耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

アレルギー性鼻炎か副鼻腔炎か?誤診の実態が明らかに

 実際には慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis;CRS)に罹患しているにもかかわらず、アレルギー性鼻炎と誤診され、CRSにはほとんど効果のない抗アレルギー薬を使用し続けている米国人が相当数いることが、新たな研究で示された。米シンシナティ大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科のAhmad Sedaghat氏らによるこの研究の詳細は、「Otolaryngology Head & Neck Surgery」に1月31日掲載された。  研究論文の上席著者であるSedaghat氏は、「われわれは、アレルギーとCRSが混同されたことで長い間苦しまざるを得なかった患者を数多く見てきた」と振り返る。同氏は続けて、「これまで、10年や20年、人によってはそれ以上にわたってアレルギーの治療を受けてきたにもかかわらず症状が改善しなかったと訴える患者を私は見てきた。しかし、それがCRSであることが判明し、われわれが適切な治療を開始したところ、症状は数カ月以内に改善した」と話す。

日本人の口腔/咽頭がんの10年全死亡率、飲酒量による違いは?

 飲酒と口腔/咽頭がんの予後との関連については先行研究が少なく、そのほとんどが欧州の研究で5年までの全生存を調査しているもので、結果が一致していない。今回、日本における口腔/咽頭がん患者における飲酒と10年全死亡率の関連を大阪国際がんセンターがん対策センターの小山 史穂子氏らが評価した。その結果、多量飲酒者(エタノール46g/日以上摂取)では非飲酒者と比較して死亡リスクが1.36倍と高く、とくに女性では2.52倍になることが示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年4月号に掲載。

喫煙による咽頭がんリスク、非喫煙者の9倍に

 飲酒、喫煙ががん罹患リスクと関連するとの報告は多いが、頭頸部がんと飲酒、喫煙、食習慣との関連をみた研究結果が発表された。米国・ワシントン大学のDaniel P. Lander氏らによる本研究の結果は、JAMA Otolaryngology誌オンライン版2024年2月8日号に掲載された。  本研究は、前立腺がん、肺がん、大腸がんおよび卵巣がん検診に関する臨床試験参加者のコホート解析だった。参加者は55~74歳、1993年11月~2001年7月に全米10施設で募集された。頭頸部がんを発症した参加者は、喫煙、飲酒、食習慣解析のため、人口統計学および頭頸部がん家族歴に加え、喫煙状況および喫煙期間に基づいて対照群とマッチングされた。

RET融合遺伝子陽性の固形がん、セルペルカチニブの有効性(LIBRETTO-001)/日本臨床腫瘍学会

 RET融合遺伝子は主に非小細胞肺がん(NSCLC)や甲状腺がんにみられるが、それ以外のがん種でもまれではあるものの認められることがある。RET受容体型チロシンキナーゼ阻害薬セルペルカチニブは、本邦ではNSCLC、甲状腺がん、甲状腺髄様がんにおける治療薬として用いられている。セルペルカチニブは脳転移を有するNSCLC患者において良好な頭蓋内奏効を示し、肺がん・甲状腺がん以外のRET融合遺伝子陽性の進行固形がんでも、有望な抗腫瘍活性を示すことが報告されている。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、大江 裕一郎氏(国立がん研究センター中央病院 副院長/呼吸器内科長)が、国際共同第I/II相バスケット試験(LIBRETTO-001)の肺がん・甲状腺がん以外の患者を対象とした最新の解析結果を報告した。

