能性があることを示唆するエビデンスも報告されている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、以前の研究において、職業レベルが高い人ほど、うつ病治療後の転帰が悪化することを報告している。今回著者らは、うつ病患者の独立したサンプルを用いて、職業レベルとうつ病治療に対する治療反応についてさらなる調査を行った。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年1月28日号の報告。

低侵襲血腫除去は保存的治療を上回るか:ランダム化試験 "MISTIE III"

 現在、欧州脳卒中協会(ESO)ガイドラインは、非外傷性の頭蓋内出血に対するルーチンな外科的介入を推奨していない。支持するエビデンスが存在しないためだという。しかし2016年に報告されたMISTIE(Minimally Invasive Surgery Plus rt-PA for Intracerebral Hemorrhage Evacuation)II試験を含むランダム化試験のメタ解析からは、保存的治療を上回る機能自立度改善作用が示唆されている。そのような状況下、2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、頭蓋内出血例に対する、低侵襲手術を用いた血腫除去術と保存的療法の機能自立度改善作用を直接比較したランダム化試験“MISTIE III”が報告された。両治療間に改善作用の有意差は認めなかったが、血腫縮小に奏効した例では保存的治療に勝る改善作用が示唆される結果となった。7日のMain Eventセッションにて、Daniel F. Hanley氏(ジョンズ・ホプキンス大学、米国)とIssam A. Awad氏(シカゴ大学、米国)が報告した。

白内障手術に新たなデバイス、国内初の技術で負担軽減に期待

 2019年2月4日、日本アルコン株式会社は、同日正式発売となった自動プリロード眼内レンズデリバリーシステム「Clareon AutonoMe」に関する、メディアセミナーを開催した。その中で、医療法人社団ライト 理事長の荒井 宏幸氏は「国内初導入!最先端白内障治療用眼内レンズのすべて」と題して、白内障手術における術式の歩みや、眼内レンズの挿入を自動化することのメリットなどについて講演を行った。  白内障を発症すると、角膜内の水晶体が濁ってくることで光が通りにくくなり、最終的に失明に至るため、水晶体の交換が必要となる。その際、角膜を切開し、眼内レンズ(IOL)を挿入する必要があるが、IOLおよびIOLを挿入するのに用いるインジェクターの進歩に伴い、必要となる切開創の長さが年々短くなってきている。20年前は角膜を半周程度切開して、IOLを挿入する必要があったが、現在では2~3mm程度の切開創から折りたたまれたIOLを挿入する術式が主流となっており、日帰り手術の施行も可能となっている。

医療機関の働き方改革に関するセミナー開催のご案内

 昨年成立した「働き方改革関連法」では、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の年5日の取得義務化などが盛り込まれ、今年4月以降順次施行される。法改正により医療機関の経営者・管理者に求められる対応や、労基署による医療機関への勧告の状況など、勤務環境改善に関わる最新の動向を紹介する2つのセミナーが開催される。  両セミナーでは厚労省「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員を務める馬場 武彦氏(馬場記念病院病院長、社会医療法人ペガサス理事長)や、福島 通子氏(塩原公認会計士事務所特定社会保険労務士)らが登壇し、「医療従事者の働き方改革」をテーマとした講演、事例発表などが予定されている。概要は以下の通り。

パニック症に対する薬理学的および神経調節性治療に関する臨床研究

 パニック症(PD)の治療法は進展しているものの、より効果的かつ忍容性に優れる治療選択肢へのニーズは依然として高い。ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のMorena M. Zugliani氏らは、PDに対する薬理学的および神経調節性治療に関する最近のエビデンスについて検討を行った。Psychiatry Investigation誌2019年1月号の報告。  2010~18年に発表された臨床試験を、主要データベース(MEDLINE、Cochrane Library、PsycINFO、トムソン・ロイターのWeb of Science)を用いて検索した。ランダム化比較試験(RCT)または対象患者10例以上のプロスペクティブ臨床試験を抽出した。

第2世代ハイドロゲルコイルの実力は? プラチナコイルとの比較

 脳動脈瘤に対するハイドロゲルコイルを用いた血管内塞栓術は、プラチナコイルに比べ再開通率こそ低いものの (HELPS試験)、使い勝手は必ずしも良くなかったという。第2世代ハイドロゲルコイルは操作性が改善されているとされるが、再開通率は同じように良好だろうか―。2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、この点を検討すべく行われたランダム化試験 “HEAT”が報告された。その結果、第2世代ハイドロゲルコイルも再開通率はプラチナコイルより低く、有害事象には差がないことが明らかになった。7日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、Bernard R. Bendok氏(メイヨー・クリニック、米国)が報告した。

緑内障の新しい治療薬、その効果は?

