マクロ地中海食、乳がんの再発予防効果なし?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/17

 

 いくつかの前向き研究で、食事の質の向上が乳がん患者の生存率改善と関連することが示唆されているが、乳がん特異的死亡率への影響については定まっていない。今回、イタリア・Fondazione Istituto Nazionale TumoriのFranco Berrino氏らがマクロ地中海食(地中海食に味噌や豆腐などの日本由来のマクロビオティックを取り入れた食事)による乳がん再発抑制効果を無作為化比較試験(DIANA-5試験)で検討したところ、再発抑制効果は示されなかった。しかしながら、推奨される食事の順守度による解析では、推奨された食事への変化率が上位3分位の女性では有意に予後が良好だったという。Clinical Cancer Research誌オンライン版2023年10月17日号に掲載。

 本試験の対象は、再発リスクの高い(エストロゲン受容体陰性もしくはメタボリックシンドロームもしくは血中インスリン/テストステロン高値)乳がん患者1,542例で、食事介入群と対照群に無作為に割り付けた。食事介入群には、料理教室、コミュニティでの食事、食事推奨などで積極的に介入した。推奨される食品は全粒穀物、豆類、大豆製品、野菜、果物、ナッツ類、オリーブ油、魚などで、回避すべき食品は精製品、ジャガイモ、砂糖、デザート、赤肉、加工肉、乳製品、アルコール飲料である。食事順守の指標として、推奨される食品と回避すべき食品の差をDietary Indexとした。

 主な結果は以下のとおり。

・5年の追跡期間中に、食事介入群95例、対照群98例で乳がんが再発し(ハザード比[HR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.69~1.40)、差はみられなかった。
・両群を合わせてDietary Indexの変化率が上位3分位の女性は、下位3分位の女性に対して、再発のHRが0.59(95%CI:0.36~0.92)であった。

 著者らは「本結果は、今後の食事療法の研究において、推奨される食事をより順守し、無作為化した群間に十分な差別化を図ることの重要性を指摘している」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)