精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:112

抗うつ薬または抗精神病薬による薬剤誘発性せん妄発現率

 せん妄治療の成功の可否は、可逆的な原因の検出に依存している。せん妄の一般的な可逆的原因は、せん妄を誘発する薬剤であると考えられる。オーストリア・ウィーン医科大学のM. E. Friedrich氏らは、抗うつ薬および抗精神病薬による薬剤誘発性せん妄について、分析を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2022年2月2日号の報告。  精神科入院患者の重篤な副作用を記録するドイツ語圏の各国が参加する多施設薬物監視プログラムAMSP(Arzneimittelsicherheit in der Psychiatrie)のデータを用いて、観察研究を実施した。本研究では、抗うつ薬および抗精神病薬による治療中の薬剤誘発性せん妄について、分析を行った。

片頭痛と認知症との関係~メタ解析

 片頭痛と認知症リスクとの相関を明らかにするため、中国・The First Hospital of Jilin UniversityのWei Jiang氏らは、包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Aging Clinical and Experimental Research誌オンライン版2022年1月31日号の報告。  PubMed、EMBASE、Cochrane library databasesより、システマティックに検索した。血管性認知症を含む認知症患者の片頭痛について報告されたコホート研究(プロスペクティブおよびレトロスペクティブ)およびケースコントロール研究を抽出した。プールされた効果を分析し、95%信頼区間(CI)を用いて、相対リスクの評価を行った。

境界性パーソナリティ障害に対する心理療法~メタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)に対する心理療法の有効性は、最新のコクランレビューにより示唆されている。ドイツ・マインツ大学のJutta M. Stoffers-Winterling氏らは、単独および追加療法による心理療法の有効性をより簡潔に評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年1月28日号の報告。  成人サンプルに対する積極的な治療と非特異的な対照条件との比較に焦点を当て、2020年に実施されたコクランレビューと同様の方法で検討を行った。単独またはいくつかの治療コンポーネントの1つとして個別の心理療法を含む単独療法と既存のBPD治療を補完するために行った追加療法について、それぞれ分析した。主要アウトカムは、BPDの重症度、自傷行為、自殺関連アウトカム、心理社会的機能とした。副次的アウトカムは、その他のBPD診断基準、抑うつ症状、消耗(attrition)とした。

統合失調症の再発予防、薬剤30種に有効性の差はない!? /Lancet

 統合失調症の成人患者における抗精神病薬による維持療法では、再発予防に関して30種の薬剤の有効性に明確な差はなく、治療薬の選択は主に忍容性を考慮して行うべきであることが、ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年2月26日号に掲載された。  研究グループは、統合失調症成人患者における抗精神病薬による維持療法の有効性と忍容性を評価する目的で、文献を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(ドイツ教育科学研究技術省などの助成を受けた)。  Cochrane Schizophrenia Groupの専門登録(開設時~2020年4月27日)、PubMed(2020年4月1日~2021年1月15日)、関連のある系統的レビューで対象とされた試験リストの検索が、記述言語に制限を設けずに行われた。  対象は、抗精神病薬(単剤療法、経口薬または長時間作用型注射薬)またはプラセボの投与を受け、症状が安定した統合失調症または統合失調感情障害の成人患者を募集した無作為化対照比較試験(追跡期間12週以上)とされた。特定の併存疾患や治療抵抗性を有する参加者の試験は除外された。  主要アウトカムは再発した参加者数とされ、変量効果を用いてベイジアンネットワークメタ解析が行われた。

治療抵抗性統合失調症の酸化ストレスバイオマーカー

 統合失調症は、世界で約2,000万人が罹患している精神疾患である。統合失調症の病態生理には、酸化ストレス(酸化促進作用と抗酸化作用の不均衡)などさまざまな因子が関与している。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio PretoのPatrick Buosi氏らは、統合失調症患者の臨床情報、人口統計学的データ、ライフスタイルを用いて、酸化ストレスのバイオマーカーと薬物治療反応との関連を評価した。Trends in Psychiatry and Psychotherapy誌2021年10~12月号の報告。  治療反応性統合失調症患者26例、治療抵抗性統合失調症患者27例、健康対照者36例を対象に、末梢血サンプル、質問票を用いて臨床および人口統計学的データを収集した。分光光度法を用いて分析した酸化ストレスマーカーは、カタラーゼ(CAT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、総グルタチオン(GSH-t)、マロンジアルデヒド(MDA)、トロロックス等価抗酸化能(TEAC、p<0.05)であった。

