整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

肥満の膝OA患者へのセマグルチド、疼痛を改善/NEJM

 肥満(BMI値≧30)かつ中等度~重度の疼痛を伴う変形性膝関節症(OA)を有する患者において、週1回のセマグルチド皮下投与はプラセボと比較して、体重および膝OA関連の疼痛を有意に減少したことが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のHenning Bliddal氏らSTEP 9 Study Groupが二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。体重の減少は疼痛などの膝OAの症状を緩和することが示されているが、肥満者のGLP-1受容体作動薬の効果は十分には研究されていなかった。NEJM誌2024年10月31日号掲載の報告。

ビタミンD値が低いとサルコペニアのリスクが高い可能性

 血清ビタミンD値が低い高齢者は骨格質量指数(SMI)が低くて握力が弱く、サルコペニアのリスクが高い可能性のあることが報告された。大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学の赤坂憲氏らの研究結果であり、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に8月1日掲載された。  サルコペニアは筋肉の量や筋力が低下した状態であり、移動困難や転倒・骨折、さらに寝たきりなどのリスクが高くなる。また日本の高齢者対象研究から、サルコペニア該当者は死亡リスクが男性で2.0倍、女性で2.3倍高いことも報告されている。

心臓以外の大手術前のレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬使用継続は少なくとも予後や合併症に悪影響は与えない(解説:浦信行氏)

生体の血圧維持には主に交感神経系やRAS系の関与が大きな役割を担う。大手術では麻酔による影響で交感神経系が抑制されるが、その状況でRASを抑制すると血圧維持に支障を来たして重症低血圧を引き起こし、生命予後悪化や臓器障害の原因になりかねない。一方ではRAS阻害薬は降圧作用に加えて心血管系や腎臓を中心とした臓器保護作用を有し、継続したほうが良いとの考えもある。これまでの各国のガイドラインでも、継続を推奨するものと中止を推奨するものが相半ばし、明確な結論は出ていなかった。最近の比較的大規模の臨床試験でも継続群の合併症が有意に多く、また術中低血圧発症も有意に多かったとの報告を見る一方で、術中低血圧発症は有意に多かったが合併症に差がなかったとの報告も見られる。

患者数が5年で5倍!心不全診療で取りこぼせない疾患とは/日本心臓病学会

 心アミロイドーシスは、もはや希少疾患ではないのかもしれない―。9月27~29日、仙台で開催された第72回日本心臓病学会学術集会のシンポジウム「心臓アミロイドーシス診療Up to date」において、本疾患の歴史や病理診断、病態~治療に関する現況や最新情報が報告され、これまでの心アミロイドーシスに対する意識を払拭すべき現状が浮き彫りとなった。  心アミロイドーシスは全身性アミロイドーシスの一症状で、心臓の間質にアミロイド蛋白が沈着し、形態的・機能的異常をきたす進行性かつ予後不良の疾患である。アントニオ猪木氏が闘った病としても世間を賑わしたが、他方で医学界においても見過ごすことができない疾患として、今、注目を浴びている。

発酵乳製品、加齢による歩行速度の低下を抑制

 発酵乳製品が加齢に伴う歩行速度の低下を抑制することを示唆するデータが報告された。摂取頻度の多寡によって、男性では歩行速度に7.3年分に相当する差が生じ、さらに日常の歩数の多寡も考慮した場合、最大で22.0年分の差が生じる可能性があるという。東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室の青栁幸利氏らの研究によるもので、詳細は「Beneficial Microbes」に7月5日掲載された。  加齢に伴い身体機能およびストレス耐性が低下した、要介護予備群とも言える「フレイル」への公衆衛生対策が急務となっている。

高齢者の転倒は認知症リスクを高める

 高齢者での転倒は、転倒後1年以内に認知症の診断を受けるリスクの上昇と関連することが、高齢の外傷患者200万人以上を対象にした後ろ向きコホート研究により明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院外科・公衆衛生センター副所長のMolly Jarman氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に9月30日掲載された。  研究グループは、転倒は高齢者が外傷センターに入院する最も一般的な理由の一つであり、高齢者での主な外傷の原因だと指摘する。近年の研究により、アルツハイマー病および関連認知症(ADRD)の前段階とされる軽度認知障害の高齢者において転倒リスクが増加しているとするエビデンスが増えつつある。しかし、転倒を経験した高齢者において認知症リスクが高まるのかどうかについては明らかになっていない。

座位時間を毎日1時間減らすと腰痛の悪化は防げるか

 ソファや椅子に座って過ごす時間を短くすることは、腰痛の悪化を防ぐ効果的な方法であるかもしれない。腰痛リスクのある人が6カ月間、毎日わずかでも座位時間を減らすことで、腰痛の悪化を抑えられる可能性を示唆した研究結果が報告された。論文の筆頭著者であるトゥルク大学(フィンランド)のJooa Norha氏は、「腰痛や座位時間が長過ぎる傾向があり、腰の健康が心配な人は、仕事中や余暇中の座位時間を減らす方法を考えてみるとよいだろう」と助言している。研究結果の詳細は、「BMJ Open」に9月28日掲載された。

10月25日開催『第6回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 2024年10月25日(金)に『第6回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会が開催される。「アンチエイジングからイノベーションを!」をテーマに、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを企業から募集。その中から書類審査を経て、見事に選ばれたファイナリスト5社がヘルスケアベンチャー大賞の獲得を目指し、最終ピッチを行う。そのほか、中村 雅也氏(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)による特別講演や、イベント後には、最終審査会を終えたばかりのファイナリストとの交流の場として懇親会などが設けられる。

高齢患者の痛みに抗うつ薬は有効か

 医師は、高齢者の身体の痛みを和らげるために抗うつ薬を処方することがあるが、新たなシステマティックレビューとメタアナリシスにより、この治療法を支持する十分なエビデンスはほとんどないことが明らかになった。シドニー大学(オーストラリア)公衆衛生学部および筋骨格健康研究所のChristina Abdel Shaheed氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Clinical Pharmacology」に9月12日掲載された。  多くの国において、高齢者に対する抗うつ薬の最も一般的な適応は痛みである。今回の研究でAbdel Shaheed氏らは、65歳以上の高齢者を対象に、痛みの治療薬としての抗うつ薬の有効性と安全性について他の代替治療と比較したランダム化比較試験のエビデンスの評価を行った。

大手術前のRAS阻害薬は中止すべき?/JAMA

 非心臓大手術を受ける患者では、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI:ACE阻害薬またはARB)の投与を手術の48時間前に中止する方法と比較して、手術当日まで投与を継続する方法は、全死因死亡と術後合併症の複合アウトカムの発生率が同程度で、術中の低血圧の発現を増加させ、低血圧持続時間も長いことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMatthieu Legrand氏らStop-or-Not Trial Groupが実施した「Stop-or-Not試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年9月24日号に掲載された。