小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

18歳未満の嘔吐を伴う急性胃腸炎、オンダンセトロンは有益か/NEJM

 胃腸炎に伴う嘔吐を呈する小児において、救急外来受診後のオンダンセトロン投与はプラセボ投与と比べて、その後7日間の中等症~重症の胃腸炎リスクの低下に結び付いたことが示された。カナダ・カルガリー大学のStephen B. Freedman氏らPediatric Emergency Research Canada Innovative Clinical Trials Study Groupが、二重盲検無作為化優越性試験の結果を報告した。オンダンセトロンは、救急外来を受診した急性胃腸炎に伴う嘔吐を呈する小児への単回投与により、アウトカムを改善することが報告されている。症状緩和のために帰宅時に処方されることも多いが、この治療を裏付けるエビデンスは限られていた。NEJM誌2025年7月17日号掲載の報告。

重症アナフィラキシー、最もリスクの高い食品は?

 食物誘発性アナフィラキシーの症例 2,600 件以上を調査した研究において、喘息の病歴がある場合やピーナッツが誘因となった場合、アナフィラキシーの重症度がより高くなると予測されることが判明したという。ルーベ病院センター(フランス)のGuillaume Pouessel氏らによる本研究結果は、Clinical and experimental allergy誌オンライン版2025年5月29日号に掲載された。  研究者らは、「フランス語圏アレルギー警戒ネットワーク(Allergy-Vigilance Network)」で2002~2021年に記録された食物アナフィラキシー症例を後ろ向きに解析し、Ring–Messmer分類による致命的な症例(Grade4)を重篤な症例(Grade3)と比較し、重症度が高いことに関連するリスク要因を特定した。

13年ぶり改定「尋常性白斑診療ガイドライン第2版」、ポイントは

 2012年の初版発表以降13年ぶりに、「尋常性白斑診療ガイドライン第2版2025」が公表された。治療アルゴリズムや光線療法の適応年齢の変更、2024年発売の自家培養表皮「ジャスミン」を用いた手術療法の適応の考え方などについて、ガイドライン策定委員会委員長を務めた大磯 直毅氏(近畿大学奈良病院皮膚科)に話を聞いた。  治療アルゴリズムの大きな変更点としては、疾患活動性を評価するための方法が明確になった点が挙げられる。尋常性白斑の疾患活動性に関連する臨床症状の評価および定量化のための方法として、2020年にVSAS(Vitiligo Signs of Activity Score)が発表された。

子ども向けネット動画にジャンクフードの宣伝が氾濫

 YouTubeで動画を見ている子どもは、キャンディーや加糖飲料、ファストフード、甘いスナックや塩辛いスナックなどのジャンクフードを宣伝するメッセージを頻繁に目にしていることが、新たな研究で明らかにされた。この研究によると、6~8歳の子どもの75%、3~5歳の子どもの36%が、自分のモバイル端末で自由に選んだYouTubeまたはYouTube Kidsの動画を視聴中にジャンクフードの宣伝にさらされていたという。米コネチカット大学ラッド・センター・フォー・フードポリシー・アンド・ヘルス(以下、ラッド・センター)のJennifer Harris氏らによるこの研究結果は、「Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics」に6月25日掲載された。

産婦人科医が授業に、中学生の性知識が向上か

 インターネットは、性に関する知識を求める若者にとって主要な情報源となっているが、オンライン上には誤情報や有害なコンテンツが存在することも否定できない。このような背景から、学校で行われる性教育の重要性が高まっている。今回、婦人科医による性教育が、日本の中学生の性に関する知識と意識の大幅な向上につながる、とする研究結果が報告された。ほとんどの学生が産婦人科医による講義を肯定的に評価していたという。研究は、日本医科大学付属病院女性診療科・産科の豊島将文氏らによるもので、詳細は「BMC Public Health」に5月28日掲載された。