 米国・コロラド大学のMalik Y. Kahook氏は、高眼圧患者を対象としたランダム化二重盲検比較試験において、netarsudil点眼液0.02%1日1回投与は、大部分の患者において、12ヵ月にわたり眼圧(IOP)低下効果を示し、忍容性も良好であることを示した。netarsudilは、Rhoキナーゼ(ROCK)およびノルエピネフリントランスポーター(NET)の両者を阻害する新しい緑内障治療薬。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2019年1月14日号掲載の報告。

レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

 レビー小体型認知症(DLB)およびアルツハイマー型認知症(AD)における生存率を比較するため、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのChristoph Mueller氏らは、縦断的研究のエビデンスを総合的に評価した。Ageing Research Reviews誌オンライン版2019年1月6日号の報告。  臨床的にレビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症と診断された患者の生存率を比較した研究のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。2018年5月までの縦断的コホート研究を、主要な電子データベースよりシステマティックに検索した。生存期間および相対死亡リスクを算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。

脳梗塞急性期:早期積極降圧による転帰改善は認められないが検討の余地あり ENCHANTED試験

 現在、米国脳卒中協会ガイドライン、日本高血圧学会ガイドラインはいずれも、tPA静注が考慮される脳梗塞例の急性期血圧が「185/110mmHg」を超える場合、「180/105mmHg未満」への降圧を推奨している。しかしこの推奨はランダム化試験に基づくものではなく、至適降圧目標値は明らかでない。2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、この点を検討するランダム化試験が報告された。収縮期血圧(SBP)降圧目標を「1時間以内に130~140mmHg」とする早期積極降圧と、ガイドライン推奨の「180mmHg未満」を比較したENCHANTED試験である。その結果、早期積極降圧による「90日後の機能的自立度有意改善」は認められなかった。ただし、本試験の結果をもって「早期積極降圧」の有用性が完全に否定されたわけではないようだ。7日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、Craig Anderson氏(ニューサウスウェールズ大学、オーストラリア)とTom Robinson氏(レスター大学、英国)が報告した。

不眠症に対する就寝時の音楽聴取に関するランダム化比較試験

 音楽は、不眠症を軽減するための自助ツールとして、よく用いられる。デンマーク・オーフス大学のKira Vibe Jespersen氏らは、不眠症改善のための就寝前の音楽聴取の効果を評価するため、評価者盲検ランダム化対照研究を行った。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年1月24日号の報告。  不眠症患者57例を、音楽介入群19例、オーディオブック群19例、待機コントロール群19例にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、不眠症重症度指数(Insomnia Severity Index)とした。さらに、睡眠ポリグラフィーおよびアクチグラフィーを用いて睡眠の客観的尺度を評価し、睡眠の質やQOLについても評価した。

ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2019 in 東京~【ご案内】

 2019年3月16日(土)に、大腸がん疾患啓発イベント「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと~」が開催される。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間である3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂で、予約申し込み不要・参加費無料。当日は、来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」が配布される。また、ブルーを身に着けて来場した方には粗品のプレゼントも用意されている。

脳卒中後の至適降圧目標は「130/80mmHg未満」か:日本発RESPECT試験・メタ解析

 脳卒中後の血圧管理は、PROGRESS研究後付解析から「低いほど再発リスクが減る」との報告がある一方、PRoFESS試験の後付解析は「Jカーブ」の存在を指摘しており、至適降圧目標は明らかでない。  この点を解明すべく欧州では中国と共同でESH-CHL-SHOT試験が行われているが、それに先駆け、2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)のLate Breaking Clinical Trialsセッション(7日)において、わが国で行われたRESPECT試験が、北川 一夫氏(東京女子医科大学・教授)によって報告された。

扁平上皮NSCLC1次治療における抗EGFR抗体necitumumabの効果/Lung Cancer

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)のほとんどには上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor、以下EGFR)が発現しており、腫瘍形成に関与している。抗EGFR抗体necitumumabは、第III相SQUIRE試験でゲムシタビン・シスプラチンとの併用(GC+N)で進行扁平上皮NSCLCの1次治療における全生存期間(OS)を改善した。しかし、この試験では日本人患者は含まれていない。わが国の同じ患者集団の1次治療におけるGC+N療法を評価した多施設共同非盲検第Ib/II相試験の結果がLung Cancer誌2019年3月号に報告された。

