腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

口腔内細菌の検査で胃がんが検出可能に?

 がんによる死亡者数としては世界で4番目に多い胃がんが、いつの日か、診察室での口腔洗浄液を用いた簡単な検査で発見されるようになるかもしれない。米ラトガーズ・ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学のShruthi Reddy Perati氏らによる研究で、胃がん患者やその予備軍の口腔から採取した細菌サンプルは、健康な患者から採取した細菌サンプルとは明らかに異なることが明らかになった。この研究結果は、米国消化器病週間(DDW 2024、5月18〜21日、米ワシントン)で発表された。  Perati氏は、「口腔マイクロバイオームと胃のマイクロバイオームはつながっており、口腔内にどのような細菌がいるかを知ることで、胃の環境についても知ることができる。このことは、診療で用いられている検査や診療ガイドラインの変更につながるほど大きな意味を持つ」と述べている。

KRAS G12C変異大腸がんへのソトラシブ+パニツムマブ、OS最終解析(CodeBreaK 300)/ASCO2024

 前治療歴のあるKRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者に対するソトラシブ+パニツムマブの有用性を検証するCodeBreaK 300試験。昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)では、本レジメンが医師選択化学療法群と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことが報告されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏が、全生存期間(OS)データを含む本試験の最終解析結果を発表した。

sacituzumab tirumotecan、複数の治療歴のあるTN乳がんのPFSとOSを改善(OptiTROP-Breast01)/ASCO2024

 複数の治療歴がある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)が、医師選択による化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。無作為化第III相OptiTROP-Breast01試験の中間解析結果について、中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical SciencesのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

NSCLCにおけるamivantamabの皮下投与、静脈内投与との違いは?(PALOMA-3)/ASCO2024

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するamivantamabの皮下投与と静脈内投与を比較するPALOMA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNatasha B. Leighl氏より発表された。  amivantamabは静脈内投与製剤として米国で開発されているが、投与時間の短縮などを目的として皮下投与における有用性が検討されている。本試験では、lazertinib併用下で、amivantamabの静脈内投与に対する皮下投与の薬物動態の非劣性などが確認された。

がんの臨床試験への参加でOSが延長するか?/JAMA

 カナダ・マギル大学のRenata Iskander氏らは、がんの臨床試験に参加した患者と参加しなかった患者の全生存期間(OS)を比較した研究についてシステマティック・レビューとメタ解析を行い、全体として試験参加群におけるOSの改善が示唆されたが、バイアスや交絡因子を考慮した研究に限定するとOSに対するベネフィットは認められなかったことを示した。がん患者が臨床試験に参加することが、ルーチン治療を受けた場合と比較してOSの延長と関連するかどうかは明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2024年5月20日号掲載の報告。

メトホルミンは低リスク限局性前立腺がんの進行を抑制するか?(MAST)/ASCO2024

 前臨床データおよび疫学データにおいて、メトホルミンが前立腺がんの進行を遅らせる可能性が示唆されてきた。しかし、積極的監視療法適応の低リスク限局性前立腺がん患者において、メトホルミンは前立腺がんの進行を抑制しないことが示された。カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNeil E. Fleshner氏が、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照MAST試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。 ・対象:12ヵ月以内に新たに診断された低リスク限局性前立腺がん患者(Gleasonスコア≦6、生検陽性コア数≦1/3、陽性コアにおけるがん占拠率<50%、臨床病期T1c~T2a、PSA≦10ng/mL、HbA1c≦6.5%) ・試験群(メトホルミン群):積極的監視療法+メトホルミン(850mg1日1回で1ヵ月間投与後850mg1日2回で35ヵ月間投与) 204例 ・対照群(プラセボ群):積極的監視療法+プラセボ 203例 ・評価項目: [主要評価項目]無増悪期間(治療を要する進行[前立腺摘除術、放射線治療、ホルモン療法、focal therapyのいずれかの開始]または病理学的進行[生検陽性コア数>1/3、陽性コアにおけるがん占拠率≧50%、Gleasonスコア≧4]のうち最も早い発生までの期間と定義)

ロルラチニブ、ALK肺がん1次治療の効果をさらに改善、5年PFS中央値に到達せず(CROWN)/ASCO2024

 ALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するロルラチニブ1次治療の無増悪生存期間(PFS)が5年経過しても中央値に達しなかった。  第III相CROWN試験の5年フォローアップ結果を、オーストラリア・PeterMaCllumがんセンターのBenjamin J. Solomon氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HR+/HER2-転移乳がん、SG+ペムブロリズマブvs.SG(SACI-IO HR+)/ASCO2024

 既治療の切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんに対して、sacituzumab govitecan(SG)+ペムブロリズマブを、SG単独と比較した無作為化非盲検第II相SACI-IO HR+試験で、ペムブロリズマブ併用による無増悪生存期間(PFS)の有意な改善は認められなかった。米国・ダナファーバーがん研究所のAna Christina Garrido-Castro氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

国内の患者・市民参画(PPI)に光、「患医ねっと」がMade with Patients Award受賞

 欧州で患者中心の医療・医薬品開発に力を注いでいる組織PFMD、EUPATI、EPFが5月23日(日本時間)に開催したイベント『Patient Engagement Open Forum 2024』において、患医ねっと「くすりと生活プロジェクト」(代表:鈴木 信行氏)が、Made with Patients Awardsのファイナリストとしてノミネートされ、審査員特別賞を受賞した。  患医ねっとは2011年に鈴木氏が設立し、より良い患者協働の医療環境を目指し、患者と医療者がともにイベントや研修会の開催を通じて、お互いを深く知る場を作ることを目的として活動を行う団体である。鈴木氏は生まれつき二分脊椎症を抱え、がんサバイバーでもある。「病気の先にあるその人らしい生活、皆で支えられる社会を求め、『患者と医療者をつなぎ、日本のより良い医療環境を実現させる』理念」を掲げ、医療にかかわる人々をつなげる機会や場を創出している。今回ノミネートされた“Made with Patients Award”は、医療における患者参画の優れた模範となる個人や取り組みを表彰するもので、今年は世界中の110もの候補が審査され、日本人として唯一、鈴木 信行氏が団体の代表として審査員特別賞であるJury‘s Special Champion Awardを獲得した。

転移大腸がん1次治療のニボルマブ+イピリムマブ、PFS2も良好(CheckMate 8HW)/ASCO2024

 肺がん、胃がんなど幅広い固形がんで有用性が報告されているニボルマブ+イピリムマブのレジメン。本レジメンの転移大腸がん1次治療における有用性を検証するCheckMate 8HW試験では、2024年1月に行われたASCO-GIにおいて、ニボ+イピが化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。5月31日~6月4日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・南カリフォルニア大学のHeinz-Josef Lenz氏が本試験のPFSの追加解析結果を報告した。