腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:327

小児がんサバイバーの晩期死亡率の改善、治療曝露量の減量が寄与/NEJM

 5年生存を達成した小児がん患者の晩期死亡率を低減する治療戦略として、治療曝露量の減量が有効であることが、米国・聖ジュード小児研究病院のGregory T. Armstrong氏らの調査で明らかとなった。米国で1970~80年代に小児がんと診断され、5年生存を達成した患者の18%が、その後の25年以内に死亡している。そのため、最近の小児がん治療の目標は、晩発性の生命を脅かす作用をいかに減じるかに置かれているという。NEJM誌オンライン版2016年1月13日号掲載の報告より。

再発/難治性多発性骨髄腫、daratumumab単剤投与は有効/Lancet

 再発または難治性多発性骨髄腫に対し、新規抗ヒトCD38モノクロナール抗体daratumumab単剤投与は、良好な安全性プロファイルを示し有効性も期待できることが、米国・エモリー大学のSagar Lonial氏らによる国際多施設共同第II相非盲検無作為化試験「SIRIUS」の結果、明らかとなった。著者は、「十分な奏効が得られ忍容性も良好であることから、daratumumabの16mg/kg投与は、病勢進行の再発・難治性多発性骨髄腫患者に対する治療選択肢となりうる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年1月6日号掲載の報告。

抗ヒトTリンパ球免疫グロブリン追加でGVHDが半減/NEJM

 急性白血病患者に対する同種末梢血幹細胞移植において、従来の骨髄破壊的前処置レジメンに抗ヒトTリンパ球免疫グロブリン(ATG)を加えると、2年時の慢性移植片対宿主病(GVHD)の発症率が半減することが、ドイツのハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのNicolaus Kroger氏らの検討で示された。慢性GVHDは、同種造血幹細胞移植後の晩期合併症や死亡の主な原因で、QOLを損なう。この20年間で、急性GVHDの予防には改善がみられるが、慢性GVHDの予防は改善されていない。ATGは唯一、非血縁ドナー由来の幹細胞移植時に使用すると慢性GVHDの発症率を低下させるとの報告があり、HLA一致ドナーからの移植に関する小規模の後ろ向き試験で抑制効果が確認されている。NEJM誌2016年1月7日号掲載の報告。

双子のがん発症、家族性リスクと強い関連/JAMA

 北欧の双生児を長期に追跡した研究で、すべてのがんおよび特異的がん(前立腺、メラノーマ、乳がん、卵巣、子宮がんなど)において、過剰な家族性リスクが有意に認められることを、米国・ハーバード公衆衛生大学院のLorelei A. Mucci氏らが報告した。住民集団ベースの研究で、家族性がんリスクは、がんリスク予測の基本要素とされている。著者は、「がんの遺伝性リスクに関する本情報は、患者教育やがんリスクカウンセリングに役立つだろう」とまとめている。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

乳がん術後化学療法中のLHRHa、卵巣機能を長期保護/JAMA

 年齢中央値39歳の早期乳がん患者の術後化学療法中に、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ(LHRHa)製剤のtriptorelin併用は、化学療法単独と比べて妊娠率について統計的に有意な差はなかったが長期的な卵巣機能の回復率が高いことが、イタリア・IRCCS AOU San Martino-ISTのMatteo Lambertini氏らによる無作為化試験の結果、示された。無増悪生存(DFS)については、試験の検出力に限界があったとしたうえで、統計的有意差は認められなかったと報告している。化学療法中のLHRHa併用は卵巣機能保護戦略として信頼性が高いが、長期的な卵巣機能への影響、および妊娠に関するデータは不足していた。また、併用療法に関する安全性への懸念もあり論争の的となっていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

悪性胸水の治療でNSAIDsは回避すべきか/JAMA

 胸膜癒着術を受けた悪性胸水患者に対し非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用しても、オピオイド使用と比べ疼痛について有意差は認められなかったことが報告された。NSAIDs群では鎮痛薬のレスキュー使用が多くみられたが、3ヵ月時点の評価で胸膜癒着術の有効性については非劣性であったという。英国・オックスフォード大学のNajib M. Rahman氏らが第III相無作為化試験を行い報告した。試験では、胸腔チューブサイズの違い(12F vs.24F)による影響についても調べ、その結果、12Fサイズのほうが統計的に有意だが臨床的にはわずかな疼痛緩和をもたらすこと、ただし、胸膜癒着術の有効性に関する非劣性基準は満たさなかったことが示された。悪性胸水の治療において、NSAIDsは胸膜癒着術の効果を減弱するとして使用が回避されている。また胸腔チューブは細いものほうが疼痛を緩和するかもしれないが、胸膜癒着術の効果が得られないとされていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

ホジキンリンパ腫の二次がんリスク、長期にわたって増加/NEJM

 ホジキンリンパ腫患者の治療後の二次がんリスクは、一般集団と比べて、治療後35年を経過しても3.9倍に上ることが明らかにされた。また、二次固形がんリスクについて、1989~2000年に治療を受けた群は、それ以前に治療を受けた群に比べても低くはなっていなかったという。オランダ・がんセンター研究所のMichael Schaapveld氏らが、1965~2000年にホジキンリンパ腫の治療を始めた3,905例について行った試験で明らかにした。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。

中皮腫の初回治療、ベバシズマブ上乗せでOS延長/Lancet

 悪性胸膜中皮腫の初回治療について、標準療法であるシスプラチン+ペメトレキセドの併用療法へのベバシズマブの上乗せは、全生存期間(OS)を有意に改善することが、フランス・カーン大学のGerard Zalcman氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。毒性効果として循環器系の有害事象が増えるものの、著者は、「予想の範囲内のものであり、ベバシズマブの上乗せは適切な治療と見なすべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月21日号掲載の報告。