精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

労働時間ではなく仕事の種類がうつ病リスクに影響

 労働時間や労働形態が中高年のうつ病リスクに及ぼす影響を検討した研究は、比較的少ない。中国・Hangzhou Normal UniversityのYu Zhu氏らは、とくに報告の少ない中国における労働時間や労働形態とうつ病リスクとの関連を調査するため、本研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌2025年8月1日号の報告。  本研究は、2011〜20年のChina Health and Retirement Longitudinal Survey(CHARLS)のデータを用いて検討を行った。うつ病の測定には、10項目からなるCESD-10尺度を用いた。潜在成長曲線モデル(LGCM)を用いて労働時間がうつ病リスクに及ぼす影響を分析し、マルチレベル一般化推定方程式を用いて労働形態(職種および雇用形態を含む)とうつ病リスクとの関連を調査した。

日本人ASD、ADHDの自殺予防のために必要な幼少期の体験

 弘前大学の足立 匡基氏らは、自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如多動症(ADHD)の特性と幼少期のポジティブな経験が自殺関連行動に及ぼす複合的な影響を調査するため、日本人の青年および若年成人の大規模かつ代表的なサンプルを用いて、調査を行った。さらに、幼少期のポジティブな経験が神経多様性特性に関連するリスク軽減に役立つかについても、検討を行った。Frontiers in Psychiatry誌2025年4月30日号の報告。  対象は、16〜25歳の日本人5,000人。検証済みの尺度を用いて、ASD およびADHD特性、幼少期のポジティブな経験、自殺念慮および自殺企図を含む自殺関連行動を測定し、データを収集した。これらの変数の影響を評価するため、階層的回帰分析を複数回実施した。幼少期のポジティブな経験と神経多様性特性との間の相互作用効果を検討し、潜在的な緩和効果を検証した。

うつ病リスクに影響を及ぼす食事パターン、男女や年齢で違いがあるか?

 食生活パターンは、うつ病リスクと関連している可能性がある。男女間および年齢層別の食生活パターンの違いは報告されているものの、うつ病リスクへの影響はこれまで十分に検討されていなかった。フランス・マルセイユ大学のYannis Achour氏らは、性別および年齢層における食生活パターンとうつ病リスクとの関連性を調査し、ターゲットを絞った予防および介入戦略に役立てるため、脆弱な集団を特定することを目指し、本研究を実施した。Nutrients誌2025年5月4日号の報告。

不定愁訴、魚介類の摂取不足が原因か

 女性は男性よりも原因不明の体調不良(不定愁訴)を訴える可能性が高い。今回、日本の若い女性における不定愁訴と抑うつ症状の重症度が、魚介類の摂取量と逆相関するという研究結果が報告された。研究は和洋女子大学健康栄養学科の鈴木敏和氏らによるもので、詳細は「Nutrients」に4月3日掲載された。  不定愁訴は、器質的な疾患背景を伴わない、全身の倦怠感、疲労感、動悸、息切れ、脳のもやもやなどの症状を指す。これらの症状は、検査で原因が特定できない場合が多く、心身のストレスや自律神経の乱れが関与していると考えられている。過去50年間に行われた様々な横断研究より、不健康なライフスタイルとそれに伴う栄養摂取の影響が不定愁訴に関連することが報告されている。しかし、不定愁訴と特定の食品、栄養素との関連は未だ明らかにされていない。このような背景を踏まえ、著者らは不定愁訴および抑うつ症状を定量化し、これらの症状の重症度と関連する栄養素や食品を特定することを目的として、日本の若年女性を対象とした横断的調査を実施した。

コーヒーは片頭痛予防に有効なのか?

 片頭痛は、不十分な薬物療法、不安、睡眠障害、うつ病、ストレスなど、さまざまなリスク因子の影響を受ける慢性的な神経疾患である。コーヒーは多様な生理活性作用が報告されており、急性片頭痛の症状緩和に役立つといわれているが、長期にわたる摂取を中止した場合、予期せぬ片頭痛の誘発につながる可能性がある。片頭痛患者の一部は、カフェインを潜在的な誘発因子として捉えているが、カフェインの片頭痛予防効果はいくつかの研究で示唆されている。コーヒーとその成分が片頭痛に及ぼす複雑な生理学的・薬理学的メカニズムは、依然として十分に解明されていない。中国・Shulan (Anji) HospitalのAyin Chen氏らは、コーヒーとその成分が片頭痛発症リスクに及ぼす影響を明らかにする目的で、メンデルランダム化(MR)解析を用いた調査を実施した。Neurological Research誌オンライン版2025年4月20日号の報告。

