精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:111

薬物療法中の双極性障害患者における運転パフォーマンス

 双極性障害治療で用いられる薬物は、患者の認知機能に影響を及ぼす可能性がある。双極性障害患者は、寛解状態でも神経認知機能障害が認められる場合が少なくない。名古屋大学の山口 亞希子氏らは、薬物治療中の安定期双極性障害外来患者の日常機能、とくに運転パフォーマンスについての検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年1月17日号の報告。  対象は、実臨床で薬物療法中の双極性障害外来患者58例および性別、年齢がマッチした健康対照者80例。ドライビングシミュレーターを用いて3つの運転タスク(道路追跡、車両フォロー、急ブレーキ)および3つの認知機能タスク(Continuous Performance Test、Wisconsin Card Sorting Test、Trail-Making Test)で評価した。症状評価には、ヤング躁病評価尺度、構造化ハミルトンうつ病評価尺度、BDI-IIベック抑うつ質問票、自記式社会適応度評価尺度、スタンフォード眠気尺度を用いた。

新型コロナ感染、1年間の精神疾患リスクは?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、同時期のSARS-CoV-2非感染者および歴史的対照者と比較して、さまざまな精神疾患(不安障害、うつ病性障害、ストレスおよび適応障害、オピオイド使用障害、オピオイド以外の物質使用障害、神経認知機能低下、睡眠障害など)のリスクが高いことが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。著者は、「COVID-19生存者のメンタルヘルス障害に対する取り組みは優先課題である」とまとめている。BMJ誌2022年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、米国退役軍人省のデータを用い、2020年3月1日~2021年1月15日の間に少なくとも1回、SARS-CoV-2のPCR検査が陽性であった人(16万9,240例)を特定し、このうち陽性確認から30日後に生存していた人(COVID-19群15万3,848例)の転帰を調べ(追跡期間終了日:2021年11月30日)、精神疾患の発症リスクを2つの対照群と比較した。対照群は、COVID-19群と同時期にSARS-CoV-2の感染が確認されていない同時期対照群(563万7,840例)と、COVID-19流行以前の歴史的対照群(585万9,251例)である。  COVID-19と精神疾患発症との関連は、事前に定義した共変量およびアルゴリズムで選択された高次の共変量の両方に関して調整した逆確率重み付け法により、追跡期間中のハザード比(HR)と、各群における1年推定発生率の差に基づく1,000人当たりの1年間の補正後リスク差ならびにその95%信頼区間(CI)を算出した。

統合失調症、うつ病患者に退院時使用されている頓服薬の傾向

 統合失調症やうつ病に対する継続的な薬物療法が重要であることは、さまざまなガイドラインで示唆されているが、頓服による治療に関する報告はほとんど行われていない。東京大学の市橋 香代氏らは、向精神薬の頓服使用を行っている統合失調症およびうつ病患者の特徴を明らかにするため、検討を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年1月13日号の報告。  精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)のデータを用いて、統合失調症(2,617例)およびうつ病患者(1,248例)の退院時における向精神薬頓服使用の有無、患者の年齢や性別、頓服使用と継続的な向精神薬使用との関連について評価を行った。  主な結果は以下のとおり。

痛み止めの使い過ぎによる頭痛の有病率調査~糸魚川研究

 一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。  新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。  主な結果は以下のとおり。

認知症患者に対するベンゾジアゼピン、Z薬の使用

 世界中のガイドラインにおいて、認知症のBPSDや不眠の治療に対し、ベンゾジアゼピンやZ薬などのベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)の使用が制限下で推奨されている。オランダ・Center for Specialized Geriatric CareのDirk O. C. Rijksen氏らは、認知症ナーシングホームの入居者に対するBZRAの使用率と適切性についての評価を行った。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2021年12月9日号の報告。  2016~18年に実施した向精神薬使用に関する2つの介入研究より、BZRA使用に関して事後分析を実施した。対象は、24のオランダ介護組織の認知症特別ケアユニットに入居している患者1,111例。継続的および頓服のBZRAの使用率と患者の症状との関連を評価した。継続的なBZRA使用の適切性(適応症、投与量、投与期間、認知症や睡眠障害の治療ガイドラインに準じた評価)について評価した。  主な結果は以下のとおり。

