精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:319

統合失調症の同胞研究、発症と関連する脳の異常

 先行研究において、統合失調症における構造的な脳結合性の異常が観察されている。それら異常の長期的なマッピングと、同胞研究による遺伝的リスクの理解は、統合失調症に関連する漸進的な発達的変化について重要な見識を与えてくれる。オーストラリア・メルボルン大学のAndrew Zalesky氏らは、小児期発症統合失調症(COS)の青年において発達過程の変化を示す皮質間結合を確認し、類似の変化が非罹患同胞にみられるかどうかを検討する前向き研究を行った。その結果、非罹患同胞の統合失調症発症に対するレジリエンスと関連する中間表現型を伴う後頭側頭部の結合性の成熟遅延が、COS患者の特徴的なマーカーであることが示唆されたことを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年7月15日号掲の載報告。

2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは

 統合失調症患者に対する2つの持効性注射剤の有用性を評価するため、ドイツ・ハンブルク大学エッペンドルフメディカルセンターのDieter Naber氏らは直接比較試験を行った。アリピプラゾール400mg/月1回(AOM400)とパリペリドンパルミチン酸エステル月1回(PP)について、Heinrichs-Carpenter QOL評価尺度(QLS)、健康関連QOL、機能尺度を用いて検討した結果、AOM400はPPと比較し、健康関連QOLの優れた改善や良好な忍容性プロファイルにより、高い全般的有効性が示唆された。Schizophrenia research誌オンライン版2015年7月28日号の報告。

双極性障害の自殺予防、どうすべきか

 双極性障害は自殺企図および自殺死リスクの増加と関連している。国際双極性障害学会(ISBD)では、双極性障害における自殺企図・自殺死に関する疫学、神経生物学および薬物治療に関して現存の文献を検討し、タスクフォース報告書としてまとめた。その中で筆頭著者のカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、推定自殺率が過去の報告よりも低かったことを報告した。そのほか、最も多い自殺の方法や全体的なリスクなどを明らかにしたうえで、「こうした理解が、双極性障害における自殺予防に対する認識の高まりや、より有効な治療法の開発につながる」と述べ、「リスク低減や治療進展のために、遺伝学的知見の再現研究や治療オプションの、より信頼できる前向きデータが必要である」と指摘している。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月16日号の掲載報告。

家庭内暴力・多量飲酒女性、救急での短期動機付け介入の効果は?/JAMA

 パートナーによる家庭内暴力(Intimate partner violence:IPV)や過度の飲酒経験のある女性に対して、緊急外来部門(ED)での短期動機付け介入は、評価対照群との比較でそれらの発生日数を有意に減らさなかったことが、米国・ペンシルベニア大学のKarin V. Rhodes氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。著者は、「結果は、こうした設定での短期動機付け介入を、支持しないものであった」と結論している。これまで、ED訪問時に提供したIPVや過度の飲酒に対する短期動機付け介入の効果について統合した検証は行われていなかった。JAMA誌2015年8月4日号掲載の報告より。

全盲者の概日リズム調整に新規メラトニン受容体作動薬が有効/Lancet

 非24時間睡眠覚醒障害の全盲者における概日リズムの乱れの同調に、tasimelteonが有効であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSteven W Lockley氏らの検討で示された。ヒトの概日周期は24時間よりも長く、明暗の周期に反応することでペースメーカー(体内時計)を24時間に同調させているが、非24時間睡眠覚醒障害ではこの同調機能が損なわれて入眠や起床時間が徐々に遅くなり、注意力や気分の周期的変動が発現し、就学や就業など社会的な計画的行動の維持が困難となる。全盲者の55~70%に概日リズムの脱同調がみられるという。tasimelteonは、松果体ホルモンであるメラトニンの2つの受容体(MT1、MT2)の作動薬で、先行研究で、晴眼者への経口投与により概日リズムを変移させ、また非24時間概日活動リズムのラットに注射したところこれを同調させたことが示されていた。Lancet誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告。

性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大

 不眠症状、日中の眠気、短い睡眠時間、あるいは睡眠覚醒スケジュール後退などの睡眠関連障害は、うつ病のリスクファクターとなることが知られている。一般的に、うつ病は男性より女性に多いが、睡眠関連障害については必ずしも同様の性差が示されるわけではない。うつ病の発症過程における睡眠関連障害の影響には性差があると考えられるが、この問題に注目した研究はこれまでほとんどなかった。東京医科大学の守田 優子氏らは、睡眠関連障害を有する日本人若年成人のうつ病発症に及ぼす性差について検討を行った。その結果、睡眠関連障害がうつ病発症に及ぼす影響には性差が認められ、女性では睡眠覚醒スケジュール後退の影響が大きいことを報告した。結果を踏まえて著者らは「睡眠関連障害に起因するうつ症状の軽減・予防には性別に基づくアプローチが必要である」と指摘している。Chronobiology International誌2015年8月号の掲載報告。

統合失調症再発予防、遠隔医療に改善の余地あり

 チェコ共和国・国立精神保健研究所のF. Spaniel氏らは、統合失調症患者に対する遠隔医療プログラムが入院回数を減らすかについて検討を行い、有効性は認められなかったことを報告した。著者らは「先行研究で、この予防的戦略の失敗は、精神科医と患者両者のアドヒアランス不良にあることが示唆されている。統合失調症の3次予防は大きな課題であり、患者と治療に当たる精神科医の両者のより積極的な参加の下、戦略を実施する必要がある」と指摘している。Journal of Psychiatric and Mental Health Nursing誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか

 双極性障害患者の自殺企図や自殺死には多くの要因が影響を及ぼしている。国際双極性障害学会(ISBD)では、こうした要因の存在やその影響度に関する文献をまとめた自殺に関するタスクフォース報告書を発表した。筆頭著者であるカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、「研究の対象やデザインが不均一性であるため、これら要因の影響度を再検討し確定するさらなる研究が必要である。このことが最終的には、双極性障害患者のリスク層別化の改善につながる」と述べている。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

不眠症併存患者に対する非薬物療法の有効性

 不眠症の認知行動療法(CBT-I)は、不眠障害に対する最も優れた非薬物的治療である。その有効性について、原発性不眠症についてはメタ解析による検討が行われているが、併存不眠症に関する検討はほとんど知られていなかった。米国・ボストン大学のJade Q Wu氏らは、併存不眠症に対するCBT-Iの有効性を明らかにするため、無作為化臨床試験37件のメタ解析を行った。その結果、認知行動療法により不眠症状および睡眠パラメータの改善が認められた。また、併存疾患として内科的疾患よりも精神疾患を有する例で、より大きな効果が得られることを報告した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2015年7月6日号の掲載報告。