抗精神病薬の過剰治療はどう変化しているのか

 抗精神病薬による過剰治療は、副作用の観点から重要な懸念事項である。これまでの研究では、抗精神病薬の多剤併用や過剰な高用量投与に焦点が当てられてきた。オランダ・フローニンゲン大学のStijn Crutzen氏らは、潜在的な過剰治療、抗精神病薬の多剤併用、抗精神病薬の総投与量、主観的な副作用の負担について、経時的な変化をマッピングし、総投与量および多剤併用と主観的な副作用の負担との関連を調査するため、長期ケアを受けている患者を対象とした自然主義的コホート研究のデータを解析した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2025年5月7日号の報告。  自然主義的縦断的コホート研究であるPHAMOUS調査のデータ(2013~21年)を用いた。潜在的な過剰治療の定義は、リスペリドン換算5mg超の抗精神病薬投与量、または高い主観的な副作用の負担を伴う抗精神病薬の多剤併用とした。潜在的な過剰治療、多剤併用、総投与量、主観的な副作用の負担における傾向を調査し、総投与量および多剤併用と主観的な副作用の負担との関連を評価するため、混合効果モデルを用いた。

中年期に運動量を増やすとアルツハイマー病のリスクが低下する

 中年期に運動量を増やすことが、後年のアルツハイマー病(AD)のリスク低下につながることを示唆するデータが報告された。バルセロナ国際保健研究所(スペイン)のMuge Akinci氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer’s & Dementia」に4月30日掲載された。  運動習慣がADのリスクを低下させる可能性のあることは既に知られていて、ADの13%は運動不足が関与して発症するという報告もある。しかし、中年期の運動習慣の変化が高齢期のADのリスクに、どのような影響を及ぼすのかは明らかになっていない。Akinci氏らはこの点について、スペインにおけるADの患者と家族に関する研究(ALFA研究)のデータを用いた縦断的解析を行った。

日本における片頭痛患者の市販薬使用状況調査〜OVERCOME第2回研究

 片頭痛患者は、さまざまな理由で市販薬(OTC)を好む傾向があるが、OTC頭痛薬の過剰使用は、薬物乱用性頭痛を引き起こす可能性がある。京都府立医科大学の石井 亮太郎氏らは、片頭痛の疫学、治療、ケアに関する観察研究であるOVERCOME(Japan)第2回研究を分析し、日本における片頭痛患者のOTC頭痛薬の実際の使用状況が適切な医療の妨げとなっている可能性について、考察を行った。The Journal of Headache and Pain誌2025年5月7日号の報告。  本研究は、成人片頭痛患者を対象に、横断的地域住民ベースの全国オンライン調査として実施された。調査内容には、片頭痛に対する処方薬およびOTC薬の使用経験、片頭痛薬の認知度、片頭痛に対する態度についての報告を含めた。1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)および1ヵ月当たりのOTC頭痛薬の使用頻度に基づきサブグループ解析を実施した。

1型ナルコレプシー、oveporextonが入眠潜時を改善/NEJM

 1型ナルコレプシーの治療において、プラセボと比較して血液脳関門を通過する経口オレキシン2型受容体選択的作動薬oveporexton(TAK-861)は、覚醒、眠気、情動脱力発作の指標に関して、用量依存性に8週間にわたり臨床的に意義のある改善をもたらし、不眠や尿意切迫の頻度が高いものの肝毒性は認めないことが、フランス・Gui de Chauliac HospitalのYves Dauvilliers氏らが実施した「TAK-861-2001試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年5月15日号で報告された。

高齢者の不眠を伴ううつ病に対する薬理学的介入効果の比較〜ネットワークメタ解析

 高齢者における睡眠障害を伴ううつ病に対するさまざまな薬物治療の有効性と安全性を比較するため、中国・北京大学のJun Wang氏らは、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychogeriatrics誌2025年5月号の報告。  主要な国際データベース(Medline、Cochrane Library、Scopus、Embase、WHO国際臨床試験登録プラットフォーム、ClinicalTrialsなど)より、事前に設定したワードを用いて、検索した。薬物治療またはプラセボ群と比較したランダム化比較試験(RCT)を対象に含めた。ネットワークメタ解析におけるエフェクトサイズの推定には、標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を用いた。データ解析には、頻度主義アプローチを用いた。安全性評価には、治療中に発現した有害事象および重篤な有害事象を含めた。