精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:392

抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態

 小児および思春期患者への使用が増加している非定型抗精神病薬は、脳内ドーパミンを修飾する。ドーパミン作動性シグナル伝達において、鉄は重要な役割を果たしている。米国・アイオワ大学のChadi Albert Calarge氏らは、体内の鉄含量が精神症状の重症度、治療反応性、引き続き行われる抗精神病薬療法の忍容性と関連するか否かについて検討を行った。その結果、対象の45%が鉄枯渇、14%が鉄欠乏状態にあること、また鉄欠乏症を認める患者では血清プロラクチン濃度の上昇が強まることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2013年3月12日号の掲載報告。

調査:統合失調症患者における抗精神病薬の服薬状況

 統合失調症患者において、アドヒアランスは患者の予後を決定する重要な要因のひとつである。スペイン領カナリア諸島保健サービスのFrancisco J. Acosta氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬の服薬状況を調査した。その結果、1日の服薬回数や指示された服薬時間が遵守されていないなど、服薬アドヒアランスが不良である実態を報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年3月7日号の掲載報告。

抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害

 難治性てんかんで抗てんかん薬を長期服用する患者における、骨粗鬆症など骨ミネラル障害の有病率が報告された。オランダ・マーストリヒト大学医療センターのK. Beerhorst氏らが同患者を対象に行った断面調査の結果、80%が低骨塩量(BMD)症状を有していたという。またそのうち半数超が50歳未満であった。著者は「本研究は、慢性てんかん患者における骨ミネラル障害の問題が大きいことを実証している」と結論している。Acta Neurologica Scandinavica誌オンライン版2013年3月6日号の掲載報告。

抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か?

 高齢入院患者においてしばしば問題となるせん妄は、死亡率の増加を招く。せん妄治療に関するエビデンスは蓄積されているものの、高リスク患者における薬理学的予防に関する報告は限られている。米国・メリーランド大学のPolina Teslyar氏らはせん妄の高リスク入院患者に対する抗精神病薬の予防投与の影響を検討するためメタ解析を行った。その結果、術後の高齢入院患者に対する抗精神病薬の予防投与はせん妄リスクの減少につながると報告した。Psychosomatics誌2013年3月号の報告。

グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係

 米国・ニューヨーク州立大学SUNYアップステート医科大学のMarina Myles-Worsley氏らは、統合失調症と双極性障害の間に遺伝的な重複がみられることに着目し、グルタミン酸トランスポーター遺伝子であるSLC1A1遺伝子変異について検討を行った。その結果、SLC1A1遺伝子の欠失が認められ、家系内で共分離していることを報告した。American Journal of Medical Genetics Part B: Neuropsychiatric Genetics誌2013年3月号(オンライン版2013年1月22日号)の掲載報告。

小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は?

 米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRobert L. Findling氏らは、小児の双極I型障害に対するアリピプラゾール長期投与の有効性と安全性を検討する、30週間の無作為化プラセボ対照試験を行った。その結果、アリピプラゾール10mg/日群、30mg/日群ともプラセボ群に比べ優れた有効性を示し、忍容性も良好であることを報告した。Bipolar Disorders誌2013年3月15日号の掲載報告。

ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?

 統合失調症患者では一般集団と比べて喫煙率が高く、喫煙関連の疾患の罹病率や死亡率が高い。一方で、喫煙率を低下させるために、どのような介入が効果的であるかは不明なままである。英国・Nottinghamshire Healthcare NHS TrustのDaniel T. Tsoi氏らによるシステマティックレビューの結果、ブプロピオンが精神状態への影響を及ぼすことなく禁煙達成率を高められることが示された。また、バレニクリンも禁煙達成率の改善が期待できるが、精神状態への有害な影響が除外できず、また、禁煙したら報酬を与えるといった強化随伴性(contingent reinforcement:CR)の介入は、短期的効果が期待できそうであった。その他にはエビデンスが確かな効果的な介入は見いだせなかったと報告している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年2月28日掲載の報告。

抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響

 国立台湾大学病院のWei-Lieh Huang氏らは、抗精神病薬が心機能に及ぼす影響を、ムスカリン受容体に対する親和性および抗コリン薬併用の影響という観点から検討した。その結果、抗精神病薬のムスカリン受容体に対する親和性は、交感神経と副交感神経の両方の調節に影響し、抗精神病薬と抗コリン薬の併用は心拍変動に影響を及ぼすことが示唆された。これまで、抗精神病薬が心血管リスクと関連することは知られていたが、その抗コリン作用と心機能との関連は不明であった。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2013年2月14日号の掲載報告。