腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:258

IV期NSCLCにおける放射線治療と免疫CP阻害薬の相乗効果

 切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線同時療法の維持治療にデュルバルマブが適応になるなど、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせは相乗効果をもたらすとされる。しかし、IV期NSCLCにおける放射線治療の意義を明確に示した報告は少ない。埼玉医科大学国際医療センターの山口央氏らは、放射線療法(RT)の治療歴がその後のニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療効果や予後に影響を与えるかを後方視的に解析した。Thoracic Cancer誌2019年4月号の掲載報告。

進行胆道がん、nab-パクリタキセルの上乗せで生存延長/JAMA Oncol

 進行胆道がんの生存期間改善に有望な治療法が示唆された。現在、進行胆道がんに対する標準治療はゲムシタビン+シスプラチンであるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は8.0ヵ月、全生存期間(OS)は11.7ヵ月である。米国・アリゾナ大学がんセンターのRachna T. Shroff氏らは、ゲムシタビン+シスプラチンへのnab-パクリタキセルの上乗せ効果について検討し、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法により、ヒストリカルコントロール(ゲムシタビン+シスプラチン)の報告と比較し、PFSおよびOSが改善したことを報告した。著者は「今回の結果は、第III相の無作為化臨床試験で検証されることになるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年4月18日号掲載の報告。

再発/難治性多発性骨髄腫でCAR-T療法が有望/NEJM

 再発または難治性多発性骨髄腫患者において、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるbb2121の、安全性と抗腫瘍効果が確認された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのNoopur Raje氏らが、bb2121の第I相臨床試験(CRB-401試験)の結果を報告した。bb2121は、前臨床試験において、多発性骨髄腫の治療薬として有望であることが示されていた。NEJM誌2019年5月2日号掲載の報告。  研究グループは、2016年1月31日~2018年4月30日の期間に、プロテアソーム阻害薬および免疫調整薬を含む3レジメン以上の治療歴がある、または両方の薬剤に治療抵抗性の再発/難治性多発性骨髄腫患者を登録した。

APT試験のHER2陽性乳がん、術後パクリタキセル+トラスツズマブの長期転帰/JCO

 Adjuvant Paclitaxel and Trastuzumab(APT)試験は、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんに対する術後化学療法としてのパクリタキセル・トラスツズマブ併用療法について検討した第II相試験。これまでに主要解析の3年無病生存率(DFS)は98.7%であることが示されていたが、今回、長期追跡(7年)の結果が米国・ダナ・ファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らにより発表された。長期予後はきわめて良好であったこと、また、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんの内因性サブタイプは腫瘍径が大きなHER2陽性乳がんと類似していることや、パクリタキセル誘発性末梢神経障害(TIPN)に関連する一塩基多型(SNP)について明らかになったという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年4月2日号掲載の報告。

がん生存率に降圧薬が影響するか

 降圧薬のがん生存率に対する影響について結論は出ていない。米国ヴァンダービルト大学医療センターのYong Cui氏らは、主な降圧薬と乳がん、大腸がん、肺がんおよび胃がんの全生存(OS)・がん特異的生存(DSS)との関連について、潜在的な交絡因子を包括的に調整し、時間依存Cox回帰モデルにより検討した。その結果、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、Ca拮抗薬が、消化器がんの生存を改善する可能性が示唆された。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2019年5月7日号に掲載

内容充実!『がん免疫療法ガイドライン』の第2版が発刊

 2019年3月29日、日本臨床腫瘍学会が編集した『がん免疫療法ガイドライン第2版』が発刊。2016年に初版が発行されてから2年。非常にスピーディな改定が行われた。今回の改定では、この間に明らかとなった各疾患での治療エビデンスや副作用管理などが集約化された。  本ガイドラインの構成についての大幅なリニューアルはないが、各項の解説が「発症の頻度」、「臨床症状と診断」、「治療方針」に細分化されたことで、実臨床に役立てやすくなっている。

ER陽性/HER2 陰性乳がんに対するS-1 アジュバントが有効中止/京都大学

 京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科 戸井雅和氏(中井雅和氏)を主任研究者とした研究グループが2012年より実施してきたエストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性乳がんに対するS-1術後療法ランダム化比較第Ⅲ相試験(POTENT試験)の中間解析結果を同大学のHPで発表。  主要評価項目である無浸潤疾患生存期間が、事前に設定した有効中止の基準に合致したことにより試験を中止することを決定した。POTENT試験は先進医療Bに基づく医師主導の臨床試験。

NSCLC患者ががん治療に対し望むこと

 自分が受けているがん治療に対し、患者は何を望み、どのように考え、どんな情報を求めているのだろうか。  日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、「非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおける治療選択に関する意識調査」を実施し、その結果を2019年5月9日に発表した。  本調査は、2018年12月13~16日に、NSCLC治療経験のある患者(現在薬物治療中または薬物治療終了から1年未満)139例を対象に、がん情報サイト「オンコロ」にてアンケート形式で実施された。

DS-8201、HER2陽性乳がん第II相臨床試験の結果/第一三共

 第一三共株式会社とアストラゼネカは、HER2陽性の再発または転移のある乳がん患者を対象とした抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)の第II相臨床試験(DESTINY-Breast01)において、臨床的意義のある効果が示されたと発表。  同試験は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発または転移のある乳がん患者253例を対象とした北米、欧州および日本を含むアジアにおけるグローバル第II相臨床試験。同試験の主要評価項目である客観的奏効率は、2019年4月に医学雑誌「The Lancet Oncology」にて公表された本剤の日米共同第1相臨床試験の結果と同様の傾向が認められた。

がん患者のVTE、抗凝固薬投与は3ヵ月以上?

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、がん患者における上位の疾患・死亡要因である。がん患者のVTE治療は、現在のところ3~6ヵ月以上の抗凝固療法が推奨されているが、至適期間は不明であった。米国・クリーブランドクリニックのAlok A. Khorana氏らは、新たに診断されたVTEを有するがん患者について、後ろ向きコホート研究を行い、抗凝固療法は3ヵ月以上でVTE再発リスクを約50%低下させることを明らかにした。Supportive Care in Cancer誌オンライン版2019年2月8日号掲載の報告。