腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:173

乳がんリスクが高い9遺伝子を推定/NEJM

 英国・ケンブリッジ大学のLeila Dorling氏らBreast Cancer Association Consortium(BCAC)の研究チームは、乳がんリスクのゲノム関連解析の結果、乳がんリスクを予測する遺伝子パネルに組み込む臨床的に最も役立つ遺伝子を特定し、遺伝カウンセリングを導入するためのタンパク質切断型変異による乳がんリスクを推定した。乳がん感受性遺伝子検査は広く用いられるようになったが、多くの遺伝子は乳がんとの関連性に関するエビデンスが弱く、リスク推定値は不正確で、信頼できる亜型特異的リスクのデータも不足していた。NEJM誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。

CLL治療薬にアカラブルチニブ承認取得/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるアカラブルチニブ(商品名:カルケンス)について、2021年1月22日に「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として、厚生労働省より承認を取得したと発表した。  慢性リンパ性白血病(CLL)は、骨髄中の造血幹細胞が過剰に異常なリンパ球となり起こる。これらの異常細胞は、感染症に対する防御力が低いことが知られ、異常細胞数が増えるにしたがい、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため、貧血、感染および出血を引き起こす可能性がある。BTKを介するB細胞受容体のシグナル伝達は、CLLの基本的な増殖経路の1つとされる。本症は、欧米では最も患者数が多い白血病となるが、わが国および東アジアではまれな疾患とみなされ、白血病と診断された患者の1~2%を占める程度となっている。

アベマシクリブ+内分泌療法、高齢乳がん患者での有効性と安全性(MONARCH-2、-3)

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんに対する、アベマシクリブと内分泌療法(ET)の併用は、第III相MONARCH-2試験(フルベストラント)およびMONARCH-3試験(アナストロゾールまたはレトロゾール)で有効性が示されている。米国・メイヨー・クリニックのMatthew P Goetz氏らは、両試験の年齢別サブグループ解析を実施。高齢患者における有効性と安全性について、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月3日号で報告した。  MONARCH-2および-3試験における探索的解析が、3つの年齢グループ(<65歳、65~74歳、および≧75歳)に対して行われた。安全性については両試験からのプールデータが用いられ、有効性についてはPFSのサブグループ解析を各試験データでそれぞれ実施した。

ALK陽性肺がん1次2次治療にブリグチニブ国内承認/武田薬品

 武田薬品工業は、2021年1月22日、ブリグチニブ(商品名:アルンブリグ)について、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応とする1次および2次以降の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は主に、ALKチロシンキナーゼ阻害薬治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者72例を対象とした国内臨床第II相試験であるBrigatinib-2001 (J-ALTA)およびALKチロシンキナーゼ阻害薬による治療歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした海外臨床第III相試験であるAP26113-13-301(ALTA-1L)の結果に基づくもの。

非小細胞肺がん、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の1次治療の成績(CheckMate 9LA)/Lancet Oncol

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、ニボルマブとイピリムマブにさらに2サイクル限定の化学療法を追加することで臨床的利益がさらに高まることが先の国際学会で示されているが、その第III相試験CheckMate 9LA試験の結果が、Lancet Oncology誌に掲載された。  同試験は19ヵ国103施設で実施された。適格患者は18歳以上の未治療のStageIVまたは再発のNSCLC、ECOG PSは0〜1であった。患者はニボルマブ(360mg 3週間ごと)+イピリムマブ(1mg/kg 6週間ごと)+組織型別化学療法2サイクル(3週ごと2サイクル)群(以下、NIVO+IPI+Chemo群)と組織型別化学療法(3週ごと4サイクル)群(以下、Chemo群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、全無作為割付患者の全生存期間(OS)であった。

日本のがん遺伝子パネル検査、初回評価の結果は?/Int J Clin Oncol

 日本では2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険収載され、専門家で構成されるmolecular tumor board(エキスパートパネル)を備えた施設が検査実施施設として当局より指定されている。その実績に関する評価の結果が報告された。エキスパートパネルの標準化は、臨床現場でのがんゲノム医療の実装に重要な課題である。国立がん研究センター中央病院の角南 久仁子氏らは、中核病院でのエキスパートパネルの実績について初期評価を行い、臨床的意義付けの標準化についてさらに調査が必要であることを示した。International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年1月1日号掲載の報告。

がん悪液質にアナモレリン国内承認、世界初/小野薬品

 小野薬品工業とHelsinn Groupは、2021年1月22日、グレリン様作用薬であるアナモレリン(商品名:エドルミズ)について、「悪性腫瘍(非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がん)におけるがん悪液質」の効能又は効果で国内製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、国内でがん悪液質患者を対象に実施した以下の2つの臨床試験の結果などに基づいたもの。

irAE対策のステロイド投与は肺がんのOSに影響を与えず/Eur J Cancer

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中の進行肺がん患者において、ステロイド投与は生存アウトカムに影響するのか。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のMarcus Skribek氏らが、同院の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者について分析を行った結果、免疫関連の有害事象(irAE)を理由としたステロイド投与は、ICI治療の有効性を妨げないと考えられることが示された。一方で、がん緩和ケアを目的とした高用量ステロイド投与は、予後不良となる可能性を示唆するものであることが示されたという。European Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月5日号掲載の報告。

がんに存在する異常なmRNAの全長構造を同定/国立がん研究センター

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の関 真秀特任助教と鈴木 穣教授らのグループは、国立がん研究センター先端医療開発センター免疫療法開発分野・中面哲也分野長らとの共同研究により、ナノポアシークエンサーで肺がんに存在する異常なmRNAの網羅的な同定をして、異常なmRNAから生じるペプチドが免疫細胞に認識されることを示した。  従来のシークエンサーは、RNAをばらばらに短くしてから配列を読み取っていたため、mRNAの全長配列を読み取ることはできなかった。それに対して、長い配列を読み取れるナノポアシークエンサーは、mRNAの全長配列を読み取ることができる。

AIで早期大腸がんをリアルタイムに発見/国立がん研究センター

 国立がん研究センターと日本電気が共同で開発した人工知能(AI)を用いた早期大腸がんおよび前がん病変を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するソフトウェアが2020年11月30日に日本で医療機器として承認された。また、欧州においても同年12月24日に医療機器製品の基準となるCEマークの要件に適合した。  同ソフトウェアは、国立がん研究センター中央病院内視鏡科に蓄積された画像でトレーニングされたAIを用い、大腸内視鏡検査時に大腸前がん病変および早期大腸がんをリアルタイムに自動検出することができる。