整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:27

イキセキズマブ、X線陰性体軸性脊椎関節炎に有効/Lancet

 X線画像で明確な所見のない体軸性脊椎関節炎患者の治療において、イキセキズマブはプラセボに比べ、疾患の徴候と症状(ASAS40)を有意に改善することが、米国・オレゴン健康科学大学のAtul Deodhar氏らが行った「COAST-X試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月5日号に掲載された。イキセキズマブはインターロイキン17A(IL-17A)に高い親和性を有するモノクローナル抗体であり、すでにX線所見を伴う体軸性脊椎関節炎(別名:強直性脊椎炎)における有効性が報告されている。

マルファン症候群における大動脈拡張の進行をイルベサルタンが抑制/Lancet

 長時間作用型選択的ARBのイルベサルタンは、マルファン症候群の小児および若年成人患者において大動脈拡張率を減少し、大動脈合併症の発症を減少させる可能性があることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMichael Mullen氏らにより英国22施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Aortic Irbesartan Marfan Study:AIMS試験」の結果、示された。ARBであるロサルタンとβ遮断薬との併用療法について検証した無作為化試験では、マルファン症候群の大動脈拡張に対する明らかな有効性は確認されなかったが、イルベサルタンはロサルタンと比較して降圧作用が強く生物学的利用率が良好で半減期も長いことから、マルファン症候群患者の大動脈解離や破裂に関連する大動脈拡張を抑制することが期待されていた。Lancet誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。

慢性疼痛の“記憶された痛み”をうまく取り除くには?

 国が主導となって研究チームを発足するくらい、日本人は慢性的な痛みに日々悩まされている。おまけに、なかなか症状改善しない患者がドクターショッピングに陥ることで、国の医療費はますます圧迫されてしまう。そんな負の連鎖を断ち切り、臨床現場での正確な病態把握を求めるべく、昨年、厚生労働省「慢性の痛み対策」研究班と痛み関連の7学会が連携して『慢性疼痛治療ガイドライン』を発刊した。  このガイドライン作成にも携わり、上記研究班で中心的な役割を担っている牛田 享宏氏(愛知医科大学医学部学際的痛みセンター 教授)と伊達 久氏(仙台ペインクリニック院長)が、2019年10月31日に開催されたボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社主催のメディアセミナー「『難治性慢性疼痛』による経済的・社会的影響と日本の『難治性慢性疼痛』治療の最新動向~病診連携モデルと臨床データの構築~」に登壇し、慢性疼痛対策の現状を語った。

強直性脊椎炎に、選択的JAK1阻害薬upadacitinibが有効/Lancet

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)への反応が不十分またはNSAIDが禁忌の強直性脊椎炎患者の治療において、upadacitinibはプラセボに比べ、疾患活動性、腰背部痛、身体機能、炎症の統合指標(ASAS40)を改善し、忍容性も良好であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのDesiree van der Heijde氏らが行ったSELECT-AXIS 1試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年11月12日号に掲載された。体軸性脊椎関節炎は、炎症性の腰背部痛、脊椎可動性の制限、付着部炎、末梢関節/関節外症状を特徴とする慢性進行性のリウマチ性疾患であり、X線所見で仙腸関節炎の十分な証拠がある場合に、強直性脊椎炎と呼ばれる。JAKシグナル伝達経路は、強直性脊椎炎の治療標的となる可能性が示唆されている。upadacitinibは選択的JAK1阻害薬であり、乾癬性関節炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎などの免疫性炎症性疾患の治療薬としても開発が進められている。

変形性手関節症に、経口ステロイド短期投与が有効/Lancet

 痛みを伴う変形性手関節症で、遠位・近位指節間(DIP/PIP)関節に炎症が認められた患者において、プレドニゾロン10mg投与は有効かつ安全であることが示された。オランダ・ライデン大学のFeline P B Kroon氏らによるプラセボ対照無作為化二重盲検試験「HOPE試験」の結果で、著者は、「われわれの試験結果は、疾患が再燃した変形性手関節症患者に対する新たな短期的治療オプションを臨床医に提示するものとなった」とまとめている。変形性手関節症は、疾患負荷が大きく、医療的ニーズを満たす効果的な治療オプションがない疾患である。Lancet誌オンライン版2019年11月11日号掲載の報告。

