小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

ADHDの薬物関連心血管疾患による世界的負担〜WHO薬物安全性データ分析

 注意欠如多動症(ADHD)の治療薬は、心血管系に対する交感神経刺激作用を有していることが知られているが、包括的な世界的データを用いた評価は、あまり行われていない。韓国・慶熙大学校のHanseul Cho氏らは、世界的な医薬品安全性監視データを用いて、ADHD治療薬と心血管疾患との関連を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年8月30日号の報告。  分析には、1967〜2023年のWHO国際医薬品安全性監視データーベースからのレポート1億3,125万5,418件を用いた。各薬剤と特定の心血管疾患との関連を評価するため、報告オッズ比(ROR)およびinformation component(IC)を算出した。

母乳育児は乳児の喘息リスクを低下させる

 生後1年間を母乳で育てると、乳児の体内に健康に有益なさまざまな微生物が定着し、喘息リスクが低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究によると、生後3カ月を超えて母乳育児を続けることにより、乳児の腸内微生物叢の段階的な成熟が促されることが示唆されたという。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のLiat Shenhav氏らによるこの研究結果は、「Cell」に9月19日掲載された。  母乳には、健康に寄与する腸内微生物の増殖を促進するさまざまな栄養素が含まれている。乳児期における母乳育児と微生物の定着は、乳児の発達にとって重要な時期に行われ、どちらも呼吸器疾患のリスクに影響を与えると考えられている。しかし、母乳育児の保護効果や微生物の定着を調節するメカニズムについては、まだ十分に理解されていない。

1日2回以上の歯磨きで児童のレジリエンス向上か―貧困下で特に顕著

 歯磨きの頻度が高い子どもはレジリエンスが高く、特に貧困に該当する子どもでこの関係が強固であるとする研究結果が報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科公衆衛生学分野※の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Oral Health」に8月10日掲載された。  貧困は健康リスク因子の一つとして位置付けられていて、成長過程にある子どもでは、その影響が成人後にも及ぶ可能性も指摘されている。また幼少期の貧困は、レジリエンスの低下につながることが報告されている。レジリエンスとは、ストレスやトラブルに対応して逆境から立ち直る精神的な回復力であり、レジリエンスの高さは、うつ病や不安症などのメンタルヘルス疾患のリスクの低さと関連がある。

日本初、経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト点鼻液」発売/第一三共

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンのフルミスト点鼻液について、2024年10月4日に発売したことを第一三共が発表した。本剤は2023年3月に製造販売承認を取得し、2024年8月に3価(A型2種、B型1種)ワクチンとして製造販売承認事項一部変更承認を取得した。日本で初の経鼻投与による季節性インフルエンザワクチンとして、今シーズンより供給開始の予定。  本剤により、自然感染後に誘導される免疫と類似した局所抗体応答および全身における液性免疫、細胞性免疫の誘導が期待されている。

ワクチン接種はかかりつけ医に相談を/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は10月2日、定例会見を開催した。会見では、松本会長が先日発足した石破 茂内閣誕生に言及し、医師会は地域を支える重要な医療インフラとして政権と一体となって政策を推進すること、防災省の提案もあるように医師会も災害対策を重要な事項と考えていること、医療・介護業界が物価高騰を上回る賃上げが実現できることなどを要望し、今後も諸政策で連携していくことを語った。また、先般発生した能登半島豪雨への支援金について10月末まで医師会員、一般からの寄付を募っていることを説明した。

やりがい?ワークライフバランス?若手医師が専攻領域を選んだ理由・変更した理由

 医師の総数は増加をしている中、外科などの一部診療科の増加が乏しいことに対して、どのような対策が考えられるか。9月20日に開催された厚生労働省の「第6回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、これらの課題を考えるうえでの参考資料として、厚生労働科学特別研究「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」から、「現在の基本領域を選択した理由」や「希望していた基本領域を選択しなかった理由」について聞いた専攻医へのアンケート結果が示された。本稿では、その内容の一部を紹介する。

妊娠中の魚油摂取、出生児のアトピー性皮膚炎リスクは低減する?

 妊娠中のオメガ3長鎖多価不飽和脂肪酸(n-3 LCPUFA、魚油)サプリメント摂取と出生児のアトピー性皮膚炎リスクとの関連は、母体が有するシクロオキシゲナーゼ-1(COX1)遺伝子型によって異なることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のLiang Chen氏らが実施した無作為化比較試験「Danish Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010」の事前に規定された2次解析において、TT遺伝子型を有する母親がn-3 LCPUFAサプリメントを摂取した場合、出生児はアトピー性皮膚炎のリスクが有意に低いことが示された。著者は、「TT遺伝子型を有する妊婦にのみサプリメントを摂取させるという個別化された予防戦略の参考になるだろう」と述べている。エイコサノイドは、アトピー性皮膚炎の病態生理に関与しているが、出生前のn-3 LCPUFAサプリメント摂取や母体のcox1遺伝子型の影響を受けるかどうかは明らかになっていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年8月28日号掲載の報告。

COVID-19パンデミック前後の摂食障害患者における発達障害や性同一性障害の併発

 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、性同一性障害の発生率は、とくに摂食障害の小児および青年、若年成人において上昇している。COVID-19パンデミック中に摂食障害の有病率は上昇したといわれているが、ASD、ADHD、性同一性障害の併発傾向は、これまで詳細に調査されていなかった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のTashalee R. Brown氏らは、COVID-19パンデミック前の数年間とパンデミック中における、摂食障害の小児および青年、若年成人のASD、ADHD、性同一性障害の併発率の傾向を調査した。Frontiers in Psychiatry誌2024年8月20日号の報告。

電子処方箋発行時の電子署名、必要な準備や認証方法は?/厚労省

 電子処方箋が2023年1月から開始された。患者のリアルタイムな処方・調剤結果情報が確認できるとともに、システムチェックによる重複薬や併用禁忌薬の投薬回避が可能になることなどが期待されている。薬局の電子処方箋システムの導入が先行し、その多くの薬局で紙の処方箋も含めて調剤結果情報の登録がされ、これら情報の活用はされつつある。一方、より安心・安全な医療となるメリットはすべての医療機関が導入することで最大化されるが、病院や診療所の導入率はまだ低い。今回は、電子処方箋の現状とメリット、電子処方箋発行時に必要となる電子署名、電子署名も関係する医療DX推進体制整備加算などについて、厚生労働省電子処方箋サービス推進室の長嶋 賢太氏に話を聞いた。

学校健診の留意点「検診項目追加は事前に打ち合わせを」/日医

 日本医師会常任理事の渡辺 弘司氏が、9月25日の定例記者会見で、文部科学大臣へ「学校保健の更なる充実のための提言と要望」を提出し、文部科学省と日本医師会の共同で「学校健康 診断実施上の留意点」を作成したことを報告した。 「学校保健の更なる充実のための提言と要望」では、将来を担う子供たちの健康を増進する学校保健の重要性を踏まえ、下記の3点について検討を要望した。