統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー

 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。主なレビューは以下のとおり。・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。

無症候性の頸動脈高度狭窄例に対するCASで、CEAと転帰の差を認めず:CREST/ACTⅠメタ解析

 米国では、頸動脈インターベンションの最大の適応は無症候性の高度狭窄だという。しかし、米国脳卒中学会など関連14学会による2011年版ガイドラインでは、外科高リスク例を除き、無症候性頸動脈高度狭窄例に対しては、頸動脈ステント留置術(CAS)よりも頸動脈内膜剥離術(CEA)が推奨されている。しかし同ガイドライン策定後、CREST試験とACTI試験という2つの大規模ランダム化試験において、末梢塞栓保護下CASは、死亡・脳卒中・心筋梗塞抑制に関し、CEAに対する非劣性が示された。

アクリルネイルの流行で接触皮膚炎が急増

 (メタ)アクリレートは強力な感作性物質で、アレルギー性接触皮膚炎(ACD)の原因となるが、アクリルネイルの需要増に伴いACDの発症頻度が高まっている。これまで(メタ)アクリレートは、英国および欧州のbaseline patch test seriesで日常的に検査されていなかった。しかし、明らかな曝露歴のある患者に対する(メタ)アクリレートのパッチテストを予備検査として行った結果では、陽性率の高さが示唆されている。英国・Royal United HospitalのSophie Rolls氏らは、今回の検討結果から、英国のbaseline patch test seriesに2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)2%ワセリンの追加を推奨するとした。著者は、「短鎖(メタ)アクリレート系は(メタ)アクリレートアレルギー患者のほとんどで検出される傾向があるため、これらの標準化を推奨する」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。

FLAURA試験日本人サブセット、PFS19.1ヵ月/JJCO

 未治療のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてオシメチニブと標準治療(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)を比較した多施設二重盲検第III相FLAURA試験。全体ではオシメルチニブで有意に良好な無増悪生存期間(PFS)が示されたこの試験の日本人のサブセット解析がJapanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月1日号で発表された。

認知症のBPSDに対する治療の有効性・安全性比較~メタ解析

 認知症患者の行動と心理症状(BPSD)に対する薬理学的および非薬理学的治療の有効性、安全性を比較するため、中国・China Medical UniversityのBoru Jin氏らは、ランダム化データより直接的および間接的なエビデンスを用いて、検討を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2019年1月21日号の報告。  BPSDに利用可能なすべての介入のランダム化比較試験(RCT)のみを用いて、システマティックレビューおよびベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。RCTは、PubMed、EMBASE、Cochrane library、CINAHLより検索した。有効性アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory(NPI)およびCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて評価した。安全性アウトカムは、全有害事象(AE)、下痢、めまい、頭痛、転倒、悪心、嘔吐、脳血管疾患について評価した。

アスピリンまたはクロピドグレルへのシロスタゾール併用、日本人脳梗塞の出血リスクを増やさず再発抑制:CSPS.com試験

 虚血性脳血管障害に対する長期の抗血小板薬2剤併用は、脳卒中を抑制せず大出血リスクを増やすとされている。これは大規模試験MATCH、CHARISMAサブスタディ、SPS3で得られた知見に基づく。  しかし、これらのランダム化試験で検討されたのは、いずれもアスピリンとクロピドグレルの併用だった。ではCSPS 2試験においてアスピリンよりも出血リスクが有意に低かった、シロスタゾールを用いた併用ではどうだろう――。この問いに答えるべく、わが国で行われたのが、ランダム化非盲検試験CSPS.comである。その結果、アスピリン、クロピドグレル単剤に比べ、それらへのシロスタゾール併用は、重篤な出血リスクを増やすことなく、脳梗塞を有意に抑制することが明らかになった。2019年2月6~8日に、米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)初日のOpening Main Eventにおいて、豊田 一則氏(国立循環器病研究センター病院・副院長)が報告した。

うつ病に対する早期治療薬変更戦略の有効性予測因子

 抗うつ薬治療を2週間実施しても症状改善が認められないうつ病患者では、治療失敗リスクが高い。以前の研究において、ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学マインツのNadine Dreimuller氏らは、非改善うつ病患者において、通常治療(TAU)と早期治療薬変更(EMC)でアウトカムに差がないことを、ランダム化試験で報告していた。今回、EMC戦略における高い寛解率の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2019年1月14日号の報告。