精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:113

若者がADHD治療薬の使用を中止する理由

 注意欠如多動症(ADHD)は、成人期まで継続する可能性のある神経発達障害である。ADHD治療薬は、継続的に使用することが重要であるにもかかわらず、若者の多くは成人期にやめてしまうことが少なくない。そのため、成人期よりADHD治療薬を再開することもあり、中止が時期尚早であった可能性が示唆されている。英国・エクセター大学のDaniel Titheradge氏らは、若者がADHD治療薬を中止してしまう理由について、調査を行った。Child: Care, Health and Development誌オンライン版2022年1月31日号の報告。

高齢者に対するベンゾジアゼピン使用の安全性

 高齢者に対するベンゾジアゼピン(BZD)使用については、とくに長期使用に関して、各ガイドラインで違いが認められる。カナダ・トロント大学のSimon Jc Davies氏らは、高齢者に対する継続的または断続的なBZD使用に関連するリスクの比較を、人口ベースのデータを用いて実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2022年2月1日号の報告。  医療データベースよりBZDの初回使用で抽出されたカナダ・オンタリオ州の66歳以上の成人を対象に、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。初回使用から180日間の継続的および断続的なBZD使用は、性別、年齢、傾向スコアでマッチ(比率1:2)させ、その後最大360日フォローアップを行った。主要アウトカムは、転倒に伴う入院および救急受診とした。アウトカムのハザード比(HR)は、Cox回帰モデルを用い算出した。

複雑性PTSD診断におけるICD-11導入後の期待

 複雑性PTSDはICD-11で初めて定義された疾患であり、PTSD診断の特徴であるトラウマ的症状に加え、自己組織化の障害(感情調節障害など)が認められる疾患である。デンマーク・オールボー大学のAshild Nestgaard Rod氏らは、複雑性PTSDの診断に対するICD-11の臨床的有用性について、調査を行った。European Journal of Psychotraumatology誌2021年12月9日号の報告。  ICD-11に含まれる国際的なフィールド調査、構成および妥当性の分析をレビューし、診断方法、国際トラウマアンケート(ITQ)、国際トラウマインタビュー(ITI)を調査した。複雑性PTSDと境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療、臨床的関連性の違いを明らかにするため、独立した分析を実施した。複雑性PTSD治療への影響は、既存のガイドラインと臨床ニーズを参照し、検討した。

精神科入院患者へのベンゾジアゼピン使用に対するCOVID-19の影響

 オーストラリア・Cumberland HospitalのNancy Zaki氏らは、COVID-19が急性期精神医学においてベンゾジアゼピンの使用増加に影響を及ぼすかについて、検討を行った。Australasian Psychiatry誌オンライン版2022年2月10日号の報告。  2019~20年の2年間にわたり、2つの急性期精神科入院患者ユニットにおけるベンゾジアゼピン使用率を評価した。同時期における経口アトルバスタチン使用率を比較対象として使用した。  主な結果は以下のとおり。 ・2020年の総入院患者数は減少したものの、2020年4月~12月のベンゾジアゼピン使用量は、2019年の同時期と比較し、有意な増加が認められた。 ・パンデミックの制限が緩和された後、使用量はさらにピークを迎えていた。これは、救急でのメンタルヘルス症状および急性期精神科入院の割合の高さによるものであると考えられる。 ・COVID-19による退院制限も、喫煙のさらなる制限につながっていた。  著者らは「COVID-19パンデミックにより、ベンゾジアゼピン使用は増加した。パンデミックが急性の精神医学的症状に及ぼす影響を理解するためには、より多くの研究が求められる」としている。

富とうつ病との関係

 うつ病と収入との関係については、逆相関が認められるといわれている。しかし、富とうつ病との関連はあまりわかっていない。米国・ボストン大学のCatherine K. Ettman氏らは、富とうつ病との関係についてこれまでの文献から何がわかっているかについて調査するため、スコーピングレビューを実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2022年2月8日号の報告。  2020年7月19日までの報告を、Medline(PubMed経由)、Embase、PsycINFO、PsycArticles、EconLit、SocINDEXより検索した。抽出された96文献をレビューした。文献の主な特徴は、発行年、サンプルサイズ国、研究デザイン、うつ病の定義、富の定義、富とうつ病の関係であった。詳細なチャートレビューには、32の縦断研究を含めた。  主な結果は以下のとおり。

