腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:68

ペムブロリズマブ+化学療法、悪性胸膜中皮腫1次治療のOSを改善/MSD

 2023年3月10日、Merck社は切除不能な進行または転移のある悪性胸膜中皮腫の1次治療においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価する第II/III相CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験で、主要評価項目の全生存期間(OS)を達成したことを発表した。  IND.227/KEYNOTE-483試験は、Canadian Cancer Trials Group(CCTG)が実施医療機関となり、National Cancer Institute of Naples(NCIN)およびIntergroupe Francophone de Cancerologie Thoracique(IFCT)と共同で実施する非盲検無作為化第II/III相試験である。

肺がんパネル検査、RT-PCR(Amoy 9 in 1)の臨床応用/日本臨床腫瘍学会

 肺がん遺伝子パネル検査における、リアルタイムPCR(RT-PCR)Amoy 9 in 1の実用性を、大阪国際がんセンターの國政 啓氏が発表した。  次世代シークエンス(NGS)は多くの遺伝子を包括的に同定できる一方、コストが高く、解析結果の返却までの時間(TAT)が比較的長い。RT-PCRは低コストでTATが短い反面、同定できる遺伝子が限定される。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、國政氏が発表したリアルワールド研究では、LC-SCRUM-Asiaに登録した自施設の肺がん患者を対象に、Amoy 9 in 1とNGSの検査成績と実用性を、2019年6月~2021年12月に比較解析している。

進行または再発の子宮頸がんに対する単剤療法「リブタヨ」発売/サノフィ

 サノフィは3月30日付のプレスリリースで、「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌」を効能または効果として、リブタヨ点滴静注350mg(一般名:セミプリマブ、以下「リブタヨ」)の販売を同日より開始したことを発表した。  子宮頸がんは、世界では女性のがん死因の第4位に当たり、35~44歳での診断が最も多い疾患である。大部分はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を原因とし、約80%を扁平上皮がん(子宮頸部の外部を覆う細胞から発生)、残る患者の多くを腺がん(子宮頸部の内部にある腺細胞から発生)が占めている。進行または再発の子宮頸がんの治療選択肢は限られており、世界で毎年約57万人の女性が子宮頸がんと診断されていることから、新たな治療法の登場が望まれていた。

初回化学療法反応後の維持療法としてのCDK4/6阻害薬の有用性/日本臨床腫瘍学会

 切除不能または転移のある乳がん患者(MBC)患者に対する初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法が、有望な有効性と管理可能な安全性プロファイルを示したことを、大阪国際がんセンターの藤澤 文絵氏が第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  MBC乳がんに対するベバシズマブ+パクリタキセル導入化学療法後の維持療法として、内分泌療法(+カペシタビンあるいはベバシズマブ併用)の有用性が国内多施設無作為化第II相試験(KBCSG-TR12141)、BOOSTER試験2))で報告されている。しかし、内分泌療法+CDK4/6阻害薬併用維持療法の有効性と安全性に関するデータは十分ではない。そこで、藤澤氏らはMBC患者における初回化学療法反応後の維持療法としての内分泌療法+CDK4/6阻害薬の安全性と有効性を調査した。

アナモレリン投与、日本人5,000例のリアルワールドデータ/日本臨床腫瘍学会

 グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)は、2021年1月に非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、膵臓がん、大腸がんに伴う悪液質治療として国内で保険承認された。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)において、室 圭氏 (愛知県がんセンター 副院長/薬物療法部長)が国内の患者約5,000例を対象とした市販後全例調査(PMS)の中間解析結果を発表した。

肺がん骨転移へのゾレドロン酸8週ごと投与/日本臨床腫瘍学会

 肺がん骨転移に対するゾレドロン酸8週ごと投与の結果を、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、大阪国際がんセンターの田宮 基裕氏が発表した。  ゾレドロン酸は、固形がんのがん骨関連事象(SRE)や症状緩和には欠かせない薬物である。一方、顎骨壊死などの重篤な有害事象の発現リスクも見逃せない。そのため、投与間隔の長短による、有効性と安全性の違いが研究されている。田宮氏が発表した無作為オープンラベル第II相試験(Hanshin Cancer Group0312)は、添付文書用法である3〜4週ごとと、8週ごとを比較したもの。

m-FOLFOXIRI+セツキシマブ、RAS/BRAF野生型+左側原発大腸がんに有用/日本臨床腫瘍学会

 DEEPER試験は未治療の切除不能転移RAS野生型大腸がんの患者を対象に、m-FOLFOXIRI+セツキシマブの有効性と安全性をm-FOLFOXIRI+ベバシズマブと比較して検証することを目的とした無作為化第II相試験である。すでにセツキシマブ群が主要評価項目であるDpR(最大腫瘍縮小率)を有意に改善したことが報告されている。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)のPresidential Session 4(消化器)で、本試験における最終登録から3年後の解析結果を、辻 晃仁氏(香川大学 医学部臨床腫瘍学講座)が発表した。

新しい乳がん画像診断技術は標準的なマンモグラフィよりも有用な可能性

 トモシンセシスと呼ばれる新しい画像診断技術を乳がんのスクリーニング検査(乳がん検診)に利用することで、より多くの乳がんを発見でき、また、要精検率が低く、精密検査での陽性的中率は高いことが、米ペンシルベニア大学病院乳房画像診断部門のEmily Conant氏らが実施した大規模研究で示された。Conant氏は、「トモシンセシスは標準医療となりつつあり、通常は保険が適用される。トモシンセシスの装置がある医療機関を探してみてほしい」と呼びかけている。この研究結果は、「Radiology」に3月14日掲載された。

難治転移大腸がんへのfruquintinib、日本人患者にも有用/日本臨床腫瘍学会

 転移のある大腸がん患者に対する血管内皮増殖因子受容体 (VEGFR) -1、2、3を標的とするfruquintinibの有効性を示したFRESCO-2試験。本試験における日本人サブグループの解析結果を、2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)のPresidential Session 4(消化器)で、国立がん研究センター東病院の小谷 大輔氏が発表した。  FRESCO-2試験は米国、欧州、オーストラリア、日本で実施された国際共同第III相試験であり、fruquintinib+最善の支持療法(BSC)またはプラセボ+BSCに2:1で無作為に割り付けられた。fruquintinib(F群)またはプラセボ(P群)を1日1回投与(5mgを28日周期で3週間投与し、1週間休薬)した。主要な患者選択基準には、標準化学療法が不応または不耐であること、抗VEGF 療法歴を有すること、RAS野生型の場合は抗EGFR療法歴を有すること、適応がある場合は免疫チェックポイント阻害薬またはBRAF阻害薬治療歴を有すること、またトリフルリジン/チピラシルとレゴラフェニブの両方もしくはいずれかの治療歴を有することが含まれた。

CDK4/6阻害薬+内分泌療法、HER2低発現乳がんでの有効性/日本臨床腫瘍学会

 HER2低発現とHER2ゼロの進行乳がん患者において、CDK4/6阻害薬および内分泌療法の効果を比較した結果、両群の無増悪生存期間(PFS)中央値や内分泌療法の治療成功期間(TTF)中央値に有意差はなかったことを、大阪市立総合医療センターの大森 怜於氏が、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で発表した。  内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行・再発乳がんの標準治療となっている。HER2低発現(IHC1+またはIHC2+/ISH-)は新たに注目されている分類だが、HER2低発現乳がんに対する研究はまだ限られている。