小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

大豆食品は子どもの知能を高める

 大豆食品由来のイソフラボンの摂取量が多い学齢期(7〜13歳)の子どもは、摂取量の少ない子どもよりも注意力と思考能力の高いことが、新たな研究で明らかになった。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のAjla Bristina氏らによるこの研究結果は、米国栄養学会(ASN)年次総会(NUTRITION 2024、6月29日〜7月2日、米シカゴ)で発表された。  大豆や大豆食品にはイソフラボンが豊富に含まれている。イソフラボンは、成人を対象にした研究では記憶力を向上させることが示されているが、子どもを対象にイソフラボンのベネフィットを検討した研究はあまり実施されていない。また、Bristina氏によると、子どもが日常的に大豆食品を摂取する習慣は米国にはあまりないという。

12歳未満の重症血友病A、エフアネソクトコグ アルファの有用性~XTEND-Kids試験/NEJM

 重症血友病Aの小児において、エフアネソクトコグ アルファによる週1回の定期補充療法は、投与後3日間ならびに約7日間にわたり高い第VIII因子活性を維持して効果的な出血予防効果をもたらし、有害事象はほとんどが非重篤であったことが示された。米国・ウィスコンシン医科大学のLynn Malec氏らXTEND-Kids Trial Groupが、第III相非盲検試験「XTEND-Kids試験」の結果を報告した。エフアネソクトコグ アルファは、12歳以上の重症血友病A患者において、週1回投与で前治療の第VIII因子製剤と比較し持続的な高い第VIII因子活性と優れた出血予防効果が認められていた。NEJM誌2024年7月18日号掲載の報告。

なぜ子どもはコロナが重症化しにくいのか

 子どもというものは、しょっちゅう風邪をひいたり鼻水が出ていたりするものだが、そのことが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症化から子どもを守っている可能性のあることが、米イェール大学医学部准教授のEllen Foxman氏らの研究で示された。この研究結果は、「Journal of Experimental Medicine」に7月1日掲載された。  COVID-19パンデミックを通して、子どもは大人よりもCOVID-19が重症化しにくい傾向があると指摘されていたが、その理由は明確になっていない。Foxman氏は、「先行研究では、子どもの鼻腔内の自然免疫の亢進は、小児期にのみ見られる生物学的なメカニズムによって生じることが示唆されていた。しかし、われわれは、子どもにおける呼吸器系ウイルスや細菌感染による負荷の高さも鼻腔内の自然免疫の亢進に寄与している可能性があると考えた」と言う。自然免疫系は、生まれつき体に備わっている、細菌やウイルスに対する防御システムだ。体は抗体を作り出すことで、より標的を絞った免疫反応を起こす一方で、自然免疫系は抗ウイルス性タンパク質と炎症性タンパク質を速やかに産生して、感染から体を守る働きを担っている。

HPVワクチン、積極的勧奨の再開後の年代別接種率は?/阪大

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨が再開しているが、接種率は伸び悩んでいる。この状況が維持された場合、ワクチンの積極的勧奨再開世代における定期接種終了年度までの累積接種率は、WHOが子宮頸がん排除のために掲げる目標値(90%)の半分にも満たないことが推定された。八木 麻未氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室 特任助教)らの研究グループは、2022年度までのHPVワクチンの生まれ年度ごとの累積接種率を集計した。その結果、個別案内を受けた世代(2004~09年度生まれ)では平均16.16%、積極的勧奨が再開された世代(2010年度生まれ)では2.83%と、積極的勧奨再開後も接種率が回復していない実態が明らかとなった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2024年7月16日号に掲載された。

ニルセビマブ、乳児のRSV感染症入院リスクを83%減少/NEJM

 実臨床において、長時間作用型の抗RSVヒトモノクローナル抗体であるニルセビマブは、RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)関連細気管支炎による入院リスクの低下に有効であることが示された。フランス・Paris Cite UniversityのZein Assad氏らが、生後12ヵ月未満の乳児を対象とした多施設共同前向きマッチング症例対照研究「Effectiveness of Nirsevimab against RSV-Associated Bronchiolitis Requiring Hospitalization in Children:ENVIE研究」の結果を報告した。RSVは細気管支炎の主な原因であり、世界中で毎年300万例が入院している。ニルセビマブ承認後の、実臨床におけるRSV関連細気管支炎に対する有効性については不明であった。NEJM誌2024年7月11日号掲載の報告。

