新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の下、今後のインフルエンザの流行を控え一般の医療機関でもさまざまな感染症に関する検査をする機会が増大すると考えられる。
厚生労働省は、10月2日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1版)」および鼻腔検体採取における留意点等についてを公表し、全国の医療・保健関係機関に送付した。本指針は、第47回厚生科学審議会感染症部会で議論され、取りまとめられたもの。
COVID-19にかかわる核酸検出検査、抗原定量検査および抗原定性検査の検体として新たに鼻腔検体を活用することが可能となり、抗原定性検査(簡易キット)は、医療機関などに限らず実施することができ、短時間で結果を確認することができるようになった。
そのため、抗原定性検査はインフルエンザ流行期における発熱患者などへの検査に有効であることから、診療・検査医療機関においては、迅速・スムーズな診断・治療につなげるべく、簡易キットを最大限活用した検査体制の整備を検討してほしいと要望している。
具体的に本文には「各種検査法の実施時間」として
・リアルタイムPCR 2~4時間
・定性PCR+シークエンス確認 7~9時間
・LAMP法 1時間
・抗原定量 30分
・抗原定性 40分
などの現在の検査と結果判明までの時間のまとめや各種検体と適切な感染防護が次のように記載されている。
・鼻咽頭ぬぐい液/鼻腔ぬぐい液:医療者に一定の曝露あり(フェイスガード、サージカルマスク、手袋・ガウンなど)
・唾液:医療者の曝露は限定的(サージカルマスク、手袋)
これに伴い、「SARS-CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」(6月16日最終改訂)は廃止となる。
また、これらに加え、「鼻腔検体採取を実施する場合の留意点等」については、「鼻孔から2cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、十分湿らせること。被検者自身が採取する際は、鼻出血が起こりやすい部位である点にも配慮し、医療従事者の管理下で実施すること」、「検体採取に当たり、医療従事者に一定の曝露があるため、フェイスシールド、サージカルマスク、手袋、ガウンといった個人防護具の装着による感染防御を要すること」など具体的な注意点が記されている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 目次
I 検査種類と各種検査の意義
1.検査の種類
2.検体の種類と採取
3.検体の取り扱い、保管と輸送
4.検査の解釈や検査精度など
5.検査の流れ
II 状況に応じた適切な検査実施
1.COVID-19を疑う有症状者
2.濃厚接触者
3.インフルエンザ流行期
4.無症状者の検査
III 検体採取に応じた適切な感染防護
(ケアネット 稲川 進)