小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

ADHDや境界性パーソナリティ障害に対するシンバイオティクスの有効性〜basket試験

 注意欠如多動症(ADHD)およびまたは境界性パーソナリティ障害(BPD)の患者では、易怒性により予後が悪化し、死亡率上昇を来す可能性がある。しかし、その治療選択肢は、不十分である。近年、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスは、医療のさまざまな領域で注目されている。スペイン・Hospital Universitari Vall dHebronのGara Arteaga-Henriquez氏らは、ADHDまたはBPD患者の易怒性レベルに対するシンバイオティスクの有効性を評価するため、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Brain, Behavior, and Immunity誌2024年8月号の報告。  本試験は、2019年2月〜2020年10月、ハンガリー、スペイン、ドイツの臨床センター3施設で実施した。対象は、ADHDおよびまたはBPDと診断され、易怒性レベルの高い18〜65歳の患者。易怒性レベルが高い患者の定義は、Affectivity Reactivity Index(ARI-S)5以上かつ臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコア4以上とした。対象患者は、シンバイオティクス群とプラセボ群にランダムに割り付けられ、10週間連続で毎日投与を行った。主要アウトカムは、治療終了時の治療反応とした。治療反応の定義は、ベースライン時と比較し10週目のARI-Sスコア30%以上減少かつ臨床全般印象度-改善度(CGI-I)総スコアが3未満(very muchまたはmuch)とした。両群間の副次的アウトカムの治療差および安全性も評価した。

母親の1型糖尿病は子どもの1型糖尿病罹患に対して保護的に働く

 母親が妊娠以前から1型糖尿病(T1DM)である場合にその子どもがT1DMを発症する確率は、父親がT1DMである場合に比べて相対的に低い可能性のあることが分かった。これは遺伝的な理由によるものではなく、胎児が子宮内で母親のT1DMの環境に曝露されることにより生じる違いと考えられるという。英カーディフ大学のLowri Allen氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表する。  T1DMは、免疫系が膵臓のインスリン産生細胞を標的として攻撃する自己免疫疾患で、それらの細胞が破壊されてしまうと、生存のためのインスリン療法が必須となる。Allen氏によると、「T1DMの家族歴がある人は、自己免疫疾患を発症する確率が8~15倍高い」という。また同氏は、「これまでの研究では、T1DMの場合、母親ではなく父親が罹患しているケースで、子どもの罹患リスクが高くなることが示されている。われわれはこのような関係をより詳しく理解したかった」と研究背景を述べている。

境界性パーソナリティ障害、思春期〜成人期の経過

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療において、思春期以降の中長期にわたる臨床的および機能的経過に関する研究は、不十分である。デンマーク・Mental Health ServicesのMie Sedoc Jorgensen氏らは、思春期BPD患者における診断から5年後の精神病理学的および機能的状態についての検討を行った。Comprehensive Psychiatry誌2024年7月号の報告。  対象は、思春期BPDに対するメンタライゼーション・ベースド・セラピーによるグループ介入と通常治療を比較したランダム化臨床試験(RCT)に登録された患者。5年後のフォローアップ調査時に、Schedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry(Scan)およびStructured Clinical Interview for DSM-5 Personality Disorders(SCID-5-PD)を含む半構造化面接評価を行った。自己報告ツールを用いて、注意欠如多動症(ADHD)、アルコール、薬物、タバコの使用、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、複雑性PTSD、一般機能の評価を行った。

若年者の砂糖入り飲料摂取、世界的な動向は?/BMJ

 世界185ヵ国の小児・思春期児(3~19歳)における砂糖入り飲料(sugar sweetened beverage、SSB)の摂取量は、1990~2018年の間に23%増加しており、このことと同年齢層における世界的な肥満症有病率の上昇が対応していることを、米国・タフツ大学のLaura Lara-Castor氏らがGlobal Dietary Databaseを用いた検討で明らかにした。また、世界の小児・思春期児のSSB摂取量は、年齢や親の教育レベル、都市居住か否かによりばらつきがみられたという。BMJ誌2024年8月7日号掲載の報告。  研究グループはGlobal Dietary Databaseを用いた連続横断分析で、世界の小児・思春期児におけるSSB摂取量と経時的な傾向を定量化した。1990~2018年の185ヵ国の3~19歳を、年齢、性別、親の教育レベル、および地方または都市居住によって地域レベルで層別化し分析した。

