精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:325

9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係

 米国・デューク大学のTerrie E. Moffitt氏らは、成人期注意欠如・多動症(ADHD)と小児期発症神経発達症との関連を明らかにするため、ニュージーランドで1972~1973年に生まれた1,037例について解析を行った。その結果、成人期ADHDの90%が小児期ADHD歴を有していないことを報告した。成人期ADHDは小児期発症神経発達症であるとの仮説が広く知られているが、これまで成人期ADHD患者の小児期に言及した長期前向き試験はなかったという。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年5月22日号の掲載報告。

双極性障害、治療反応は予測できるか

 急性躁病または混合エピソードに対する抗精神病薬の一連の試験において、ヤング躁病評価尺度(YMRS)やMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)による治療前の重症度評価は、うつ病、躁病、睡眠障害、判断力/衝動性、焦燥/敵意といった精神症状の主要構成要素の複合因子を特定するために用いられる。しかし、これらの因子が治療効果を予測するかどうかは不明である。米国・スタンフォード大学のMichael J Ostacher氏らは、双極性障害の治療反応を予測する因子について検討した。International journal of bipolar disorders誌オンライン版2015年5月号の報告。

認知症と介護、望まれる生活環境は

 認知症患者が生活する環境デザインは納得できるもの、そして患者がパーソナルアイデンティティを強く保ち、彼らの能力を維持していけるようなものであるべきである。これまでは認知症患者がうまく生活することに重点を置いてきたため、終末期が近い患者の物理的環境支援へのニーズや希望が考慮されてこなかった。オーストラリア・ウーロンゴン大学のRichard Fleming氏らは、認知症患者が良好なQOLを保ちつつ人生の最期を迎えるのに適切な環境を明らかにするため、認知症患者、介護家族、医療従事者らからなるフォーカスグループインタビューを行った。その結果、環境デザインとして求められる15の特性についてコンセンサスが得られたことを発表した。BMC Palliative Care誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。

第2世代抗精神病薬の評価試験実施は不十分

 米国・ペンシルベニア大学のGregory Kruse氏らは、医療技術評価(HTA)機関を支援するため、統合失調症患者に対し第2世代抗精神病薬の有用性を検討した試験のシステマティックレビューを行った。その結果、試験のタイプ、試験方法、アウトカムに大きなばらつきがあるうえ、HTAが好ましいとする試験のタイプは少なく、かつそれら試験は実施されていたとしてもバイアスリスクが高いことを報告した。PharmacoEconomics誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。

うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる

 うつ病および双極性障害は、抑うつ期あるいは寛解期において臨床的な鑑別が困難である。この2つの気分障害は感情調節障害により特徴付けられるが、それぞれの感情制御の相違に関してはほとんど知られていない。オランダ・アムステルダム大学のMaria M. Rive氏らは、うつ病および双極性障害患者の抑うつ期および寛解期における感情調節の相違について、核磁気共鳴画像(MRI)を用いて検討した。その結果、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、happyあるいはsadという感情を調節している際の脳活性が両疾患の間で異なることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年5月6日号の掲載報告。

アミロイドPET陽性率で若年性認知症診断の可能性/JAMA

PET画像診断で検出されたアミロイド陽性率について、アルツハイマー型認知症(AD)の患者では加齢に伴い低下することが、一方、非ADでは、加齢に伴い上昇することが明らかにされた。またAD患者における同低下の程度はアポリポ蛋白E(APOE)ε4非キャリアのほうがキャリアと比べると大きいことなども判明したという。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのRik Ossenkoppele氏らが、メタ解析の結果、明らかにした。所見について著者は、「若年性認知症診断へのアミロイドPETの臨床有用性、および70歳超のAPOEε4非キャリアAD患者の鑑別診断をサポート可能であることを示唆するものである」と述べている。JAMA誌2015年5月19日号掲載の報告より。

拒食に対する抗精神病薬増強療法の効果は

 神経性やせ症は生命に危険を及ぼすことがあり、あらゆる精神障害のうち最も死亡率が高く、治療が難しい精神疾患である。イタリア・トリノ大学のEnrica Marzola氏らは、神経性やせ症入院患者のカルテを後ろ向きに評価し、非定型抗精神病薬による増強療法について、アリピプラゾールが有望であることを報告した。今回の所見について、著者らは「無作為化試験での確認に値する有望な知見であった」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。

認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか

 認知症は治癒が望めない疾患であり、治癒または回復に向かわせる治療法は存在しない。現在の治療は、認知または機能的アウトカムの改善を目的としたものである。米国・ブラウン大学のJacob S. Buckley氏らは、認知症および軽度認知障害(MCI)の治療に関する研究をレビューし、治療のベネフィットとリスクを評価した。その結果、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)によるベネフィットは小さく、経過とともに効果が減弱すること、用量依存的に有害事象が増加すること、またメマンチン単剤療法はベネフィット、リスクともに小さいことが明らかになったと報告した。Drugs & Aging誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。

出生地が双極性障害発症時期に影響

 出生直後の環境条件は、概日システムの刷り込みや、その後の環境応答に影響するかもしれない。ドイツ・カールグスタフ・カールス大学病院のMichael Bauer氏らは以前、とくに気分障害の家族歴を持つ人において、春の日射量の増加が双極性障害の発症年齢と関連することを報告していた。本研究では、出生地の日照時間がこの関連に影響を与えているかどうかを検討した。Journal of psychiatric research誌2015年5月号(オンライン版2015年3月27日号)の報告。

リチウムの腎臓・内分泌系の有害作用/Lancet

 リチウムは気分障害の治療に広く用いられ、優れた有効性が示されているが、腎臓や内分泌系への有害作用の特性はよくわかっていないという。英国・John Radcliffe病院のBrian Shine氏らは、今回、リチウムは腎機能を低下させ、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症を引き起こすことを報告した。Lancet誌オンライン版2015年5月21日号掲載の報告より。