PD-1阻害薬の免疫関連有害事象の1つである肺臓炎は、時に致命的となることが知られるが、予後にどの程度影響するのかは明らかになっていない。名古屋大学大学院医学部の富貴原 淳氏らは、PD-1阻害薬の投与を受けた非小細胞肺がん(NSCLC)患者を後ろ向きに解析し、免疫関連肺臓炎(IRP)の発症と予後の関係を検討した。Clinical Lung Cancer誌オンライン版2019年8月1日号掲載の報告。
研究グループは、2016年1月~2018年3月の間に、PD-1阻害薬(ニボルマブまたはペムブロリズマブ単剤療法)を用いた再発/進行NSCLC患者について、後ろ向きに解析した。
胸部X線画像上の片側浸潤陰影も、PD-1阻害薬に関連すると考えられる場合はIRPとした。
主な結果は以下のとおり。
・170例中27例(16%)がIRPを発症した。
・IRPを発症した27例中22例(81%)が、副腎皮質ステロイドの有無にかかわらずPD-1阻害薬の投与中止で回復した。
・8週間のランドマーク解析の結果、PD-1阻害薬投与後の全生存期間は、IRP発症群が非発症群より有意に短かった(8.7ヵ月vs.23.0ヵ月、p=0.015)。
・IRP発症群は、PD-1阻害薬中止後は後方治療を受けずに支持療法(BSC)を選択する傾向がみられた。
・多変量解析では、ペムブロリズマブ(対ニボルマブ)および血清アルブミン低値が、IRPの独立したリスク因子であることが示された。
(ケアネット)