眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

正常眼圧緑内障にも遺伝子変異の関与が示唆

 原因が特定されていない正常眼圧緑内障(NTG)について、ミオシリン(MYOC)遺伝子変異にp.Gln368Terが関与しているとの知見が報告された。MYOC遺伝子変異は、原発開放隅角緑内障における緑内障遺伝子として同定されている。今回、米国・アイオワ大学のWallace L. M. Alward氏らは2つの症例対照研究を行い、p.Gln368Terの関連を調査。その結果、NTG患者への関連頻度は、既報の高眼圧(IOP)患者のそれよりは低かったものの認められることを報告した。p.Gln368Terについては、これまでに最大30mmHg以上のIOPの原発開放隅角緑内障患者で1.6%の関連が報告されている。一方、眼圧21mmHg以下のNTG患者での関連は不明であった。著者は、「IOP患者と同様、21mmHg以下の正常眼圧患者においても、p.Gln368Terが緑内障と関連している可能性が示唆された」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2019年2月28日号掲載の報告。

ドライアイに新規シクロスポリン点眼液が有効

 シクロスポリン(CsA)点眼液CyclASol(0.1%、0.05%含有の2規格)は、中等度~重度ドライアイ(DED)に対し、有効性、安全性ならびに忍容性が良好であることが、米国・Eye Research FoundationのDavid L. Wirta氏らによる第II相臨床試験で示された。角膜および結膜染色による評価でCyclASolと実薬対照を比較したところ、投与開始後2週間という早期で効果が認められ、とくに視覚機能として重要な角膜の中央領域で有効性が顕著であった。著者は、「優れた安全性・忍容性および快適性のプロファイルは、有望なベネフィット・リスク比を有するDED治療薬として、この新しいCsA点眼液を支持するものである」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2019年1月28日号掲載の報告。

白内障手術に新たなデバイス、国内初の技術で負担軽減に期待

 2019年2月4日、日本アルコン株式会社は、同日正式発売となった自動プリロード眼内レンズデリバリーシステム「Clareon AutonoMe」に関する、メディアセミナーを開催した。その中で、医療法人社団ライト 理事長の荒井 宏幸氏は「国内初導入!最先端白内障治療用眼内レンズのすべて」と題して、白内障手術における術式の歩みや、眼内レンズの挿入を自動化することのメリットなどについて講演を行った。  白内障を発症すると、角膜内の水晶体が濁ってくることで光が通りにくくなり、最終的に失明に至るため、水晶体の交換が必要となる。その際、角膜を切開し、眼内レンズ(IOL)を挿入する必要があるが、IOLおよびIOLを挿入するのに用いるインジェクターの進歩に伴い、必要となる切開創の長さが年々短くなってきている。20年前は角膜を半周程度切開して、IOLを挿入する必要があったが、現在では2~3mm程度の切開創から折りたたまれたIOLを挿入する術式が主流となっており、日帰り手術の施行も可能となっている。

緑内障の新しい治療薬、その効果は?

 米国・コロラド大学のMalik Y. Kahook氏は、高眼圧患者を対象としたランダム化二重盲検比較試験において、netarsudil点眼液0.02%1日1回投与は、大部分の患者において、12ヵ月にわたり眼圧(IOP)低下効果を示し、忍容性も良好であることを示した。netarsudilは、Rhoキナーゼ(ROCK)およびノルエピネフリントランスポーター(NET)の両者を阻害する新しい緑内障治療薬。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2019年1月14日号掲載の報告。

眼瞼脂腺がんの手術、モース顕微鏡vs.広範切除

 眼瞼の脂腺がん(SC)に対し、モース顕微鏡手術(Mohs micrographic surgery:MMS)または広範切除術(wide local excision:WLE)のどちらを実施するかについては、さまざまな議論がある。中国・上海交通大学医学院のChuandi Zhou氏らは後ろ向きコホート研究を行い、眼窩病変のないSCに対してはMMSのほうが局所再発を抑制できるものの、MMSは転移やがん関連死といった長期アウトカムには影響を及ぼさないことを明らかにした。なお、パジェット病による上皮内腫瘍を伴う患者に対しては、補助療法を要する可能性が示唆された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年1月9日号掲載の報告。

