セマグルチドで肥満のある変形性膝関節症患者の体重減少と変形性関節炎の痛みが改善するが、副作用に関する懸念が残る(解説:名郷 直樹氏)
BMIが30を超える肥満の変形性膝関節症患者を対象にGLP1受容体アゴニスト、セマグルチドとプラセボを比較し、68週後の体重と痛みの変化を1次アウトカムにしたランダム化比較試験である。体重変化について、セマグルチド群で体重減少が10.5%多く、95%信頼区間[CI]が12.3~8.6%、痛みの改善について100点満点の痛みのスコアで14.1点、95%[CI]で20~8.3と改善の幅が大きいことが報告されている。61のサイトから407例が登録されているが、1施設当たりの患者数が7例以下と少なく、施設の違いが大きな交絡因子になる可能性がある。またランダム化が偶然の影響を受けやすいかもしれない。ただ、この研究では6例を単位としたブロックランダム化を採用しており、偶然の影響に対する対応がなされてはいる。しかし、実際患者背景を見ると、女性の割合や人種構成に差があり、BMIが40以上の割合がセマグルチド群で多く、喘息患者がプラセボ群で2倍というように、かなりの違いが認められる。数百人規模の試験であるために、患者背景が十分にそろっておらず、偶然の影響による交絡因子の排除に問題がある可能性が高い。