アスピリンとNSAIDsの使用による大腸がんリスクと遺伝子型の関連(解説:上村 直実 氏)-354 アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の常用により、大腸がんリスクが低下することが知られているが、どのようなヒトに有効かは不明であった。今回、ゲノムワイド(GWAS)を用いた遺伝子型と環境要因の相互作用を考慮したCase-Control研究により、アスピリンやNSAIDs使用が大腸がんの発症を減少させる一因として、染色体12番と15番の2つの一塩基多型(SNP)の遺伝子型と関連が深く、個別化医療への推進が期待される研究結果が報告された。すなわち、染色体12番と15番のSNPで、薬剤の常用と大腸がんリスクとの関連が異なることが示され、遺伝子型によってはリスクが高まるヒトもいる可能性が示唆された。
プロ野球投手の上肢血流量、シーズン中は顕著に低下? これまで、プロ野球選手における投球腕の血流量を調査した研究はなかった。米国・イリノイ州立大学のKevin Laudnerらは、超音波を用いた血流量の測定を行い、投手の肩外転時の上腕動脈血流量が、1年間で有意に減少することを示した。今回の結果について著者は、「プロ野球投手の上肢血流が、シーズン中に損なわれている可能性が示唆された」とまとめている。Journal of Shoulder and Elbow Surgery誌オンライン版2015年4月1日号の掲載報告。
疼痛管理の改善が認知症患者の問題行動を減らす? 認知症患者の痛みは、気付かれることが少なく治療が不十分である。英国・ロンドン大学のElizabeth L Sampson氏らは、急性期総合病院に入院中の認知症患者を対象とした縦断的コホート研究において、疼痛が認知症の行動・心理症状(BPSD)と関連しており、疼痛管理の改善が問題行動を減少させ、認知症患者に対する入院ケアの質を向上させる可能性があることを示した。Pain誌2015年4月号の掲載報告。
PPARγアゴニスト、神経障害疼痛の鎮痛作用あり 米国・ケンタッキー大学のRyan B Griggs氏らは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニストの反復投与により脊髄後角におけるグリア活性化が変化し、神経障害性疼痛様反応が減少することを明らかにした。
アスピリン・NSAIDsと大腸がんリスクの関連メカニズム/JAMA 遺伝子と環境の相互作用を考慮したゲノムワイド研究で、アスピリンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の単独または両薬の常用と、大腸がんリスク低下との関連が遺伝子レベルで明らかにされた。米国・インディアナ大学のHongmei Nan氏らが報告した。検討により、染色体12と15の一塩基多型(SNP)で、常用とリスクとの関連は異なることが示され、遺伝子型によっては常用でリスクが高まる人がいることが明らかにされた。所見を受けて著者は「被験者を追加した検討で今回の所見が確認されれば、ターゲットを絞った大腸がんの予防戦略を促進するだろう」と述べている。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。
テリパラチドは椎体圧潰を予防する? 椎体骨折はしばしば骨粗鬆症患者に認められる。骨粗鬆症薬テリパラチド(商品名:フォルテオほか)は骨癒合促進作用も期待されていることから、中通総合病院(秋田県秋田市)の土江 博幸氏らは、骨粗鬆症性新鮮椎体骨折に対するテリパラチドの椎体圧潰予防効果について検討した。その結果、テリパラチド20μg/日連日投与はリセドロネート(商品名:アクトネルほか)17.5mg/週投与に比べ、腰痛、椎体圧潰率、局所後弯角ならびにクレフト発生率が有意に低かった。結果を踏まえて著者は「テリパラチドは、脊椎骨折の後弯脊椎圧潰進行予防効果が示唆される」と述べている。Journal of Bone and Mineral Metabolism誌オンライン版2015年3月14日号の掲載報告。
腰痛は患者の心身を悪化させ医療費を増やす:日本発エビデンス 世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases)によれば、腰痛は世界的に障害の主な原因となっている。米国・ファイザー社のAlesia B Sadosky氏らはNational Health and Wellness Survey(NHWS)を行い、日本人において腰痛の重症度は健康状態の悪化と有意に関連していることを明らかにした。臨床との関連のみならず、間接および直接経費との関連も示されている。Journal of Pain Research誌2015年2月25日の掲載報告。
【日本発】FRAXの骨折予測精度を高める方法 骨折リスク評価ツールFRAXは骨折リスクの評価に利用されているが、その精度は十分とはいえず、改善が望まれている。 そこで近畿大学の伊木 雅之氏らは、12の地域に住む65歳以上の高齢日本人男性2,000人を対象に、FRAXを補完する手段として海綿骨スコア(TBS)が有用であるかどうかの調査を行った。 その結果、TBSはFRAXと組み合わせることで予測精度を向上させる可能性が示唆された。Osteoporos Int誌 オンライン版2015年3月10日掲載の報告。
「寛解」から「治療の最適化」へ リウマチ治療最前線 関節リウマチの治療は、生物学的製剤の登場などにより大きな進化を遂げた。治療環境が整備された今、治療目標は「寛解」から「治療の最適化」に移りつつある。これからのリウマチ治療についてトップランナーである東京女子医大の山中氏が語った。
週1回の投与で血友病患者のQOL向上へ イロクテイトがもたらす定期補充療法 3月10日、都内においてバイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社による血友病のプレスセミナーが、花房 秀次氏(荻窪病院 理事長/血液科 部長)を講師に迎え、開催された。これは同社の血友病A治療薬エフラロクトコグアルファ(商品名:イロクテイト)の発売に関連し行われたものである。