腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:66

腎細胞がん、ニボルマブ+イピリムマブによるアジュバント療法のサブグループ解析(CheckMate 914)/ASCO2023

 未治療の進行期腎細胞がん(RCC)に対するニボルマブ+イピリムマブ療法は、長期にわたる有効性と忍容性が報告されている。一方、術後RCCにおいて同レジメンのアジュバント療法を評価するCheckMate 914試験(PartA)では、無病生存期間(DFS)への恩恵は示されていない。  米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)では、この理由を明らかにするため、CheckMate 914試験(PartA)のサブグループ解析について、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏が発表した。

KRAS G12C変異陽性NSCLCに対するソトラシブ+化学療法の有効性(SCARLET)/ASCO2023

 KRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、KRAS G12C阻害薬であるソトラシブとカルボプラチン、ペメトレキセドとの併用療法が有用である可能性が示された。国内単群第II相試験として実施されたSCARLET試験の主要評価項目の解析結果として、和歌山県立医科大学の赤松 弘朗氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。  KRAS G12Cは進行非扁平上皮NSCLCのdruggableターゲットで、免疫チェックポイント阻害薬(±プラチナダブレット化学療法)、ソトラシブ、細胞障害性抗がん剤単剤が標準治療とされてきた。SCARLET試験では、化学療法治療歴のないKRAS G12C変異陽性の進行非扁平上皮NSCLCに対して、ソトラシブ、カルボプラチン、ペメトレキセドの併用療法の有効性と安全性について評価した。

抗CD7塩基編集CAR-T細胞療法、T細胞性ALLに有望/NEJM

 英国・Great Ormond Street Hospital for Children NHS TrustのRobert Chiesa氏らは、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の小児患者を対象とした、抗CD7塩基編集キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法の第I相試験において、最初の3例中2例で寛解が得られたことを報告した。CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)によるシチジンの脱アミノ化は、DNAに切断を生じさせることなくシトシンからチミンへ極めて正確に塩基置換変異を起こすことができる。すなわち、転座やその他の染色体異常を誘発することなく遺伝子を塩基編集し不活性化できることから、再発T細胞白血病小児患者において、この技術の使用が検討されている。著者は、「今回の中間結果は、再発白血病患者に対する塩基編集T細胞療法のさらなる研究を支持するもので、また、免疫療法に関連した合併症の予想されるリスクも示している」とまとめている。NEJM誌オンライン版2023年6月14日号掲載の報告。

HER2陽性胆道がんに対するzanidatamabの有用性(HERIZON-BTC-01)/ASCO2023

 HER2陽性胆道がんに対する抗HER2二重特異性抗体zanidatamabの有用性に関するデータが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・MDアンダーソンがんセンターのShubham Pant氏から発表された。  zanidatamabはHER2の細胞外部位のドメイン2とドメイン4に同時に結合する新規の二重特異性抗体であり、HER2の二量体形成の強力な抑制作用が示されている。今回の発表はアジアを中心に行われた国際共同の第IIb相試験HERIZON-BTC-01の結果である。 ・対象:ゲムシタビン含有レジメンの治療歴を有する局所進行または転移のあるHER2陽性胆道がん ・介入:HER2のIHC2+、3+症例(コホート1)     HER2のIHC0と1+症例群(コホート2)     zanidatamabは20mg/kgを2週間隔で投与し、2週間休薬の4週間サイクルで点滴した ・評価項目: [主要評価項目]独立評価委員会によるコホート1の奏効率 [副次評価項目]奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性など

肝細胞がんデュルバルマブ+トレメリムマブの1次治療、免疫介在性有害事象とOS の関係(HIMALAYA)/ASCO2023

 切除不能肝細胞がん(uHCC)に対する1次治療として抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブの併用は、免疫介在性有害事象(imAE)発生の有無にかかわらず、全生存期間(OS)の延長を示していた。第III相のHIMALAYA試験の探索的解析の結果として、香港humanity and health clinical trial centerのGeorge Lau氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)にて発表した。

早期乳がんの死亡率、どのくらい下がったのか/BMJ

 英国・オックスフォード大学のCarolyn Taylor氏らは、National Cancer Registration and Analysis Service(NCRAS)のデータを用いた観察コホート研究を行い、早期浸潤性乳がん女性の予後は1990年代以降大幅に改善され、ほとんどの人が長期がんサバイバーとなっているものの、依然として少数例で予後不良リスクが伴うことを報告した。早期浸潤性乳がん診断後の乳がん死亡リスクは、過去数十年間で低下しているが、その低下の程度は不明であり、また低下は特定の特性を持つ患者に限定されるのか、すべての患者に当てはまるのか不明であった。BMJ誌2023年6月13日号掲載の報告。

大腸がんリスクの低い人では便検査を用いた3年間隔での大腸がん検診が適切か

 平均的な大腸がんリスクのある人では、マルチターゲット便DNA検査(mt-sDNA)を用いた大腸がん検診は、3年間隔が臨床的に適切なようであるとの研究結果が、「Cancer Prevention Research」2月号に掲載された。  米インディアナ大学のThomas F. Imperiale氏らは、3年間隔でのmt-sDNAの臨床的有用性を検討。解析対象は、医療従事者によりmt-sDNAが適格と判定された大腸がん検診の候補者2,044人(2015年4月~2016年7月)で、mt-sDNA陽性例は大腸内視鏡検査を受け、陰性例は3年間、毎年追跡された。

転移乳がんへのカペシタビン、固定用量vs.標準用量(X-7/7)/ASCO2023

 転移を有する乳がん(MBC)患者を対象としたX-7/7試験において、カペシタビンの固定用量(1,500mg 1日2回 7日間投与後7日間休薬)は、体表面積に基づく用量(1,250mg/m 1日2回 14日間投与後7日間休薬)と比較して、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)に差はなく、手足症候群などの有害事象の発生率が低かったことを、米国・カンザス大学がんセンターのQamar J. Khan氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

TKI耐性EGFR陽性NSCLCに対するペムブロリズマブ+化学療法の最終解析(KEYNOTE-789)/ASCO2023

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)耐性のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブと化学療法の併用は、統計学的に有意な生存ベネフィットを示さなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、国立台湾大学病院のJames Chih-Hsin Yang氏が発表した、国際共同二重盲検第III相KEYNOTE-789試験の最終解析の報告である。

がん遺伝子検査、よく受けるがん種・人種は?/JAMA

 米国・スタンフォード大学のAllison W. Kurian氏らは、2013~19年に同国カリフォルニア州とジョージア州でがんと診断された患者のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けた患者の割合が6.8%とごくわずかであり、非ヒスパニック系白人に比べ、黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者ではより低いことを示した。同検査は遺伝性のがんリスクを明らかにし、遺伝学的な標的治療を可能にすることで、がん患者の生存率を向上させるが、米国ではどのくらいの患者が受けているかは、これまで知られていなかった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月5日号で報告された。