小児・青年に対する抗精神病薬の生理学的影響の比較〜ネットワークメタ解析

 小児および青年における各抗精神病薬に対する生理学的反応の程度は、よくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaria Rogdaki氏らは、神経精神疾患および神経発達障害を伴う小児および青年における各種抗精神病薬の生理学的変数への影響を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。The Lancet. Child & Adolescent Health誌2024年7月号の報告。  2023年12月22日までに公表された神経精神疾患および神経発達障害を伴う18歳未満の小児または青年を対象に抗精神病薬とプラセボを比較したランダム化比較試験(RCT)をMedline、EMBASE、PsycINFO、Web of Science、Scopusより検索し、ネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムは、体重、BMI、空腹時血糖、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、プロラクチン、心拍数、収縮期血圧(SBP)、補正QT時間(QTc)のベースラインから急性期治療終了までの平均変化とした。複数の用量で検討されたマルチグループ試験では、すべての用量について各生理学的変数のサマリ値を算出した。Kilimプロットを用いて、すべての治療とアウトカムの結果を要約し、p値を用いて、治療効果と統計学的エビデンスの強さに関する情報を評価した。異質性はτ、バイアスリスクはCochrane Collaborationバイアスリスク評価ツール、ネットワークメタ解析の信頼性はConfidence in Network Meta-Analysis(CINEMA)appで評価した。

重要性を増すゲノム診療科、その将来ビジョン/日本動脈硬化学会

 2023年に議員立法として成立した“良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律”、通称「ゲノム医療推進法」。詳細についての議論はこれから進んでいく模様だが、循環器領域においては、2022年度の診療報酬改定により動脈硬化に関連する難病への遺伝学的検査の対象疾患が拡大され、4疾患(家族性高コレステロール血症、原発性高カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1[ホモ接合体])の遺伝学的検査を含む複数の脂質異常症疾患が保険適用された。

母親のスマホ使用は乳児への語りかけの減少と関連

 母親がスマートフォン(以下、スマホ)を使っているときには、乳児への語りかけが16%減少し、乳児の言語発達に悪影響を及ぼす可能性のあることが、新たな研究で示唆された。1~2分程度の短時間のスマホ使用は、母親の乳児への語りかけをさらに減少させていたという。米テキサス大学オースティン校心理学分野のMiriam Mikhelson氏らによるこの研究結果は、「Child Development」に6月26日掲載された。  Mikhelson氏は、「新米の親へのアドバイスは、スマホの使用が子どものニーズに対応する親の能力に影響するということを認識することだ。子どもにとっては、自分の求めに応じて一貫性のあるケアを受けることが非常に重要だ。しかし、親がスマホに夢中になっていると、そのようなケアを受けにくくなることがある」と話す。

ネグレクトと虫歯の関連―児童相談所での調査

 虐待などの理由で児童相談所に一時保護された子どもを対象に、虫歯の有病率と虐待の関連を調べる研究が行われた。その結果、虐待の種類としてネグレクトを受けた子どもで虫歯の有病率が高いことが明らかとなった。新潟大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野の中村由紀氏らによる研究であり、「BMC Public Health」に5月18日掲載された。  子ども虐待の報告件数は増加が続いている。子どもの虫歯を放置するなど、必要な歯科医療を受けさせないことは「デンタルネグレクト」と呼ばれ、歯科保健と児童福祉の両面から対策を講じることが重要である。虫歯を放置することは虐待の兆候とも考えられるが、虫歯と虐待は直接には関連していないことを示唆する報告もある。また、虐待の種類と虫歯の関係については十分に研究されていない。

夏場は注意!紫外線だけでなく、高温・熱中症も白内障リスクに

 今夏も高温の日が続くことが予想されている。紫外線が眼病リスクを高めるという報告はこれまでも多くされてきたが、紫外線だけでなく、環境温度や熱中症の既往も白内障リスクを高める可能性があるという。2024年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンが行ったプレスセミナーにおいて、金沢医科大学 眼科学講座 主任教授 佐々木 洋氏が「紫外線と高温環境が目に与える影響と対策」と題した講演を行い、これまで佐々木氏らの研究グループが行った調査データをまとめて報告した。