小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

HAEの気道発作の救命は時間との勝負/CSLベーリング

 CSLベーリングは、5月16日の「HAE DAY(遺伝性血管性浮腫の日)」を記念し、「HAE DAYメディアセミナー 遺伝性血管性浮腫(HAE)~救急現場と患者さんの声から考える診断と治療の課題~」を開催した。遺伝性血管性浮腫(HAE)は、国の指定難病の1つで、皮膚や腹部などに突然むくみ(浮腫)が生じる疾患で、咽頭に発作が起きた場合、気道が閉塞し呼吸困難に陥り、患者の生命に関わる危険性もある。わが国には、未診断の患者も含め約2,500人の患者が推定されている。  セミナーでは、救急医療の観点からHAEと疑い診断をつけるポイントや患者会の活動と患者・患者家族の声などが語られた。なお、同社はHAEの治療薬としてヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体製剤ガラダシマブ(商品名:アナエブリ)を4月18日に発売している。

妊娠初期の貧血は子の先天性心疾患リスクを高める

 妊娠100日目までの妊娠初期に母親が貧血状態にあると、生まれてくる子どもが先天性心疾患を持つリスクが大幅に高まる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。英オックスフォード大学生理学・解剖学・遺伝学分野のDuncan Sparrow氏らによるこの研究結果は、「BJOG: An International Journal of Obstetrics & Gynaecology」に4月23日掲載された。Sparrow氏は、「妊娠初期の貧血がこれほど有害であることを示した本研究結果は、世界中で医療のあり方を一変させる可能性がある」と同大学のニュースリリースで述べている。

バロキサビル単回投与による家庭内インフルエンザ伝播予防効果(解説:寺田教彦氏)

ウイルス性上気道炎に対する抗ウイルス薬の伝播抑制効果は従来注目されてきたが、臨床研究においてその有効性を明確に示すことは困難であった。そうした中、2025年にNew England Journal of Medicine誌に掲載された本研究は、メーカーからの後援を受けた研究ではあるものの、インフルエンザ発症者に対して発症後48時間以内にバロキサビルを単回投与することで、家庭内でのウイルス伝播が有意に抑制されることを示した。バロキサビルは日本で開発された新規抗インフルエンザ薬であり、以下のような特徴を有する。

希少疾病の診断ラグへの提言を入れた希少疾病白書を刊行/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、希少疾患領域での貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断の遅れ(診断ラグ)の分析、およびその解決策を提示した『希少疾患白書「診断ラグ」の実態と解消に向けての提言~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~』を刊行した。  希少疾患患者は、確定診断されるまで長い時間がかかることが多く、その影響は患者本人だけでなく、医療システム全体にも及んでいる。この実情を踏まえ、診断ラグが希少疾患患者の医療の公平性の実現における大きな障壁であると問題提起し、わが国における希少疾患患者を取り巻く現状と課題を整理する。

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月からの追加免疫の一変承認を取得

 モデルナ・ジャパンは5月19日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」について、生後6ヵ月以上4歳以下を対象とした追加免疫に関する承認事項の一部変更を厚生労働省から取得したと発表した。  これまで「スパイクバックス筋注」は、生後6ヵ月以上5歳未満に対して初回免疫のみ承認されており、追加免疫は5歳以上が対象であったが、今回の承認により、生後6ヵ月から追加免疫としても接種できるようになる。

10~18歳へのBCGワクチン再接種は有用か?/NEJM

 QuantiFERON-TB(QFT)検査陰性・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性の思春期児において、カルメットゲラン菌(BCG)ワクチン再接種により、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の持続感染に対する防御効果は得られなかった。米国・Gates Medical Research InstituteのAlexander C. Schmidt氏らBCG REVAX Study Teamが第IIb相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究の第II相試験で、BCGワクチン再接種による、結核菌の初回感染に対する防御効果は示されなかったが、副次エンドポイントである持続感染(初回QFT検査で陽転、さらに3ヵ月時点および6ヵ月時点の陽転持続で定義)予防へのワクチン効果(有効性45%、95%信頼区間[CI]:6~68)が観察されていた。NEJM誌2025年5月8日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析

 アトピー性皮膚炎に対する治療薬として、2020年1月にデルゴシチニブ、2021年9月にジファミラストが新たに承認された。長崎大学の室田 浩之氏らは、これらの薬剤と既存の標準的な外用薬について、臨床的有効性および安全性を評価するためシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施し、結果をDermatology and Therapy誌2025年5月号で報告した。  Medline、Embase、Cochrane、ならびに医中誌から対象となる文献を選定し、有効性の評価項目として、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアおよびInvestigator Global Assessment(IGA)スコアを使用した。安全性の評価項目には、重篤な有害事象、ざ瘡、および皮膚感染症が含まれた。

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か

 子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。

喘息治療における吸入薬投与の最適なタイミングとは

 喘息患者は、1日1回の吸入ステロイド薬を遅めの午後に使用することで、夜間の症状を効果的にコントロールできる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。英マンチェスター大学のHannah Jane Durrington氏らによるこの研究結果は、「Thorax」に4月15日掲載された。  薬物投与のタイミングを体内時計に合わせる治療法はクロノセラピー(時間治療)と呼ばれ、薬の治療効果を高めることが期待されている。Durrington氏らによると、喘息には明確な日内リズムがあり、気流閉塞と気道炎症の主要な影響は夜間にピークに達する。実際、致死的な喘息発作の約80%は夜間に発生しているという。

中等度早産児へのカフェイン投与継続、入院期間を短縮するか/JAMA

 中等度早産児(在胎期間29週0日~33週6日で出生)に対するカフェイン投与の継続は、プラセボ投与と比較して入院期間の短縮には至らなかったことが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のWaldemar A. Carlo氏らEunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Networkによる無作為化試験「MoCHA試験」の結果で示された。中等度早産児に最も多くみられる疾患の1つに未熟児無呼吸発作がある。カフェインなどのメチルキサンチン製剤が非常に有効だが副作用が生じる可能性があり、必要以上に投与を継続すべきではないとされる。2024年に発表されたメタ解析では、早産児へのカフェイン中止戦略の有益性と有害性に関するデータは限定的であることが示され、カフェイン投与の短期的および長期的な影響のさらなる評価が求められていた。JAMA誌オンライン版2025年4月28日号掲載の報告。