精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:173

禁煙と睡眠障害との関係

 喫煙と睡眠障害は密接に関連しているといわれている。スウェーデン・ウプサラ大学のShadi Amid Hagg氏らは、睡眠障害が禁煙の予測因子であるか、喫煙の継続が睡眠障害の発症と関連しているかについて、検討を行った。Respiratory Medicine誌2020年8~9月号の報告。  北欧の男女を対象に、1999~2001年にランダムにアンケートを実施し(RHINE II)、その後2010~12年にフォローアップのアンケートを実施した(RHINE III)。ベースライン時に喫煙者であり、フォローアップ時に喫煙に関するデータを提供した2,568人を分析した。不眠症は、3回/週以上の入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒の発現と定義した。オッズ比(OR)の算出には、多重ロジスティック回帰分析を用いた。

統合失調症に対する抗精神病薬の維持療法

 統合失調症の症状や徴候は、脳の辺縁系に代表される特定の領域における高レベルのドパミンと関連している。抗精神病薬は、脳内のドパミン伝達をブロックし、統合失調症の急性症状を軽減させる。本レビューの元となる2012年発表のレビューでは、抗精神病薬が再発防止にも有効であるか調査された。今回、イタリア・ブレシア大学のAnna Ceraso氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の維持療法の効果について、薬剤を中止した場合と比較し、検討を行った。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2020年8月11日号の報告。

高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。  2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。

精神病性うつ病患者の再発に対するベンゾジアゼピンの影響

 ベンゾジアゼピンの長期投与は、依存、転倒、認知障害、死亡リスクを含む有害事象が懸念され、不安以外の症状に対する有効性のエビデンスが欠如していることから、うつ病治療には推奨されていない。しかし、多くのうつ病患者において、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用が行われている。東京医科歯科大学の塩飽 裕紀氏らは、ベンゾジアゼピン使用がうつ病患者の再発または再燃リスクを低下させるか調査し、リスク低下の患者の特徴について検討を行った。Journal of Clinical Medicine誌2020年6月21日号の報告。

躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用

 韓国・漢陽大学校のHyun Kyung Lee氏らは、双極性障害患者の躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用について、人口統計学的予測因子の検討および入院期間や総医療費に及ぼす影響の調査を行った。Cureus誌2020年6月11日号の報告。  韓国入院患者サンプルを用いて、リチウム治療を行った躁病エピソードを有する成人双極性障害患者1,435例を調査した。入院期間や総医療費への影響を調査するため、同等性評価を伴う独立標本t検定を用いた。ロジスティック回帰モデルを用いて、併用療法のオッズ比(OR)を算出し、95%信頼区間(CI)を推定した。

日本人双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法~二重盲検プラセボ対照試験

 主に米国と欧州で実施されたこれまでの研究において、双極I型うつ病に対するルラシドン(20~120mg/日)の有効性および安全性が報告されている。理化学研究所 脳神経科学研究センターの加藤 忠史氏らは、日本人を含む多様な民族的背景を有する患者において、双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法の有効性および安全性を評価した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年8月22日号の報告。  対象患者を、ルラシドン20~60mg/日群(182例)、同80~120mg/日群(169例)、プラセボ群(171例)にランダムに割り付け、6週間の二重盲検治療を実施した。主要評価項目は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)のベースラインから6週目までの変化とした。

日本における若年性認知症の有病率とサブタイプ

 若年性認知症患者の生活には、その年代に合った社会的支援が求められる。最新情報を入手し、適切なサービスを提供するためには、疫学調査が必要である。東京都健康長寿医療センター研究所の粟田 主一氏らは、若年性認知症の有病率、サブタイプの内訳、患者が頻繁に利用するサービスを明らかにするため、調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月19日号の報告。  本研究は、マルチサイト人口ベース2ステップ研究として実施された。全国12地域(北海道、秋田県、山形県、福島県、茨城県、群馬県、東京都、新潟県、山梨県、愛知県、大阪府、愛媛県[対象となる人口:1,163万322人])の医療機関、介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、相談機関などを対象にアンケートを実施した。ステップ1として、過去12ヵ月間で若年性認知症患者がサービス求めたかまたは滞在したかを調査した。ステップ1で「はい」と回答した施設に追加のアンケートの協力を求め、若年性認知症患者へ質問票を配布し、認知症サブタイプなどのより詳細な情報を収集した。

脳画像データの機械学習を用いた統合失調症と自閉スペクトラム症の鑑別

 神経精神疾患の診断は、問診による臨床症状に基づいて行われるため、難しい部分がある。ニューロイメージングなどの客観的なバイオマーカーが求められており、機械学習と組み合わせることで確定診断の助けとなり、その信頼性を高めることが可能である。東京大学のWalid Yassin氏らは、統合失調症患者、自閉スペクトラム症(ASD)患者、健常対照者から得た磁気共鳴画像(MRI)の脳構造データを用いて機械学習を行い、鑑別診断のための機械学習器の開発を試みた。Translational Psychiatry誌2020年8月17日号の報告。

初回SSRI治療に奏効しない場合の抗うつ薬切り替えへの期待~STAR*D研究

 初回のSSRI治療で奏効しない場合、その多くの臨床試験で抗うつ薬の切り替えが行われる。第2選択治療による治療反応や寛解が、いつ、どのような患者に、どれくらい発生するのか、またどれくらいの試験期間を要するかはよくわかっていない。この問題を解決するため、デューク・シンガポール国立大学のA John Rush氏らが検討を行った。多くの治療法が承認されていることから、エビデンスに基づく適切な治療の定義が求められていた。The Journal of Clinical Psychiatry誌2020年8月11日号の報告。

初回エピソード統合失調症の初期段階における抗精神病薬の代謝への影響

 初回エピソード統合失調症の初期段階における抗精神病薬の代謝への影響を明らかにするため、中国・四川大学華西病院のHailing Cao氏らが検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年8月10日号の報告。  薬物治療未実施の初回エピソード統合失調症入院患者を含む自然主義的な環境で、レトロスペクティブなリアルワールド研究を実施した。代謝プロファイルは、ベースライン時および抗精神病薬治療の2週間後と4週間後に測定した。