精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:406

ベンゾジアゼピンと認知症リスクの関連:PAQUID試験

 ベンゾジアゼピンの新規使用により認知症リスクが増大することが、フランス・ボルドー・セガレン大学のSophie Billioti de Gage氏らが実施したPAQUID試験で示された。多くの先進国では、診療ガイドラインの有無にかかわらず、高齢者へのベンゾジアゼピンの処方が広く行われ、習慣化している場合も多いという。ベンゾジアゼピンの短期投与の効果はよく知られているが長期投与の有害作用は明確ではなく、認知機能に対する遅発性の有害作用(認知機能低下、認知症)をもたらす可能性が、症例対照試験やコホート試験で指摘されている。BMJ誌2012年10月27日号(オンライン版2012年9月27日号)掲載の報告。

統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は脳内の細胞シグナルカスケードにおいて重要な役割を持つ脂肪酸である。通常の老化における脳組織の喪失は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の膜異常が関連していると言われている。また、統合失調症患者ではPUFAの膜異常が報告されている。van der Kemp氏らは、統合失調症患者の脳組織の喪失にPUFAが関連しているかについて、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行った。その結果、統合失調症患者では赤血球膜におけるPUFA濃度の減少が認められ、使用する薬剤によっても違いがあることが明らかとなった。Schizophr Res誌2012年11月号の報告。

初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響

 統合失調症患者では皮質内抑制ネットワークの障害がしばしば認められる。これは、γ‐アミノ酪酸(GABA)作動性の伝達機能障害と関連すると考えられる。これまで初回エピソード発現リスクの高い未治療患者を対象とした研究は行われていなかったが、ドイツのHasan氏らによる断面研究の結果、リスクが高まった時には皮質抑制性の障害がすでに出現していることから、疾患進行と共に起きているようにみえるGABAの機能障害が、疾患早期から起きている可能性が示唆された。Biol Psychiatry誌2012年11月1日号の報告。

抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか?

統合失調症治療では、初期の治療が長期予後に影響を与える。しかし、抗精神病薬の初期治療に対する反応の違いから、その後の症状変化を予測できるかは明らかになっていない。Levine氏らは統合失調症患者の最近のエピソードの治療に対し、投与された抗精神病薬が反応するまでの期間とその後の経過(18ヵ月間の症状変化)との関連を検討した。Schizophr Res誌2012年10月号の報告。

統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

統合失調症における遂行機能障害を改善するグルタミン酸を介した補助的治療として、抗酸化・抗糖化剤L-カルノシンは検討に値する可能性があることが明らかになった。米国・ピッツバーグ大学医学校のChengappa氏らが予備的な無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。Schizophr Res誌オンライン版2012年10月22日号の報告。

レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院

 本邦で2010年9月に承認された新規抗てんかん薬レベチラセタムについて、聖隷浜松病院の山添氏らが臨床での有効性と安全性を評価した結果、「部分てんかんに対して忍容性が良好であり、補助的療法として有効であった」ことを報告した。Brain Nerve 誌オンライン版2012年10月号の報告。  レベチラセタム(LEV)の日本発売以降の約1年間(2010年10月~2011年8月)の聖隷浜松病院のデータベースを用いて、有効性と安全性について後ろ向きに検討した。16歳以上の患者132例のデータのうち、部分てんかん112例、全般てんかん19例についてレビューを行った。

なぜ?第二世代抗精神病薬投与による“強迫症状”発現機序

大部分の統合失調症患者は、第二世代抗精神病薬(SGA)による治療中に強迫症状が発現する。近年の研究により、このような二次的な強迫症状の遺伝的危険因子として、グルタミン酸エステル搬送体遺伝子(SLC1A1)が関連することが示唆されている。Schirmbeck氏らは欧州での試験により、この結果を検証した。Psychiatr Genet誌2012年10月号の報告。

うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?!

大うつ病の既往は、禁煙治療中あるいは治療後の禁煙継続に悪影響を及ぼすことが報告された。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のHitsman氏らによるメタ解析の結果で、以前(2003年)の解析のアップデート報告。当時の報告では、大うつ病既往は禁煙治療に影響しないことが示されていた。今回の解析結果を受けて著者は、大うつ病喫煙患者には、この点に注目した効果的な治療もしくは適切な治療を見極めることが必要だと提言している。Addiction誌オンライン版2012年10月16日号の報告。