マルモと認知症(解説:岡村毅氏)

医学界は常に移ろいでいる。社会は高齢化し、重視するものが根治から生活の質へと変わり、プライマリケアの存在感がじわじわと向上している。そのなかで近年注目されてきたのがマルチモビディティ(多疾患併存)である。通常は2つ以上の慢性疾患を持つことを指す。ちなみに「マルモ」などと呼ばれることもあるとかないとか。マルチモビディティを持つ「高齢者」が認知症になりやすいという報告はある。では、若いころのマルチモビディティも認知症のリスク因子であるのでは、と考えるのは自然だ。そうすると長い歴史のあるコホートを戦略的に持っている英国が断然有利だ。あらゆる仮説を、時代をさかのぼってある程度検証できるのだから。ジェームズ・ボンドの国だけあって情報戦に強い、ということか。

双極性障害の睡眠に対する心理的および行動的介入

 睡眠や概日リズムの乱れは、双極性障害患者にみられる顕著な症状であり、潜在的な補助的介入の標的となりうる。英国・オックスフォード大学のLampros Bisdounis氏らは、双極性障害患者の睡眠や概日リズムに対する心理学的および行動学的介入の有効性を評価するため、ランダム化比較試験のレビューを行った。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2022年1月号の報告。  包括基準を満たした19研究を、必要に応じてナラティブ統合およびメタ解析によりサマライズした。  主な結果は以下のとおり。

統合失調症の再発に影響を及ぼす要因

 統合失調症は再発率が高い疾患である。再発は、患者だけでなくその家族にとっても大きな影響を及ぼすが、生物心理社会学的および精神医学的要因を見直すことで、改善する可能性がある。統合失調症の再発に影響を及ぼす潜在的なリスク因子を明らかにすることは、医師、患者およびその家族の意識を向上させるために役立つと考えられる。医師は、患者を診察し、マネジメントや教育を行い、再発を抑制することが求められる。インドネシア・エアランガ大学のMargarita M. Maramis氏らは、統合失調症患者の再発発生に影響を及ぼす生物心理社会学的および精神医学的要因について、分析を行った。International Journal of Social Psychiatry誌オンライン版2021年12月28日号の報告。  インドネシア・東ジャワの3施設Soetomo Academic Hospital Surabaya(33.2%)、Menur Hospital Surabaya(32.7%)、Radjiman Wediodiningrat Mental Hospital Lawang(34.1%)より統合失調症患者226例を対象とし、横断的観察分析研究を実施した。生物心理社会学的および精神医学的要因を含む33因子のデータを収集し、二変量および多変量ロジスティック回帰分析を行った。

双極性障害患者の睡眠評価~主観的および客観的アプローチの比較

 双極性障害患者では、睡眠障害が頻繁に認められる。そのため、双極性障害患者の睡眠を正確に評価することは重要である。双極性障害患者の睡眠を評価するうえで、睡眠日誌や質問票などの主観的な睡眠評価ツールが用いられることが多いが、これらのツールがアクチグラフなどの客観的なツールと同程度の精度があるかはよくわかっていない。藤田医科大学の藤田 明里氏らは、双極性障害患者の睡眠を評価するための主観的および客観的ツールについての比較を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年12月13日号の報告。

統合失調症に対するベンゾジアゼピン併用の影響

 統合失調症患者に対するベンゾジアゼピンの使用について、未使用、短期使用、長期使用の場合の疾患経過に対する影響を、トルコ・Usak UniversityのOkan Ekinci氏らが、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年1月17日号の報告。  2015年1月~2019年1月に精神科病院に入院した統合失調症患者を対象にレトロスペクティブ研究を実施した。患者の臨床経過の特徴について、最初の入院から観察期間終了(24ヵ月)までレトロスペクティブに追跡した。