第20回世界肺癌会議(WCLC2019)で発表された研究によると、KRAS阻害薬AMG510が、KRAS G12C変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において有望な抗腫瘍活性と良好な副作用プロファイルを実証した。KRAS G12C変異は、Driver Oncogeneとされており、肺腺がん患者の約14%とNSCLCの11%に見られるが、この変異を標的とした治療は承認されていない。
AMG510の投与を受けたKRA肺がんの病勢制御率は100%
このKRAS阻害薬AMG510の臨床毒性試験では、標準治療を受けた局所進行または転移NSCLC患者76例が登録された。研究の主要評価項目は毒性で、副次的評価項目は客観的奏効率、奏効期間、疾患制御率、無増悪生存期間およびSDの持続期間であった。
患者は180mg、360mg、720mg、960mgの4つのコホートに分けられ21日間 AMG510の投与を受けた。第I相試験の初回データは、ASCO2019年次総会で発表された。WCLCで発表されたより大規模な追加追跡では34例のNSCLC患者が登録され、有効性評価は23例で行われた。評価可能な患者のうち13例がAMG510の目標用量960mg/日の治療を受け、その病勢制御率は100%(PR7例、SD6例)であった。
34例のNSCLC患者に用量制限毒性はなく、中止に至る有害事象もなかった。Grade1〜2の治療関連有害事象(TRAE)は9例(26.5%)、Grade3は3例(貧血および下痢)、Grade4以上のTRAEはなかった。
(ケアネット 細田 雅之)