ビデオゲームの音は難聴リスクを高める

 ビデオゲーム(テレビゲーム)の大音量は、ゲーマーに不可逆的な難聴や耳鳴りをもたらす可能性のあることが、新たな研究で示唆された。この研究では、ソファーに座っているか、ゲームセンターにいるかなどにかかわりなく、ビデオゲームの音量がしばしば人の聴覚にとって安全とされるレベルを超えていることが示されたという。米サウスカロライナ医科大学のLauren Dillard氏らによるこの研究結果は、「BMJ Public Health」に1月16日掲載された。  Dillard氏らは、論文データベースや灰色文献を検索して、基準を満たした世界9カ国(米国、ドイツ、イタリア、ポーランド、日本、中国、インドネシア、韓国、オーストラリア)で実施された14件の研究を抽出(コホート研究11件、非コホート研究3件、対象者の総計約5万4,000人)。これらの研究結果を統合して、ビデオゲームの音量と難聴や耳鳴りのリスクとの関連を検討した。

先天性難聴児、遺伝子治療で聴力回復/Lancet

 常染色体劣性難聴9(DFNB9)の小児の治療において、ヒトOTOF遺伝子導入アデノ随伴ウイルス血清型1型(AAV1-hOTOF)を用いた遺伝子治療は、安全かつ有効であり、新たな治療法となる可能性があることが、中国・復旦大学のJun Lv氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年1月24日号に掲載された。  本研究は、中国の1施設(復旦大学附属眼耳鼻喉科医院)で行われた単群試験であり、2022年10月~2023年6月に参加者のスクリーニングを行った(中国国家自然科学基金委員会などの助成を受けた)。

花粉症重症化を防いで経済損失をなくす/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

 花粉飛散が気になる季節となった。今後10年を見据えた花粉症への取り組みについて、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(理事長:村上 信五氏)は、都内で「花粉症重症化ゼロ作戦」をテーマにメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、花粉症重症化の身体的、経済的、社会的弊害と鼻アレルギー診療ガイドラインの改訂内容、花粉症重症化ゼロ作戦の概要などがレクチャーされた。  はじめに村上氏が挨拶し、花粉症は現在10人に4人が発症する国民病であること、低年齢での発症が増加していること、花粉症により経済的損失も多大であることなどを語り、同学会が取り組む「花粉症重症化ゼロ作戦」の概要を説明した。

補聴器の常用で寿命が延びる?

 補聴器の第一目的が「聞こえ」を補うことなのは明らかだが、新たな研究によると、補聴器を常用することで寿命が延びる可能性もあるようだ。研究論文の筆頭著者である、米南カリフォルニア大学ケック医学校の耳鼻咽喉科医であるJanet Choi氏は、「補聴器を常用している成人の難聴者は、補聴器を使用していない成人の難聴者よりも死亡リスクが24%低いことが示された」と述べている。この研究の詳細は、「The Lancet Healthy Longevity」1月号に掲載された。

鎮咳薬不足、増えた手間や処方優先患者は?/医師1,000人アンケート

 後発医薬品メーカーの不祥事などで医薬品供給不安が続いているなか、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの流行が鎮咳薬不足に追い打ちをかけている。昨年9月には厚生労働省が異例とも言える「鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」の通知を出し、処方医にも協力を仰いだことは記憶に新しい。あれから3ヵ月が経ち、医師の業務負担や処方動向に変化はあったのだろうか。今回、処方控えを余儀なくされていることで生じる業務負担や処方を優先する患者の選び方などを可視化すべく、『鎮咳薬の供給不足における処方状況』について、会員医師1,000人(20床未満:700人、20床以上:300人)にアンケート調査を行った。

睡眠呼吸障害の小児、扁桃摘出術は有効か/JAMA

 いびきと軽度の睡眠時無呼吸を有する睡眠呼吸障害(SDB)の小児の治療において、アデノイド切除・口蓋扁桃摘出術は監視的待機(watchful waiting)と比較して、12ヵ月の時点での実行機能(executive function)および注意力(attention)を改善しないが、行動、症状、生活の質(QOL)、血圧などを有意に改善することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSusan Redline氏らが実施した「PATS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年12月5日号に掲載された。  PATS試験は、米国の7つの睡眠センターで実施された単盲検無作為化臨床試験であり、2016年6月~2021年2月に参加者を登録した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]協力協定の助成を受けた)。