至適INRは?(解説:後藤信哉氏)-1128

手術時に抗凝固療法を継続するのは勇気がいる。手術による出血を最小限としつつ、静脈血栓を予防するためにはどうすればよいか?一般に血栓イベントリスクの低い日本人の感覚と欧米人の感覚の大きく異なる領域である。欧米のデータは心房細動の脳卒中予防であっても、本論文の静脈血栓症の予防でもINRの標的を下げることの危険性を示している。私の日常診療ではINR 1.8は、標的としては高いほうである。30年も経験を蓄積しても、日本人を診ているわれわれが血栓イベントを経験することは少ない。しかし、欧米人では標的を2.6とした場合と比較して、静脈血栓症・死亡率が標的INR 1.6では著しく高くなることを本論文は示している。本論文に示された所見はおそらく事実であろう。しかし、本論文の記載が日本人に当てはまるか否かは不明である。地域差の大きな血栓性疾患では、欧米の情報を日本に直接取り込むことは難しい。日本の実態も継続的に英文論文として発表するようなシステムの構築が重要である。

変形性膝関節症、spriferminが膝関節軟骨の厚みを増加/JAMA

 症候性変形性膝関節症患者では、6もしくは12ヵ月ごとのsprifermin100μgの関節内注射により、2年後の大腿脛骨関節軟骨の厚みがプラセボに比べ統計学的に有意に増加することが、米国・メリーランド大学のMarc C. Hochberg氏らが行ったFORWARD試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年10月8日号に掲載された。spriferminは、組み換え型ヒト線維芽細胞成長因子18であり、関節内に注射する変形性関節症の疾患修飾薬として研究が進められている。変形性膝関節症ラットモデルでは、硝子軟骨を産生する関節軟骨細胞の増殖を誘導し、in vitroおよびex vivoで硝子細胞外基質の合成を促進することが示され、膝関節軟骨の厚さを増加させると報告されている。

人工股関節全置換 vs.半関節形成、2年後の有意差なし/NEJM

 50歳以上の転位型大腿骨頸部骨折において、人工股関節全置換術を受けた患者と半関節形成術を受けた患者とで、24ヵ月間の二次的な股関節手術の発生率に有意差はなく、人工股関節全置換術が半関節形成術と比べて、機能やQOLに関して臨床的に重要な改善を示さなかったことが報告された。カナダ・マックマスター大学のMohit Bhandari氏らの研究グループ「The HEALTH Investigators」が、約1,500例を対象に行った無作為化試験で明らかにした。世界的に、大腿骨近位部骨折は、成人の障害要因のトップ10位内に含まれる。これまで転位型大腿骨頸部骨折について、股関節全置換術を半関節形成術と比べた効果については不確定なままであった。NEJM誌オンライン版2019年9月26日号掲載の報告。

東京2020で発生しうる患者とその対応策/日本救急医学会

 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催まで300日を切った。この開催を迎える上で医学的に重要なのは、熱中症やインバウンド感染症、そしてテロへの対策ではないだろうか。そこで、医学系学会のうち25団体(2019年10月現在)が“2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)”を結成。リスクを想定し、対策に取り組んでいる。  この構成団体の中のうち、日本救急医学会ほか5学会(日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本外傷学会、日本災害医学会 、日本集中治療医学会)と東京都医師会の担当委員が、2019年10月2~4日に開催された第47回日本救急医学会総会・学術集会のパネルディスカッション8「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関わる救急・災害医療体制を検討する学術連合体の活動現状と今後の展開について」にて、各学会の委員会活動の進捗を報告した。

高齢者下肢手術、VTE予防の最適な目標INR値は/JAMA

 ワルファリン治療を受けている65歳以上高齢者の股関節・膝関節置換術後に、国際標準化比(INR)目標値を1.8としても、同目標値2.5に対して、静脈血栓症(VTE)または死亡の複合アウトカムのリスクについて、非劣性の基準を満たさなかったことが報告された。米国・ワシントン大学セントルイス校のBrian F. Gage氏らが、1,650例の患者を対象に行った無作為化比較試験「Genetic Informatics Trial(GIFT)of Warfarin to Prevent Deep Vein Thrombosis」の結果で、JAMA誌2019年9月3日号で発表した。ワルファリン治療中の関節手術を受ける患者について、VTE予防のための最適なINR値は明らかになっていなかった。