長時間作用型抗精神病薬の使用に対する障壁

 統合失調症は、日常機能やQOLを低下させる思考、知覚、行動の障害を伴う慢性的で重篤な精神疾患である。抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、経口剤よりも長期的アウトカムを改善する可能性があるが、多くの場合、LAI抗精神病薬は疾患経過の後半で最後の治療選択として用いられている。米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、統合失調症の現在の治療パターン、臨床医の考え、LAI抗精神病薬使用に対する障壁を評価し、精神科医の統合失調症のマネジメントにおける満たされていない教育ニーズを特定しようと試みた。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年1月26日号の報告。

女性への暴力に関する論文への精神医学的なコメント(解説:岡村毅氏)

21世紀に入ってから行われた主に国家規模の調査を世界中で集めてWHOにより分析された論文である。15歳から49歳の女性のうち、4人に1人以上がパートナーからの暴力(性的・身体的)を経験し、7人に1人以上は直近の過去1年で暴力を経験している。21世紀も5分の1が過ぎたが、相変わらず人間は暴力的だ。ウクライナの戦争などを見ても19世紀から大して変わっていないように見える。アクセス可能な方は論文のFigure 4をぜひご覧いただきたい。濃い赤は過去1年の女性への暴力が多い国であるが、アフガニスタン、南スーダン、コンゴ民主共和国、東ティモール、パプアニューギニアなどは言うまでもなく最近の紛争地域である。

アルツハイマー病治療薬aducanumabのFDA承認に対する世論調査

 FDAによるアルツハイマー病治療薬aducanumabの承認については、専門家の間でさまざまな意見が出されているが、このことに関する世論については、ほとんど知られていない。米国・ジョンズホプキンス大学School of Public HealthのMichael J. DiStefano氏らは、米国成人を対象に、aducanumabのFDA承認に対する世論調査を実施した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2022年2月7日号の報告。  対象は、35歳以上の米国成人。aducanumabの承認に関する意見、FDAに対する批判因子の特定、政策対応に関する意見(メディケアおよびメディケイドサービスセンターによる全国的な補償範囲決定に関連する対応など)を調査した。調査には、全国世論調査センターAmeriSpeakパネルから得られた確率ベースのサンプルを用いて、オンライン(英語およびスペイン語)で調査した。パネルおよび調査デザインの選択確率は、人口統計による人口分布と期待反応率の違いにより算出した。選択確率と無回答を調整するため、survey weightを用いて分析した。

新型コロナウイルス感染症のメンタルヘルス関連の後遺症(解説:岡村毅氏)

新型コロナウイルス感染症の後遺症としてメンタルヘルス関連の症状は多い。この論文によると精神疾患の診断を受ける可能性は約1.5倍に、精神疾患に対する処方を受ける可能性は約1.9倍に増える。さらに、新型コロナウイルス感染症で入院した人に限ると、精神疾患の診断を受ける可能性は約3.4倍に、精神疾患に対する処方を受ける可能性は約5.0倍に増えるとのことだ。認知機能低下も約1.8倍に増えている点も注目したい。本研究では、新型コロナウイルスに感染した米国の退役軍人15万人強(平均年齢63歳、男性が90%)でコホートをつくり、これを新型コロナウイルスに感染していない同時代の退役軍人の対照群と比較している。さらに、この時代に生きる人は世界的パンデミックを体験しているが、われわれ皆がそうであるように人生観・世界観に大いに影響を受けている。そこでその影響を除くべく、新型コロナウイルス出現前の時代でも対照群をつくっている。さらにさらに、インフルエンザでの入院とも比較するという、用意周到なデザインである。

抗CGRP抗体フレマネズマブの使用継続による効果の変化

 片頭痛の予防的治療の主な目的は、発作頻度の減少、重症度の軽減、期間の改善、片頭痛関連障害の軽減などである。これまでの片頭痛予防薬では、投与を継続するたびに、次の投与を行う前に臨床症状の再発または悪化が認められる減弱効果が報告されている。米国・The Headache Center of Southern CaliforniaのAndrew M. Blumenfeld氏らは、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの四半期ごとまたは月1回投与において、継続投与により有効性の減弱効果が認められるかについて、検討を行った。Headache誌2020年11月号の報告。