日本人双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法~二重盲検プラセボ対照試験

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/09/18

 

 主に米国と欧州で実施されたこれまでの研究において、双極I型うつ病に対するルラシドン(20~120mg/日)の有効性および安全性が報告されている。理化学研究所 脳神経科学研究センターの加藤 忠史氏らは、日本人を含む多様な民族的背景を有する患者において、双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法の有効性および安全性を評価した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年8月22日号の報告。

 対象患者を、ルラシドン20~60mg/日群(182例)、同80~120mg/日群(169例)、プラセボ群(171例)にランダムに割り付け、6週間の二重盲検治療を実施した。主要評価項目は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)のベースラインから6週目までの変化とした。

 主な結果は以下のとおり。

・ルラシドン20~60mg/日群で、プラセボと比較し、ベースラインから6週目までのMADRS合計スコアの有意な減少が認められた。しかし、ルラシドン80~120mg/日群では、有意な差は認められなかった。
 ●ルラシドン20~60mg/日群:-13.6(調整後p=0.007、エフェクトサイズ:0.33)
 ●同80~120mg/日群:-12.6(調整後p=0.057、エフェクトサイズ:0.22)
 ●プラセボ群:-10.6
・ルラシドン20~60mg/日群では、MADRS治療反応率、機能障害、不安症状の改善も認められた。
・ルラシドン治療による体重増加、脂質、血糖コントロール値に対する影響は、最小限にとどめられた。

 著者らは「ルラシドンは、高用量ではなく20~60mg/日の単剤での使用で、双極I型うつ病患者のうつ症状や機能を有意に改善した。この結果は、これまでの研究と全体的に一致しており、日本人を含む多様な民族において、ルラシドン20~60mg/日による治療は有効かつ安全であることを示唆している」としている。

(鷹野 敦夫)