腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:172

KRASG12C変異陽性肺がんにおけるsotorasib、迅速かつ持続的な効果示す/アムジェン

 アムジェンは、2021年1月29日、126例のKRASG12C変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)の患者を対象に治験薬sotorasibを評価した臨床試験であるCodeBreaK100の第II相コホートから得られた結果を発表した。この結果は、国際肺癌学会(IASLC)2020 世界肺癌会議(WCLC)のPresidential Symposiumで発表され、中央値で1年超の追跡評価期間を有する、NSCLCを対象として完遂した主要な第II相試験の初めての結果である。  Sotorasibの奏効率(ORR)および病勢コントロール率(DCR)は、それぞれ37.1%と80.6%であり、奏効期間の中央値は10ヵ月であった(データカットオフ2020年12月1日、追跡期間中央値12.2ヵ月)。

漿液性卵巣がん、Wee1阻害薬追加でPFS延長/Lancet

 high-grade漿液性卵巣がんの治療において、Wee1阻害薬adavosertib(AZD1775、MK1775)とゲムシタビンの併用はゲムシタビン単独と比較して、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長させることが、カナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのStephanie Lheureux氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年1月23日号で報告された。Wee1キナーゼは、細胞周期のG2/M期チェックポイントの重要な制御因子で、G2/M期チェックポイントは損傷したDNAの有糸分裂への進入を防止する。high-grade漿液性卵巣がんは、TP53遺伝子変異の発現頻度が高く複製ストレスが高度ながんであり、TP53遺伝子変異はS期およびG2期チェックポイントへの依存性を増大させる。adavosertibは、Wee1を阻害することでG2期チェックポイント脱出を誘導することから、TP53遺伝子変異を有する腫瘍に有効と考えられている。adavosertib+ゲムシタビン療法は、前臨床試験で相乗効果を示し、早期の臨床試験では有望な抗腫瘍活性が確認されている。

悪性胸膜中皮腫の1次治療、ニボルマブ+イピリムマブがOS改善/Lancet

 未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)の治療において、ニボルマブ+イピリムマブ療法は標準的化学療法と比較して、全生存(OS)期間を4ヵ月延長し、安全性プロファイルは同程度であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのPaul Baas氏らが行った「CheckMate 743試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年1月30日号で報告された。MPMの承認済みの全身化学療法レジメンは、生存に関する有益性は中等度であり、転帰は不良だという。ニボルマブ+イピリムマブ療法は、非小細胞肺がんの1次治療を含む他の腫瘍で臨床的有益性が示されている。

アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病でイブルチニブに対する非劣性示す/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2021年1月25日、第III相ELEVATE-RR試験の肯定的な結果概要に基づき、選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)が、治療歴を有する高リスク慢性リンパ性白血病(CLL)の成人患者において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)のイブルチニブに対する非劣性を示したことを発表した。  ELEVATE-RR試験は、欧米において最も一般的な種類の白血病であるCLLの成人患者を対象に、2種類のBTK阻害薬を比較する初めての第III相試験である。

子宮頸がんスクリーニングプログラム、hrHPV検査が有用/JAMA Oncol

 中国から子宮頸がんスクリーニングプログラムの新たな方法について検討した結果が報告された。中国・北京協和医学院のJunji Zhang氏らは、全国的な子宮頸がんスクリーニングプログラムにおける新しいスクリーニング法として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査の有用性を評価する多施設共同無作為化非盲検臨床試験を行い、hrHPV検査はプライマリケア施設において有効な1次スクリーニング法であることを示した。著者は、「中国の全国的なスクリーニングプログラムにhrHPV検査(都市部ではPCR法、地方ではハイブリッドキャプチャー法)を導入することは妥当である」と結論付けている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。

FDA、アテゾリズマブ+抗TIGIT抗体tiragolumabを高PD-L1非小細胞肺がんのブレークスルーセラピーに指定/ロシュ

 ロシュ社は、2021年1月5日、新しい抗TIGIT抗体tiragolumabがアテゾリズマブとの併用で、転移を有するPD-L1高発現の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー指定(BTD)を付与されたと発表。  今回の指定は第II相CITYSCAPE試験に基づくもの。CITYSCAPE試験の結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表され、追跡期間平均10.9ヵ月で、全奏効率(ORR)を改善(37%対21%)、アテゾリズマブ単独と比較して無増悪生存期間(PFS)を42%減少。

希少がんのオンライン・セカンドオピニオンを開設/国立がん研究センター

 新型コロナウイルス感染症流行に収束の目処が立たない中、患者の受診控えが続いている。国立がん研究センター中央病院は、オンラインでのセカンドオピニオン外来をスタートすることを発表した。2021年2月15日(月)13時より予約を開始する。  利用者としては、原則として、希少がんなど専門医が限られる種類のがん患者を想定し、細かく分類したうえでそれぞれの専門医が対応する。同院が民間会社と共同開発した検査画像の閲覧ができるオンライン診察システムサービスを用い、PC、スマホ、タブレット等を使って受診する。感染リスクを考えて受診を控えていた患者や、地方在住者に利用を促す。

バーチャル開催のJSMO2021、注目演題を発表/日本臨床腫瘍学会

2021年2月18日(木)~21日(日)、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)が完全バーチャル形式で開催される。これに先立ち、プレスセミナーが開催され、今回のJSMO2021の取り組みや注目演題等が発表された。この中で、会長を務める西尾 和人氏(近畿大学医学部ゲノム生物学教室 教授)が学会の概要を説明。昨年夏にいち早く完全バーチャル形式での開催を決めた本学会は、例年より長めの日程となり、海外演者も数多く登壇予定だ。「朝は7時から夜は23時まで多くの演題を用意し、勤務のある方でも参加しやすくした」(西尾氏)。

乳がん関連遺伝子バリアントのリスクを評価/NEJM

 乳がんの遺伝性の病原性バリアントを有する女性のリスク評価と管理では、がん素因遺伝子の生殖細胞系列の病原性バリアントと関連する、集団ベースの乳がんリスクの推定がきわめて重要とされる。米国・メイヨークリニックのChunling Hu氏らCARRIERS(Cancer Risk Estimates Related to Susceptibility)コンソーシアムは、同国の一般集団において、既知の乳がん素因遺伝子の病原性バリアントと関連する乳がんの有病率とリスクの評価を行った。その結果、BRCA1とBRCA2の病原性バリアントは乳がんリスクが最も高いことを示した。NEJM誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。

「がん診療と新型コロナウイルス感染症」、患者向けQ&Aを改訂/日本臨床腫瘍学会

 2021年1月25日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)は合同で「がん診療と新型コロナウイルス感染症 がん患者さん向けQ&A」の改訂3版を公開した。これは3学会合同連携委員会の新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループがまとめたもので、「がん患者は新型コロナウイルスに感染しやすいのか」「検査はどこまですべきなのか」「現在の治療を延期したほうがよいのか」といった、多くのがん患者が抱える疑問に答える内容となっている。今回は各種文献やガイドラインのアップデートを反映した改訂となる。