精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

うつ病やPTSDに対するブレクスピプラゾール+抗うつ薬併用療法〜前臨床試験のシステマティックレビュー

 ブレクスピプラゾールは、抗うつ薬と併用することで、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、セロトニン、ドパミン神経伝達物質に対し相補的な作用を示し、さらに強力な効果を得られる可能性が示唆されている。米国・Otsuka Pharmaceutical Development & CommercializationのMalaak Brubaker氏らは、ブレクスピプラゾールと抗うつ薬の併用療法に関する前臨床試験からどのような情報が得られているかを明らかにするため、システマティックレビューを実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2025年2月28日号の報告。

高齢者の治療抵抗性うつ病に対して最も効果的な治療は?〜メタ解析

 高齢者のうつ病は、十分に治療されていないことがある。2011年の高齢者治療抵抗性うつ病(TRD)の治療に関するシステマティックレビューでは、プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)が1件のみ特定された。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAlice Jane Larsen氏らは、高齢者のTRD治療に対する有効性に関するエビデンスを統合し、更新レビューを行うため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMJ Mental Health誌2025年3月3日号の報告。  対象研究は、55歳以上のTRD患者に対する治療を調査したRCT。治療抵抗性の定義は、1回以上の治療失敗とした。2011年1月9日〜2023年12月10日(2024年1月7日に検索を更新)に公表された研究を、電子データベース(PubMed、Cochrane、Web of Science)よりシステマティックに検索した。メタ解析により、寛解率を評価した。バイアスリスクの評価には、Cochrane Risk of Bias(RoB)2ツールを用いた。エビデンスの評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)基準を用いた。

神経発達障害を併発する強迫症に関与する免疫学的メカニズム

 強迫症(OCD)は、有病率が2〜3%といわれている精神疾患である。OCD治療では、セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬の有効性が示されているが、病因は依然としてよくわかっていない。最近の研究では、とくに自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、トゥレット症などの神経発達障害を併発したOCD患者では、免疫学的メカニズムの関与が示唆されている。兵庫医科大学の櫻井 正彦氏らは、これらのメカニズムを明らかにするため、神経発達障害を併発したOCD患者と併発していないOCD患者における免疫学的因子を調査した。Psychiatric Research誌2025年4月号の報告。

ストレスは若年女性の原因不明脳梗塞のリスク

 50歳未満の女性における原因を特定できない脳梗塞と、ストレスとの関連が報告された。男性ではこの関連が認められないという。ヘルシンキ大学病院(フィンランド)のNicolas Martinez-Majander氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に3月5日掲載された。  脳梗塞のリスクは、加齢や性別などの修正不能な因子と、喫煙や高血圧などの修正可能な因子によって規定されることが明らかになっているが、それらのリスク因子が該当しない原因不明の脳梗塞(cryptogenic ischemic stroke;CIS)もあり、近年、特に若年者のCIS増加が報告されている。これを背景に著者らは、若年者のCISにストレスが関与している可能性を想定し、以下の研究を行った。

ドパミンD2受容体ブロックが初発統合失調症患者の長期転機に及ぼす影響

 初回エピソード統合失調症において、持続的なドパミンD2受容体ブロックを行っているにもかかわらず再発してしまう患者の割合やD2受容体ブロック作用を有する抗精神病薬の長期使用によりブレイクスルー精神疾患を引き起こすかどうかについては、明らかになっていない。東フィンランド大学のJari Tiihonen氏らは、再発歴がなく、5年超の持続的なD2受容体ブロックによる治療を行った患者において、ブレイクスルー精神疾患の発生率が加速するとの仮説を検証するため、本研究を実施した。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2025年2月19日号の報告。

双極症とADHD併発患者における認知機能/心理社会的機能の特徴

 双極症や注意欠如多動症(ADHD)は、神経認知および心理社会的機能に重大な影響を及ぼす慢性的な神経精神疾患である。双極症とADHDの併発は、特有の臨床的課題を呈し、認知機能および機能障害をさらに悪化させる可能性がある。スペイン・Vall d'Hebron Research InstituteのSilvia Amoretti氏らは、双極症またはADHD患者および併発した患者と健康対照者における神経認知機能および心理社会的機能の違いを明らかにするため、最新情報を統合したシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2025年4月号の報告。

音楽療法で認知症患者の抑うつ症状が軽減、レビューで示唆

 音楽療法は認知症患者の気分を高め、抑うつ症状を和らげるのに役立つ可能性のあることが、新たなエビデンスレビューにより明らかになった。また、音楽療法により行動上の問題が改善する可能性のあることも示されたという。論文の筆頭著者である、ライデン大学(オランダ)医療センターのJenny van der Steen氏は、「この調査により、音楽療法の効果についての理解が深まり、特に、介護施設での認知症ケアに音楽を取り入れることの根拠が強まった」と述べている。この研究の詳細は、「Cochrane Database of Systematic Reviews」に3月7日掲載された。

全般不安症の第1選択薬としてのプレガバリンの可能性〜メタ解析

 全般性不安症(GAD)は、近年有病率が増加している精神疾患の1つである。GADは未診断のケースも多く、患者本人、医療制度、社会に対し悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、GADに伴う経済的な負担やQOL低下に対する効果的な治療の必要性が増している。不安症状の軽減に対し疼痛治療薬であるプレガバリンによる治療が有望であることが示唆されている。しかし、その有効性を評価し、他の治療オプションと比較するためには、さらなる研究が必要とされる。スペイン・Hospital de la Santa Creu i Sant PauのNarcis Cardoner氏らは、GAD治療におけるプラガバリンの有効性、安全性、最適な投与量を評価するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2025年2月7日号の報告。

抗精神病薬の血中濃度、年齢や性別の影響が最も大きい薬剤は

 抗精神病薬は、高齢患者にも処方されるが、高齢者における安全性および有効性に関する報告は限られている。ノルウェー・Diakonhjemmet HospitalのVigdis Solhaug氏らは、一般的に使用される6種類の抗精神病薬の用量調節血中濃度(C:D比)に対する年齢の影響を男女別に調査し、比較を行った。Therapeutic Drug Monitoring誌オンライン版2025年2月25日号の報告。  対象とした抗精神病薬は、amisulpride、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、zuclopenthixol。抗精神病薬の血中濃度を測定した患者を治療薬モニタリングサービスよりレトロスペクティブに組み入れた。各抗精神病薬の主なアウトカムは、性別、年齢(18〜49歳群、50〜74歳群、75歳以上群)で分類したグループ間で評価したC:D比とした。データ分析には、制限付き最尤推定法による線形混合モデルを用いた。

PTSDに対するブレクスピプラゾール治療、単剤療法と併用療法の有効性

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するブレクスピプラゾールのセルトラリン併用療法および単剤療法の有効性、安全性、忍容性を評価するため、米国・Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization Inc.のMary Hobart氏らは、ランダム化比較試験を実施し、その結果を報告した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年2月19日号の報告。  本試験では、1週間のプラセボ導入期間とその後11週間のランダム化二重盲検実薬参照プラセボ対照並行群間治療期間(フォローアップ期間14日間を含む)で構成された。