腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:340

全周追加切除で早期乳がんの再手術が減少/NEJM

 乳房部分切除術後に切除腔の組織を全周的に追加切除すると、追加切除を行わない場合に比べ断端陽性率が改善し、再手術率が半減することが、米国イェールがんセンターのAnees B Chagpar氏らの検討で示された。早期乳がん女性の多くが乳房部分切除術による温存治療を受けており、全摘出術と同等の生存率が達成されている。一方、部分切除術後の断端陽性率は約20~40%とされ、この場合は局所再発を回避するために再手術を行うことが多い。NEJM誌オンライン版2015年5月30日号掲載の報告より。

アトピー性皮膚炎は皮膚リンパ腫のリスク因子?

 アトピー性皮膚炎(AD)患者におけるリンパ腫のリスク増加について議論となっている。フランス・ポール サバティエ大学のLaureline Legendre氏らは、AD患者のリンパ腫リスクと局所治療の影響を検討する目的でシステマティックレビューを行い、AD患者ではリンパ腫のリスクがわずかに増加していることを明らかにした。ADの重症度が有意なリスク因子であった。この結果について著者は「重度ADと皮膚T細胞性リンパ腫の混同がリンパ腫リスクの増加の一因となっている可能性がある」と指摘したうえで、「局所ステロイド薬および局所カルシニューリン阻害薬が重大な影響を及ぼすことはなさそうだ」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年6月号(オンライン版2015年4月1日号)の掲載報告。

問診のみで5年以内の死亡を予測可能?50万人の前向き研究/Lancet

 身体的な検査を行わなくても、通常の問診のみで得た情報が、中高年者の全死因死亡を最も強力に予測する可能性があることが、英国のバイオバンク(UK Biobank)の約50万人のデータを用いた検討で明らかとなった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAndrea Ganna氏とウプサラ大学のErik Ingelsson氏がLancet誌オンライン版2015年6月2日号で報告した。とくに中高年者の余命を正確に把握し、リスクを層別化することは、公衆衛生学上の重要な優先事項であり、臨床的な意思決定の中心的課題とされる。短期的な死亡に関する予後指標はすでに存在するが、これらは主に高齢者や高リスク集団を対象としており、サンプルサイズが小さい、リスク因子数が少ないなどの限界があるという。

気管支鏡の肺がん診断、遺伝子スコアで精度改善/NEJM

 気管支鏡検査による肺がん診断の精度改善に、気管支上皮細胞の遺伝子発現分類を加味することが有用であることが、米国・南カリフォルニア大学のGerard A. Silvestri氏らが行った2つの多施設共同前向き試験(AEGIS-1、AEGIS-2)の結果、示された。米国では年間約50万例の気管支鏡検査が行われているが、そのうち約半数例は肺がんの診断が不能で、それらの多くで追加の侵襲的検査が行われ、結果として良性病変であることが多いという。研究グループは、気管支の遺伝子発現分類を用いることで気管支鏡検査の診断が改善することを確認するため本検討を行った。NEJM誌オンライン版2015年5月17日号掲載の報告より。

進行卵巣がんの術前化療、術後に非劣性/Lancet

 病期III・IVの卵巣がんに対して、化学療法を先行して後に手術を行う場合でも、手術を先行して後に化学療法を行う場合と比べてアウトカムは非劣性であることが示された。英国・バーミンガム大学のSean Kehoe氏らが、550例を対象に行った第III相の非盲検非劣性無作為化試験「CHORUS」の結果、報告した。著者は「今回の試験集団において進行卵巣がんについて、化学療法を手術よりも先行して行うことは標準療法として容認できるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年5月19日号掲載の報告より。

海藻摂取と甲状腺がん発症に関連認めず

 ヨウ素の過剰摂取は甲状腺がんのリスク因子と考えられている。わが国では主に海藻からヨウ素を摂取し、その量は世界的にみても多い。国内のこれまでの疫学的研究では、海藻を毎日摂取すると閉経後女性で甲状腺がんリスクが4倍高くなり、それ以外では関連がなかったと報告している。今回、JACC研究(the Japan collaborative cohort study)※グループは、1988~2009年に追跡したJACC研究で、日本女性の海藻摂取頻度と甲状腺がんリスクとの関連を調査した。その結果、閉経前後にかかわらず、海藻摂取と甲状腺がん発症率との関連は認められなかった。European journal of cancer prevention誌オンライン版2015年5月14日号に掲載。

1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。