正常眼圧緑内障、未治療のままだと5年で進行

らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月31日号掲載の報告。  研究グループは、正常眼圧緑内障(NGT)の自然進行の特徴と進行に関与する危険因子を特定する目的で、未治療の日本人NGT患者に対して5年間の前向きコホート研究を行った。  対象患者は、ベースライン時点で未治療、IOPが15mmHg以下のNTG患者であった。視野(VF)検査を3ヵ月ごと、視神経乳頭/乳頭周囲網膜の写真撮影を6ヵ月ごとに行い、未治療のまま追跡調査した。

加齢黄斑変性、死亡リスクとの関連は?

 加齢黄斑変性(AMD)は、網膜下の血管新生を未治療のまま放置すると、不可逆的な視覚障害や失明に至る。中国・中山大学のZhuoting Zhu氏らは、AMDと生存との関連を知ることは、AMDの発現機序の理解に役立つとして解析を行った。その結果、後期AMDは全死因死亡、ならびに心血管疾患とがん以外の原因による死亡の独立した関連因子であることが示されたという。著者は、「この関連は、後期AMDの未測定または評価不十分な交絡因子による可能性もあるが、後期AMDが生物学的老化のマーカーになる可能性を示唆している」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年12月20日号掲載の報告。

加齢黄斑変性、酸化LDLと関連なし

 血清中の酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)は、加齢黄斑変性(AMD)の発症または悪化において統計学的に有意な関連は認められないことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校のRonald Klein氏らが、ビーバーダム眼研究(BDES:Beaver Dam Eye Study)のデータを解析、報告した。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月17日号掲載の報告。  BDESは、1988年にウィスコンシン州ビーバーダム市在住の43~84歳の住民を対象とする前向き観察研究として開始された。研究グループは、血清中の酸化LDLとAMDとの関連を調べる目的で、BDESにおいて1988~2016年に約5年間隔で行われた6回の調査期のうち1回以上の調査期に診察を受けた4,972例から、50%(2,468例)を無作為に抽出し、各調査期に保管された凍結検体についてELISA法を用いて酸化LDLを測定した。1人が複数回の調査期に診察を受けているため、合計6,586件の結果が含まれている。

大気中のブラックカーボン、高齢者の眼圧上昇に影響?

 眼圧上昇は、世界的にも不可逆的失明の主因とされる、緑内障の大きなリスク因子である。眼圧上昇の潜在的な一因として大気汚染が示唆されているが、これまでその関連を示す研究はほとんどされていない。米国・ハーバード大学のJamaji C. Nwanaji-Enwerem氏らは、米国退役軍人省のNormative Aging Studyにおける高齢男性のデータを解析し、生物学的に酸化ストレスの影響を受けやすい人では、大気中のブラックカーボンが眼圧上昇の危険因子になりうることを明らかにした。著者は、「さらなる研究で今回の結果が確認された場合、大気中のブラックカーボンの曝露や生理的な酸化ストレスをモニタリングすることで、眼圧に影響を及ぼす疾患の発症、進行を防ぐことができるかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年11月8日号掲載の報告。

ブリンゾラミド/ブリモニジン配合剤、24時間の眼圧低下に有効

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRobert N. Weinreb氏らは、開放隅角緑内障または高眼圧症患者におけるブリンゾラミド1%/ブリモニジン0.2%固定用量配合剤(BBFC)による治療は、プラセボと比較して、24時間眼圧を有意に低下させることを明らかにした。BBFCの24時間眼圧低下効果を評価する試験としては初となる大規模多施設共同試験で、Ophthalmology誌オンライン版2018年11月4日号に掲載された。