耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

HPV陽性中咽頭がん、セツキシマブvs.標準レジメン/Lancet

 低リスクHPV陽性中咽頭がんに対して、放射線療法+EGFR阻害薬セツキシマブは、標準レジメンの放射線療法+シスプラチンと比較して毒性低下のベネフィットは示されず、腫瘍コントロールに関しては重大な損失をもたらすことが示された。英国・バーミンガム大学のHisham Mehanna氏らによる第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「De-ESCALaTE HPV試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年11月15日号で発表された。HPV陽性中咽頭がんの発生は急速に増大しており、とくに若年成人を急襲している。セツキシマブは、標準治療のシスプラチンの毒性を低下しde-escalationな放射線併用療法を可能にするものとして提案されたが、この戦略の有効性に関して無作為化試験に基づくエビデンスはなかった。

乾癬のようにみえて違う難治性皮膚疾患の掌蹠膿疱症

 2018年11月2日、ヤンセンファーマ株式会社は、都内において難治性皮膚疾患である「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国内に患者が13万人ともいわれる本症の概要、疫学、治療法について説明が行われた。なお、同社では、既存の乾癬治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の掌蹠膿疱症への適応追加につき、厚生労働省薬事・食品衛生審議会に11月8日に報告を行っている。

ペムブロリズマブ、単剤と化療併用で頭頸部扁平上皮がん1次治療のOS改善(KEYNOTE-048)/ESMO2018

 再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)治療では、プラチナ製剤による化学療法後の2次治療として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ、ニボルマブの有効性が確認されており、本邦ではニボルマブが2017年3月に適応を取得している。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、HNSCCの1次治療におけるペムブロリズマブ単剤および、化学療法との併用療法が、抗EGFR抗体セツキシマブと化学療法の併用療法と比較して全生存期間(OS)を改善することが明らかになった。イェールがんセンターのBarbara Burtness氏が発表した第III相KEYNOTE-048試験の中間解析結果より。

「かぜには抗菌薬が効く」と認識する患者が約半数、どう対応すべきか

 一般市民対象の抗菌薬に関する意識調査の結果、約半数が「かぜやインフルエンザなどのウイルス性疾患に対して抗菌薬が効く」と誤った認識をしていることが明らかになった。 AMR臨床リファレンスセンターは10月30日、「抗菌薬意識調査2018」の結果を公表し、「薬剤耐性(AMR)対策の現状と取り組み 2018」と題したメディアセミナーを開催した。セミナーでは大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 副院長/国際感染症センター長/AMR臨床リファレンスセンター長)、具 芳明氏(AMR臨床リファレンスセンター 情報‐教育支援室長)らが登壇し、意識調査結果や抗菌薬使用の現状などについて講演した。

免疫CP阻害薬、心血管障害スクリーニングの結果/腫瘍循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の免疫関連有害事象(irAE)としての心血管障害は、報告数は少ないものの、発症すると重篤化する。しかし、真の発生頻度や種類、発生時期については明らかになっていない。国際医療福祉大学三田病院の古川 明日香氏らは、腫瘍循環器学会において、同院の腫瘍循環器外来におけるICI使用時における心血管障害イベントのスクリーニングの意義について発表した。  スクリーニングの検証は、Active Screening Protocolを作成して行われた。このProtocolは、ICI投与開始前に腫瘍循環器外来を予約。ベースライン(投与開始前)、開始後定期的に、血液学的検査(CK、CK-MB、トロポニンI、BNP、D-dimerなど)、心電図、胸部レントゲン、心エコー検査のフォローアップを行うというもの。

MSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会

 マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本癌治療学会学術集会で発表した。  本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。

外来での高齢者に対する抗菌薬処方(解説:吉田敦氏)-907

高齢者において、抗菌薬の処方が過剰となり、それが薬剤耐性(AMR)に結びついているという指摘は以前から存在した。米国においても、抗菌薬適正使用およびAMRへの取り組みから抗菌薬の総使用量は減少し始めていたが、高齢者における使用量の変化については不明な部分が多かった。今回、高齢者の98%が加入可能な公的保険である米国メディケアにおいて、高齢者の外来での抗菌薬処方と、各診断名に対して適切な抗菌薬が使用されていたかどうかを観察研究として調査した。

滲出性中耳炎の難聴、経口ステロイドは有効か?/Lancet

 滲出性中耳炎で3ヵ月以上の難聴が確認された小児について、経口ステロイド薬の有効性を調べた初となる二重盲検プラセボ対照無作為化試験「OSTRICH試験」の結果、忍容性は良好だったが有意な改善効果は示されず、自然治癒率が高いことが明らかにされた。英国・カーディフ大学のNick A. Francis氏らによる検討で、「今回の結果は、経過観察やその他の外科的介入を支持するエビデンスとなった」と述べている。滲出性中耳炎による持続的な難聴に対しては、薬物療法の有効性は否定されており、概して外科的介入による治療が行われるが、治療選択肢に安全・安価で有効な薬物療法が加わることへの期待は高い。研究グループは、Cochraneレビューで見つけた、経口ステロイド薬の短期投与の有益性を示唆した試験結果(ただし検出力が低く、質的に低い)について、大規模試験で検証を行った。Lancet誌2018年8月18日号掲載の報告。