腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:173

早期乳がん術後補助療法でのパルボシクリブ追加、iDFS改善せず(PALLAS)/ESMO2020

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法にCDK4/6阻害薬パルボシクリブを追加しても、無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善できなかったことが、第III相オープンラベルPALLAS試験で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのErica L. Mayer氏が発表した。  転移を有するHR陽性/HER2陰性乳がんにおいては、内分泌療法にパルボシクリブを追加することにより無増悪生存期間(PFS)が改善する。このPALLAS試験では、早期乳がんの術後補助療法においても、パルボシクリブの追加でアウトカムが改善するかどうかを検討した。

がん局所治療薬アキャルックスが承認取得/楽天メディカルジャパン

 9月25日、楽天メディカルジャパンは、がん細胞を壊死させる新しい局所治療薬「アキャルックス点滴静注250mg」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム、以下アキャルックス)について、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として製造販売承認を取得したと発表した。本剤と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBladeレーザシステム」(以下BioBlade)については9月2日に製造販売承認を取得している。アキャルックスは、2019年4月に先駆け審査指定制度対象品目の指定を受け、2020年3月に条件付き早期承認制度のもと承認申請していた。本剤が製造販売承認を取得したのは日本が初となる。  アキャルックスは、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体(IgG1)であるセツキシマブと光感受物質である色素IRDye 700DX を結合させた抗体薬物複合体からなる点滴静注用の注射剤で、BioBladeはアキャルックスと組み合わせて使用するレーザ装置である。本治療では、アキャルックスががん細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合し、BioBladeによって波長690nmのレーザ光照射により活性化させたIR700が光化学反応を起こし、がん細胞の細胞膜を傷害することにより殺細胞効果を示すと考えられている。

アテゾリズマブ+パクリタキセル、TN乳がん1次治療でPFS改善せず(IMpassion131)/ESMO2020

 転移を有する/切除不能な局所進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する1次治療として、アテゾリズマブ+パクリタキセルの併用療法は、無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を認めなかった。英国・Mount Vernon Cancer CentreのDavid Miles氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験IMpassion131の結果を報告した。

EGFR変異肺がんに新規抗HER3抗体薬物複合体U3-1402が有望/ESMO2020

 濃厚な治療歴を有するEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、HER3を標的とする抗体薬物複合体(ADC)が、臨床的に意義のある効果と管理可能な安全性を示した。この第I相試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのHelena A. Yu氏より発表された。

進行TN乳がん1次治療でのアテゾリズマブ+nab-PTX、OSの最終解析(IMpassion130)/ESMO2020

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、抗PD-L1抗体アテゾリズマブとnab-パクリタキセル(PTX)の併用療法を検討した第III相IMpassion130試験における最終解析における全生存期間(OS)の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で報告された。ITT集団ではOSにおける有意差は認められなかったが、PD-L1陽性患者ではOSの改善がみられたことを、米国・University of Pittsburgh Medical Center Hillman Cancer CenterのLeisha A.Emens氏が発表した。

KRASG12C変異陽性肺がんにおけるsotorasib(CodeBreaK100)/ESMO2020

 KRAS p.G12C変異は固形がんの1〜3%、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%に認められる。KRASG12C阻害薬sotorasib(開発コード:AMG510)は、KRASp.G12C変異陽性の進行固形腫瘍患者の第I相試験で良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルを示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、この国際オープンラベル第I相試験CodeBreaK100におけるNSCLCの結果を、米国・MDアンダーソンがんセンターのD. S. Hong氏が発表した。 ・対象:既治療の局所進行または転移を有するKRAS p.G12C変異陽性固形腫瘍患者 ・試験薬:sotorasibを進行または忍容できない有害事象が発現するまで投与(コホート1:180mg、2:360mg、3:720mg、4:960mg)

トラスツズマブ デルクステカン、HER2陽性胃がんに国内承認/第一三共

 第一三共は、、2020年9月25日、抗悪性腫瘍薬トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)について「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の効能又は効果、用法及び用量追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。  同剤は、日本および韓国で実施した第II相臨床試験(DESTINY-Gastric01)および日米共同第I相臨床試験の結果に基づき2020年4月に国内製造販売承認事項一部変更承認申請が行われ、先駆け審査指定制度のもとで承認された。

新規抗体薬物複合体SG、TN乳がんのPFSとOSを延長(ASCENT)/ESMO2020

 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する新規の抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab-govitecan (SG)の国際第III相試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAditya Bardia氏から発表された。  このSGは、多くの固形腫瘍の細胞表面に発現するタンパクTrop-2を標的とするADCで、複数の治療歴を有するmTNBCに対し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を有意に改善することが報告された。

免疫療法、胃/食道がんに有望な成績/ESMO2020

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)において、胃がん食道がんに対する免疫療法の有益性を示す新たなデータが報告された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)が、2020年9月21日に発表している。  CheckMate-649試験は 、HER2陰性の進行胃・胃食道接合部がん、食道がん(すべて腺がん)の 1次治療において、ニボルマブ+化学療法と化学療法単独を比較した試験。結果、PD-L1陽性(CPS≧5)の患者において、ニボルマブ+化学療法 は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を改善した。

ダロルタミド、転移のない去勢抵抗性前立腺がんの生存率改善/NEJM

 転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者の治療において、ダロルタミドはプラセボに比べ、3年生存率が有意に高く、有害事象の発現はほぼ同程度であることが、フランス・Institut Gustave RoussyのKarim Fizazi氏らが行った「ARAMIS試験」の最終解析で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月10日号に掲載された。ダロルタミドは、独自の化学構造を持つアンドロゲン受容体阻害薬で、本試験の主解析の結果(無転移生存期間中央値:ダロルタミド群40.4ヵ月、プラセボ群18.4ヵ月、ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.34~0.50、p<0.0001)に基づき、転移のない去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、すでに米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている。主解析の時点では、全生存(OS)を解析するためのデータは不十分であり、試験期間を延長してフォローアップが継続されていた。