小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

ストレスや託児所不足を理由に多くの医師が離職

 長時間で変動も多い勤務時間に対応可能な託児所を見つけることの困難さや育児にかかる費用が、子どもを持つ医師の大きなストレスのもととなっていることが、英国で実施された新たな調査から明らかになった。フリーランスのヘルスケアジャーナリストであるErin Dean氏がまとめたこの調査結果は、「The BMJ」に2月14日掲載された。調査結果からは、すでに医師を辞めたか辞めることを考えている人、より柔軟な働き方ができるように専門分野を変えた人、子どもを持つ計画を変更した人のいることが浮き彫りになったという。

ワクチン接種、腕を交互にすることで免疫力アップ?

 ワクチンを複数回接種する際には、接種する腕を同じ側にするのではなく交互にかえることで、より高い効果を得られる可能性があるようだ。新型コロナワクチンの2回目接種時に接種する腕を逆にした人の方が、同側の腕に接種した人よりも免疫力が高いことが確認された。米オレゴン健康科学大学の感染症専門医であるMarcel Curlin氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Clinical Investigation」に1月16日掲載された。  研究グループは、「新型コロナワクチンに関しては、パンデミック時にすでに何百万人もの米国人が複数回の接種を受けたので、今回の研究で得られた知見はもはやさほど重要ではないかもしれないが、小児用予防接種を含む複数回接種のワクチン全てに影響を与える可能性がある」述べている。

ADHD患者の薬物療法、全死因死亡リスクを有意に低減/JAMA

 注意欠如・多動症(ADHD)患者への薬物療法は、全死因死亡リスクを有意に低減することが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLin Li氏らが、約15万例のADHD患者を対象に行った全国的な観察コホート試験で明らかにした。ADHDは早期死亡を含む有害な健康アウトカムのリスク増大と関連していることが知られているが、ADHD薬物療法が死亡リスクに影響を与えるかどうかについては不明だった。JAMA誌2024年3月12日号掲載の報告。  研究グループは、今回スウェーデンで行われた観察コホート試験について、標的試験模倣フレームワークを用い、2007~18年にADHDの診断を受け、診断前にADHD薬物療法を受けていなかった6~64歳を特定した。ADHDの診断から、死亡、移住、ADHD診断後2年、2020年12月31日のいずれか早い時点まで追跡した。ADHD薬物療法の開始は、診断後3ヵ月以内の処方で定義した。  ADHD診断後2年間の全死因死亡、自然死因(身体の状態によるなど)、非自然死因(不慮の傷害、自殺、偶発的な中毒によるなど)を評価した。

遊び半分のからかい行動、類人猿にも

 子どもが誰かをつついたり髪を引っ張ったりして互いをからかい合う場面は誰もが見かけたことがあるはずだが、このような遊び半分のからかい行動を見せるのはヒトだけではないようだ。オランウータンやチンパンジーなどの類人猿も、さまざまな形のからかい行動を行い、そのような行動はヒトと同様、挑発的で繰り返される傾向があり、驚きや遊びの要素を含んでいることが、マックス・プランク研究所(ドイツ)のIsabelle Laumer氏らによる研究から明らかになった。この研究の詳細は、「Proceedings of the Royal Society B」2月14日号に掲載された。

女子小中学生ではスマホを含むスクリーンタイムの長さと肥満が関連

 日本人の小学5年生から中学2年生の女子では、スマホを含む電子機器の画面を見るスクリーンタイムが長いほど肥満リスクが有意に高まるという研究結果を、新潟大学血液・内分泌・代謝内科学研究室の池田和泉研究員、藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授らの研究グループが「Endocrine Journal」に1月11日発表した。1日のスクリーンタイムの総計が4時間以上、スマホは2時間以上と一定の長さを超えるグループにおいても、身体活動や睡眠時間を十分にとることで肥満リスクを低減できる可能性も示された。一方で、男子ではスクリーンタイムと肥満の関連は認められなかった。

新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)、有効性・安全性を確認/Lancet

 新規2型経口生ポリオウイルスワクチン(nOPV2)は、ガンビアの乳幼児において免疫原性があり安全であることを、ガンビア・MRC Unit The Gambia at the London School of Hygiene and Tropical MedicineのMagnus Ochoge氏らが、単施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。nOPV2は、セービン株由来経口生ポリオウイルスワクチンの遺伝的安定性を改善し、ワクチン由来ポリオウイルスの出現を抑制するために開発された。著者は、「本試験の結果は、nOPV2の認可とWHO事前認証を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月22日号掲載の報告。

オマリズマブ、複数の食物アレルギーに有効/NEJM

 複数の食物アレルギーを持つ1歳以上の若年者において、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブの16週投与は、ピーナッツやその他の一般的な食物アレルゲンに対するアレルギー反応の閾値の上昇に関して、プラセボよりも優れていることが示された。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRobert A. Wood氏らが、180例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。米国では小児の最大8%、成人の最大10%が食物アレルギーを有し、その多く(30~86%)が複数の食物アレルギーを有しているという。一方で、唯一承認されている治療法は、ピーナッツアレルギーに対する経口免疫療法であった。NEJM誌2024年2月25日号掲載の報告。

小児インフルワクチン接種は10月がおすすめ?(解説:栗原宏氏)

人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、気管挿管後48~72時間以上経過して発生する肺炎を指す。報告によって幅があるが全挿管患者の5~40%に発生するとされ、ICUでしばしばみられる感染性合併症である。死亡率は約10~30%と院内肺炎の中でもかなり高い。気管チューブから侵入した細菌が気管チューブ、気管支肺胞系、肺実質で増殖することがVAPの原因となる。抗菌薬吸入療法はこれらの部位に直接高濃度の抗菌薬が可能であり、小規模試験のメタ解析によればVAP予防に有効であることが示されている。これを踏まえて、著者らは人工呼吸器導入後3日目以降に、1日1回3日間、理想体重1kg当たり20mgのアミカシン吸入療法を行い、VAPの発生率が減少するかを検討した。

小児インフルワクチンの最適な接種月/BMJ

 2~5歳の小児に対するインフルエンザワクチン接種の最適な時期について調べた住民ベースのコホート試験で、誕生月が予防健診受診の時期に影響を与えることからワクチン接種のタイミングと関連することが示され、その結果、10月生まれの小児は10月にワクチン接種を受ける可能性が最も高く、インフルエンザと診断される可能性が最も低かった。11月および12月に接種を受けた小児については、インフルエンザと診断される可能性が低かったが交絡因子の存在が示唆されたという。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher M. Worsham氏らが、米国でインフルエンザワクチン接種を受けた2~5歳の小児約82万人を対象に行ったコホート試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「10月のワクチン接種促進の推奨と一致した結果が得られた」とまとめている。BMJ誌2024年2月21日号掲載の報告。

ADHDと6つの精神疾患リスクとの関連

 注意欠如・多動症(ADHD)とさまざまな精神疾患との合併率の高さは、観察研究や診断基準などから示唆されている。中国・重慶医科大学のYanwei Guo氏らは、ADHDと6つの精神疾患との潜在的な遺伝的関連性を調査するため、メンデルランダム化(MR)研究を実施した。BMC Psychiatry誌2024年2月5日号の報告。  2サンプルのMRデザインを用いて、ADHDと6つの精神疾患のゲノムワイド関連研究(GWAS)に基づき、遺伝的操作変数(IV)をシステマティックにスクリーニングした。主なアプローチとして、逆分散重み付け(IVW)法を用いた。