整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

脳を使ってしゃべることができる未来が来る(解説:岡村毅氏)

ブレイン・コンピュータ・インターフェースが注目を集めている。映画「マトリックス」などでも扱われており、ご存じの方も多いだろう。イーロン・マスク氏も「ニューラリンク」という会社を立ち上げている。 この論文は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の脳の表面に電極を設置し、口を動かして発語しようとする電気活動を検出し、それを音声化することに成功したというものである。米国・カリフォルニア大学のYoutube https://www.youtube.com/watch?v=thPhBDVSxz0 Accessed September 15, 2024 で動画を見ることができるが、衝撃的そして感動的である。

大手術の周術期管理、ACE阻害薬やARBは継続していい?/ESC2024

 周術期管理における薬剤の継続・中止戦略は不明なことが多く、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI:ACE阻害薬またはARB)もその1つである。RASI継続が術中の血圧低下、術後の心血管イベントや急性腎障害につながる可能性もあるが、Stop-or-Not Trialのメンバーの1人である米国・カルフォルニア大学サンフランシスコ校のMatthieu Legrand氏は、心臓以外の大手術を受けた患者において、術前のRASI継続が中止と比較して術後合併症の発生率の高さに関連しないことを示唆した。この報告は8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のホットラインセッションで報告され、同時にJAMA誌オンライン版2024年8月30日号に掲載された。

限界に近いトレーニングは筋肥大に有効?

 ウェイトリフティングをする人の間で人気のあるトレーニングは、「training to failure(失敗するまでトレーニングする)」、つまり、エクササイズでそれ以上おもり(ウェイト)を持ち上げられなくなるまでレップ(動作の反復の1回が1レップ)を繰り返す方法である。このトレーニング方法は、筋肉を大きくするのには役立つが、筋力の増強にとっては限界までやるかやらないかは関係しない可能性のあることが新たな研究で明らかになった。米フロリダ・アトランティック大学(FAU)生体医科学部(Charles E. Schmidt College of Biomedical Sciences)のMichael Zourdos氏らによるこの研究の詳細は、「Sports Medicine」に7月6日掲載された。

腰椎変性すべり症、除圧術単独は固定術併用に非劣性/BMJ

 腰椎変性すべり症に対する除圧術単独vs.固定術併用を検討した多施設共同無作為化非劣性試験「Nordsten-DS試験」の5年間の追跡調査で、除圧術単独群の固定術併用群に対する非劣性が示され、indexレベルまたは隣接腰椎レベルでの新たな手術実施の割合に群間で差はなかったという。ノルウェー・Haukeland University HospitalのEric Loratang Kgomotso氏らNordsten collaboratorsが報告した。BMJ誌2024年8月7日号掲載の報告。  Nordsten-DS試験は、ノルウェーの公立整形外科および脳神経外科16ヵ所で腰椎変性すべり症患者を対象に、固定器具を用いて行う除圧術(固定術併用)に対して除圧術単独が非劣性であるかを、初回手術から5年後の時点で評価した。対象は、症候性腰部脊柱管狭窄症を有し、狭窄レベルで3mm以上のすべりがある18~80歳の患者であった。

就寝前の運動も睡眠の妨げにならない?

 就寝前の運動が、必ずしも睡眠を妨げるわけではないとする研究結果が報告された。短時間のレジスタンス運動で睡眠時間が長くなり、睡眠中の目覚め(中途覚醒)を増やすこともないという。オタゴ大学(ニュージーランド)のJennifer Gale氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に7月16日掲載された。  従来、激しい運動は体温や心拍数を上昇させて睡眠を妨げる可能性があるため、就寝時間が近づいてきたら運動を控えた方が良いと言われることが多かった。しかし本研究の結果、短時間のレジスタンス運動を行うことで、ソファでゆっくりするよりも睡眠が改善される可能性のあることが分かった。

入院中の移動能力の変化が大腿骨近位部骨折リスクと関連

 日本の急性期病院に入院している高齢患者を対象に、患者の状態の変化に着目し、大腿骨近位部骨折(PFF)リスクの予測因子を検討する研究が行われた。その結果、入院中に移動能力が改善した患者は骨折リスクが高く、移動能力の変化をモニタリングすることで骨折の予測精度が向上する可能性が示唆された。獨協医科大学産科婦人科学講座の尾林聡氏、東京医科歯科大学病院クオリティ・マネジメント・センターの森脇睦子氏、鳥羽三佳代氏らによる研究の成果であり、「BMJ Quality and Safety」に6月20日掲載された。

活動制限の有病率に、性差や国の経済水準による差はあるか/Lancet

 活動制限(activity limitation)の世界的な有病率は、男性よりも女性で、高所得国よりも低所得国や中所得国で大幅に高く、歩行補助具や視覚補助具、聴覚補助具の使用率のかなりの低さも手伝ってこの傾向は顕著であるため、活動制限の影響を軽減するための公衆衛生キャンペーンの焦点となりうる重要な課題であることが、カナダ・マクマスター大学のRaed A. Joundi氏らが実施した「PURE研究」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年7月25日号に掲載された。  PURE研究は、活動制限の有病率と補助具の使用、および活動制限と有害なアウトカムとの関連の定量化を目的とする前向きコホート研究で、経済水準の異なる25ヵ国の個人データの解析を行った(カナダ・Population Health Research Instituteなどの助成を受けた)。

バスケットボールでよくある傷害は足首の捻挫

 バスケットボールは、わが国でも漫画の影響やBリーグの活躍で非常に人気の高い球技であり、パリ・オリンピック2024でも注目されている競技である。そんなバスケットボールは、身体接触も多く、選手の怪我も多いスポーツである。  では、バスケットボールの選手は、どのような傷害をよくするのか。セルビアのPristina-Kosovska Mitrovica大学体育・スポーツ学部のNikola Aksovic氏らの研究グループは、さまざまな文献を基にシステマティックレビューを行った。その結果、選手は膝と足首を傷害する頻度が高いことが判明した。Life誌2024年7月19日号の報告。

消毒の難しい器具の消毒、消毒用ワイプvs.UV+過酸化水素

 理学療法で用いられる器具の消毒は、消毒液を含浸したワイプを用いた消毒では不十分である可能性が示された。米国・デューク大学のBobby G. Warren氏らは、理学療法で使用される消毒の難しい器具について、消毒方法の効果を評価した。その結果、消毒液を含浸したワイプによる消毒では病原体が残存する可能性が高かったが、深紫外線(UV-C)と過酸化水素を用いた消毒方法は病原体の残存が抑制された。本研究結果は、Infection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版2024年7月26日号で報告された。