PFASが子どもの血圧上昇と関連

 ほとんど分解されず環境中に長期間存在し続けるため、「永遠の化学物質」と呼ばれているPFAS(ペルフルオロアルキル化合物やポリフルオロアルキル化合物)への胎児期の曝露と、出生後の小児期から思春期の血圧上昇との関連を示すデータが報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学大学院のZeyu Li氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に6月12日掲載された。同氏は、「PFASが及ぼす潜在的な有害性は、生後何年も経過してから初めて明らかになる可能性がある」と述べている。

WHO予防接種アジェンダ2030は達成可能か?/Lancet

 WHOは2019年に「予防接種アジェンダ2030(IA2030)」を策定し、2030年までに世界中のワクチン接種率を向上する野心的な目標を設定した。米国・ワシントン大学のJonathan F. Mosser氏らGBD 2023 Vaccine Coverage Collaboratorsは、目標期間の半ばに差し掛かった現状を調べ、IA2030が掲げる「2019年と比べて未接種児を半減させる」や「生涯を通じた予防接種(三種混合ワクチン[DPT]の3回接種、肺炎球菌ワクチン[PCV]の3回接種、麻疹ワクチン[MCV]の2回接種)の世界の接種率を90%に到達させる」といった目標の達成には、残り5年に加速度的な進展が必要な状況であることを報告した。1974年に始まったWHOの「拡大予防接種計画(EPI)」は顕著な成功を収め、小児の定期予防接種により世界で推定1億5,400万児の死亡が回避されたという。しかし、ここ数十年は接種の格差や進捗の停滞が続いており、さらにそうした状況が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによって助長されていることが懸念されていた。Lancet誌オンライン版2025年6月24日号掲載の報告。

賃金・物価上昇、診療報酬改定が直撃!診療所の経営は?/医師1,000人アンケート

 2024年の診療報酬改定は、診療報酬本体は+0.88%、薬価・材料価格引き下げは-1.00%で、全体ではマイナス改定となった。「医療従事者の賃上げ」「医療DX等による質の高い医療の実現」「医療・介護・障害福祉サービスの連携強化」という3つの目標が掲げられ、関連する項目が加算・減算された。診療報酬改定のほか、ここ数年の急激な物価上昇や人件費高騰もクリニックの経営に影響を与えていることが予想される。ケアネットでは「自身でクリニックを経営し、開業後3年以上が経過している医師」(40代以上)を対象に、直近の経営状況についてWebアンケートで聞いた。

乳児期の犬への曝露は幼少期のアトピーリスクを低下させる?

 犬を飼っている家庭の乳児は、幼少期にアトピー性皮膚炎(AD)を発症するリスクが、犬を飼っていない家庭の児よりも低い傾向があるようだ。新たな研究で、乳児期に犬に曝露することで、ADの発症に関与する遺伝子の影響が軽減される可能性が示された。英エディンバラ大学皮膚科教授のSara Brown氏らによるこの研究結果は、「Allergy」に6月4日掲載された。  Brown氏は、「遺伝子の組み合わせが小児のAD発症リスクに影響を与えることは分かっていたし、過去の研究でも、犬を飼うことがAD発症の予防に有効な可能性が示されている。しかし、分子レベルでその仕組みを示したのはこの研究が初めてだ」と述べている。

就学前までのBMIの変化で将来の肥満リスクを予測可能

 幼少期のBMIの変化の軌跡から、その後の肥満リスクを予測できるとする、米ワシントン州立大学のChang Liu氏らの研究結果が、「JAMA Network Open」に5月22日掲載された。1~6歳の間にBMIが低下しない場合、9歳時点で小児肥満となっている可能性が高く、米国の子どもの約1割がこれに該当するという。  この研究では、米国立衛生研究所(NIH)がサポートしている、小児の健康に関する大規模コホート研究(Environmental influences on Child Health Outcomes;ECHO)の1997年1月~2024年6月のデータが縦断的に解析された。この期間に体重と身長の測定が4回以上行われた1~9歳の子ども9,483人(男児51.9%)を対象として、BMIの変動パターンを検討。その結果、典型的なパターンとそうでない非典型的なパターンの2種類に、明確に分類可能であることが分かった。