親密な男性パートナーによる暴力、15~49歳女性の27%が経験/Lancet

 持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット5.2では、「人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力の排除」がうたわれている。世界保健機関(WHO)のLynnmarie Sardinha氏らは、今回、この目標の達成状況を評価するために、366件の研究のデータを解析し、2018年時点で、年齢15~49歳の女性の4人に1人以上(27%)が、生涯において親密な男性パートナーからの身体的または性的、あるいはその両方の暴力を経験し、7人に1人(13%)は調査の過去1年以内に暴力を受けたと推定されると明らかにした。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年2月16日号で報告された。  研究チームは、SDGsのターゲット5.2の達成に向けた各国政府の取り組みの進捗状況を監視する目的で、親密な男性パートナーによる女性への暴力の世界的な発生状況を調査した(英国・国際開発省[DFID、現在は外務・英連邦・開発省に統合]などの助成を受けた)。

認知症の精神症状に対する薬理学的治療~メタ解析

 認知症では精神症状が頻繁に認められ、疾患アウトカムの不良や実質的な機能障害を引き起こす可能性がある。どの治療薬を用いるべきかを議論するためには、薬物療法の直接的または間接的な比較が必要とされるが、これまで十分に行われていなかった。中国・復旦大学のYu-Yuan Huang氏らは、認知症患者に対する薬理学的治療の有効性および忍容性アウトカムを調査するため、システマティックレビューおよびペアワイズネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2022年3月号の報告。  2020年8月末までに報告された研究を、MEDLINE、Cochrane Library、EMBASE、PubMedより検索した。米国FDAより最終承認されているコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)、メマンチン、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬を含む試験を検索した。すべての薬剤について対プラセボの比較効果をランク付けするため、SUCRA(surface under the cumulative ranking)を用いた。  主な結果は以下のとおり。

抗CGRP抗体フレマネズマブの患者満足度調査

 米国・アルベルトアインシュタイン医科大学のDawn C. Buse氏らは、片頭痛に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの長期的(52週間)な安全性および有効性を評価するために実施された延長試験を完了し、フォローアップ調査に同意した患者を対象に、フレマネズマブに対する満足度、好み、患者報告アウトカムの評価を行った。The Journal of Headache and Pain誌2020年9月4日号の報告。  延長試験では、片頭痛患者1,842例がフレマネズマブ四半期ごと投与群または月1回投与群にランダム化された。積極的な治療完了後、患者の満足度、治療および投薬の好み、患者報告アウトカムの変化を調査票を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。

薬物療法中の双極性障害患者における運転パフォーマンス

 双極性障害治療で用いられる薬物は、患者の認知機能に影響を及ぼす可能性がある。双極性障害患者は、寛解状態でも神経認知機能障害が認められる場合が少なくない。名古屋大学の山口 亞希子氏らは、薬物治療中の安定期双極性障害外来患者の日常機能、とくに運転パフォーマンスについての検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年1月17日号の報告。  対象は、実臨床で薬物療法中の双極性障害外来患者58例および性別、年齢がマッチした健康対照者80例。ドライビングシミュレーターを用いて3つの運転タスク(道路追跡、車両フォロー、急ブレーキ)および3つの認知機能タスク(Continuous Performance Test、Wisconsin Card Sorting Test、Trail-Making Test)で評価した。症状評価には、ヤング躁病評価尺度、構造化ハミルトンうつ病評価尺度、BDI-IIベック抑うつ質問票、自記式社会適応度評価尺度、スタンフォード眠気尺度を用いた。

新型コロナ感染、1年間の精神疾患リスクは?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、同時期のSARS-CoV-2非感染者および歴史的対照者と比較して、さまざまな精神疾患(不安障害、うつ病性障害、ストレスおよび適応障害、オピオイド使用障害、オピオイド以外の物質使用障害、神経認知機能低下、睡眠障害など)のリスクが高いことが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。著者は、「COVID-19生存者のメンタルヘルス障害に対する取り組みは優先課題である」とまとめている。BMJ誌2022年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、米国退役軍人省のデータを用い、2020年3月1日~2021年1月15日の間に少なくとも1回、SARS-CoV-2のPCR検査が陽性であった人(16万9,240例)を特定し、このうち陽性確認から30日後に生存していた人(COVID-19群15万3,848例)の転帰を調べ(追跡期間終了日:2021年11月30日)、精神疾患の発症リスクを2つの対照群と比較した。対照群は、COVID-19群と同時期にSARS-CoV-2の感染が確認されていない同時期対照群(563万7,840例)と、COVID-19流行以前の歴史的対照群(585万9,251例)である。  COVID-19と精神疾患発症との関連は、事前に定義した共変量およびアルゴリズムで選択された高次の共変量の両方に関して調整した逆確率重み付け法により、追跡期間中のハザード比(HR)と、各群における1年推定発生率の差に基づく1,000人当たりの1年間の補正後リスク差ならびにその95%信頼区間(CI)を算出した。