5~17歳の10人に1人がADHD/米国調査結果

 米国疾病予防管理センター(CDC)下の組織である国立衛生統計センター(NCHS)は、2024年3月に米国における注意欠如・多動症(ADHD)に関する調査結果を発表した。この報告書によると、2020~22年にADHDと診断された5~17歳の子供の割合(有病率)は11.3%だったという。  その他の主な結果は以下のとおり。 ・5~17歳では、男児(14.5%)のほうが女児(8.0%)より有病率が高く、この傾向は5~11歳と12~17歳の年齢別においても一貫していた。 ・5~11歳の有病率(8.6%)よりも、12~17歳の有病率(14.3%)のほうが高かった。 ・有病率は、すべての人種において、5~11歳よりも12~17歳のほうが高かった。

国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?

 2024年8月2日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者の占める割合が多い傾向にある。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。CDCのEmerging Infectious Diseases誌2024年8月号に掲載。

マイコプラズマ肺炎が8年ぶりの高水準、上位は大阪・埼玉・佐賀/感染研

 国立感染症研究所が8月13日付で報告した2024年第31週(7月29日~8月4日)のIDWR速報データによると、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数が過去5年間の同時期の平均よりかなり多い。第27週(7月1~7日)以降5週連続で増加、2016年以来8年ぶりの高い水準となっている。  全国の定点当たり報告数は0.95人で、都道府県別にみると上位10都府県は以下のとおり。

1型糖尿病の子どもたちは「糖尿病の苦痛」にさらされている

 1型糖尿病の子どもは、いくつかのメンタルヘルス上の問題を抱えることが多いとする研究結果が報告された。英ケンブリッジ大学およびチェコ共和国国立精神保健研究所のTomas Formanek氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Mental Health」に7月17日掲載された。  報告された研究によると、1型糖尿病の子どもは糖尿病のない子どもに比べて、気分障害を発症する可能性が2倍以上高く、不安症に苦しむ可能性は50%高く、また摂食障害や睡眠障害などの行動上の問題が発生する可能性は4倍以上高いという。ただし、この研究結果は同時に、このようなメンタルヘルス疾患が、1型糖尿病という病態が原因で引き起こされるものではないことも示唆しており、「子どもたちが抱えるこのようなリスクは、むしろ慢性疾患を継続的に管理し続けることに伴う『糖尿病の苦痛』が原因のようだ」と、著者らは述べている。

JN.1系統対応コロナワクチン、一変承認を取得/ファイザー・ビオンテック

 ファイザーおよびビオンテックは2024年8月8日付のプレスリリースにて、生後6ヵ月以上を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株JN.1系統対応の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、日本での製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  両社は2024年6月10日、オミクロン株JN.1系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンについて厚生労働省に承認事項一部変更を申請しており、今回、以下の製剤が承認された。

HPVワクチンのキャッチアップ接種推進に向けて/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催した。会見では、「2025(令和7)年度の予算要求要望」について、「医療DXの適切な推進、地域医療への予算確保、新興感染症などへの予算確保」ならびに事項要求として「物価高騰・賃金上昇への対応」を厚生労働省に要望したことが報告された。また、医師会が日本医学会との協力で発行している英文ジャーナル「JMA Journal」が「1.5」(クラリベイト社発表)のインパクトファクターを取得したことも報告された。そのほか、2024年9月末に期限が迫っている「HPVワクチンキャッチアップ接種推進に向けて」について医師会の取り組みが説明された。