任天堂のエクササイズゲーム『リングフィット アドベンチャー(RFA)』は、慢性腰痛患者における痛みの自己効力感を高め、痛みを軽減する可能性があることが、千葉大学のTakashi Sato氏らによって報告された。著者らは「痛みの自己効力感の改善を目的にした治療プロトコールの開発が望まれる」としている。本研究は、Games for Health Journal誌オンライン版2021年4月22日号に掲載された。
近年、エクササイズの治療効果に関する研究が増加しているが、慢性腰痛症に対するこれらのタイプの介入に関する研究は多くない。したがって本研究では、エクササイズゲーム RFAが慢性腰痛患者に有用であると仮定し、前向き無作為化縦断研究を実施した。
40例の慢性腰痛患者を、経口薬単独群(男性12例および女性8例、平均年齢55.6歳)、経口薬に加えてRFAエクササイズを週1回40分行う経口薬+RFA併用群(男性9例および女性11例、平均年齢49.3歳)にランダムに割り付け、8週間にわたる治療の前後における、痛みと心理的スコア(痛みの自己効力感、痛みの破局的思考および運動恐怖症)を分析した。
主な結果は以下のとおり。
・経口薬+RFA併用群において、8週間後の腰痛、臀部の痛みおよび痛みの自己効力感が有意に改善された。
・下肢のしびれ、痛みの破局的思考および運動恐怖症といった心理的スコアに有意な改善はみられなかった。
・経口薬単独群では、8週間後の治療効果に変化は認められなかった。
(ケアネット 池田 里美)