呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:209

COVID-19と関連?流行期に川崎病類似疾患の集団発生/Lancet

 イタリア・ロンバルディア州・ベルガモ県は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の流行の影響を広範囲に受けており、小児では川崎病類似疾患の集団発生が確認されている。同国パパ・ジョバンニ23世病院のLucio Verdoni氏らは、COVID-19流行期に診断を受けた川崎病類似疾患患者の発生状況と臨床的特徴を調査した。その結果、過去5年間と比較して、COVID-19流行期の2ヵ月間で月間発生率が30倍以上に増えており、患児は比較的年齢が高く、心臓の障害が多く、マクロファージ活性化症候群(MAS)の特徴を呈する患者が多く、重症川崎病の発生率が高いことが示された。川崎病は、急性の中型血管炎で、ほぼ小児のみが罹患する。急性期の患児は血行動態が不安定となる可能性があり、これは重症の病型である川崎病ショック症候群(Kawasaki disease shock syndrome:KDSS)として知られる。また、MASの判定基準を満たす場合があり、2次性の血球貪食性リンパ組織球症に類似の症状を呈する。原因は不明だが、感染性の病原体が、本症を引き起こすカスケードの引き金となることが示唆されている。Lancet誌オンライン版2020年5月13日号掲載の報告。

PD-L1陽性肺がんにおける二ボルマブ・イピリムマブ併用の長期生存ベネフィット(CheckMate-227)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2020年5月14日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法が、進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療薬として、全生存期間(OS)ほかの有効性評価項目において持続的な改善を示した第III相CheckMate-227試験のPart1の3年間の追跡調査の結果を発表した。  中央値43.1ヵ月の追跡の結果、PD-L1発現1%以上の患者において、化学療法と比較して、二ボルマブとイピリムマブの併用療法は生存ベネフィットを維持した。

COVID-19関連の超過死亡算出するオンラインツール開発/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の医学的、社会的、経済的な影響は、総人口死亡率に未知の作用を及ぼしているといわれる。これまでの死亡率モデルは、高リスクの基礎疾患や、それらのより長期のベースライン(COVID-19流行以前)の死亡率は考慮されていないが、英国・University College LondonのAmitava Banerjee氏らは、さまざまな感染抑制レベルに基づくCOVID-19発生のシナリオと、基礎疾患の相対リスクに基づく死亡率の影響を考慮して、COVID-19の世界的流行から1年間の超過死亡者数を、年齢、性、基礎疾患別に推定するモデルを確立するとともに、これを算出するオンラインツールを開発し、プロトタイプを公開した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月12日号に掲載された。

FDA、アテゾリズマブ単剤を非小細胞肺がん1次療法に承認/ロシュ

 ロシュ社は、2020年5月19日、米国食品医薬品局(FDA)が、アテゾリズマブを転移を有する成人のPD-L1高発現(TC≧50%またはIC≧10%)非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として承認したことを発表した。  この承認は、第IIIのIMpower110試験の中間解析の結果に基づくもの。  IMpower110は、PD-L1選択、化学療法未治療のStage IV 非扁平上皮または非扁平上皮NSCLCにおいて、アテゾリズマブ単剤療法と化学療法(シスプラチン/カルボプラチンとペメトレキセド/ゲムシタビンの併用)を比較する第III相無作為化非盲検試験。

COVID-19へのヒドロキシクロロキン、気管挿管・死亡リスク抑制せず/NEJM

 米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、ヒドロキシクロロキンが広く投与されているが、その使用を支持する頑健なエビデンスはなかったという。同国コロンビア大学のJoshua Geleris氏らは、ニューヨーク市の大規模医療センターでCOVID-19入院患者の調査を行い、本薬はこれらの患者において気管挿管や死亡のリスクを抑制しないと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年5月7日号に掲載された。ヒドロキシクロロキンは、マラリアやリウマチ性疾患の治療に広く使用されており、抗炎症作用と抗ウイルス作用を持つことから、COVID-19に有効な可能性が示唆されている。米国では、2020年3月30日、食品医薬品局(FDA)が緊急時使用許可(Emergency Use Authorization)を発出し、臨床試験に登録されていないCOVID-19患者への使用が認可された。ガイドラインでは、肺炎のエビデンスがある入院患者に本薬の投与が推奨されており、世界中の数千例の急性期COVID-19患者に使用されているという。

COPD患者の退院後呼吸リハ、早期開始で死亡リスク減/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で入院したメディケア受給者では、退院後3ヵ月以内の呼吸リハビリテーションの開始により、1年後の死亡リスクが低減することが、米国・マサチューセッツ大学のPeter K. Lindenauer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年5月12日号に掲載された。COPD増悪後の呼吸リハビリテーション(運動訓練、自己管理教育)が生存率を改善することはメタ解析で示唆されているが、この解析に含まれた試験は患者数が少なく、異質性が高いという。米国の現行ガイドラインでは、COPD患者に、退院後は呼吸リハビリテーションに参加するよう推奨している。

アルナイラム社とVir社、COVID-19 治療薬候補(VIR-2703)を特定

 Vir Biotechnology社およびアルナイラム社は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ゲノムを標的とするRNAi治療薬研究の開発候補として、VIR-2703を選定したと発表した。両社は、近日中にFDAおよび他の規制当局と面会し、2020年末を目処にヒトにおける臨床試験を開始する見込みだとしている。  アルナイラム社は、SARS-CoV-2ゲノムの高度に保存された領域を標的とするRNAiを媒介するsiRNAを350種以上合成し、ウイルス複製を1/1000以下まで低減した有力なsiRNAを複数特定した

免疫チェックポイント阻害薬、再投与における免疫関連AE再発率/JAMA Oncol

 免疫関連有害事象(irAE)発現後の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)再投与の安全性に関するデータが示された。フランス・ノルマンディー大学のCharles Dolladille氏らによる世界保健機関(WHO)のデータベース「VigiBase」を用いた医薬品安全性監視(pharmacovigilance)コホート研究の結果で、著者は、「適切なモニタリングとともに、有害事象を特定し治療する標準的な治療アルゴリズムを用いることにより、特定の患者にはICI再投与を考慮できるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年4月16日号掲載の報告。

COVID-19、ヒドロキシクロロキンで院内死亡低下せず/JAMA

 ニューヨークの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキン、抗菌薬アジスロマイシンまたはこれらの両薬を治療に用いた患者は、いずれも使用していない患者と比較して、院内死亡率に有意差はなかった。米国・ニューヨーク州立大学のEli S. Rosenberg氏らが、COVID-19入院患者の後ろ向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンの単独またはアジスロマイシンとの併用は、COVID-19に対する治療法の候補と考えられているが、有効性や安全性に関するデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2020年5月11日号掲載の報告。

新型コロナPCR検査、偽陰性が多い期間は?

 新型コロナウイルスのPCR検査の感度や特異度は十分に特定されておらず、偽陰性となる可能性が最も高い期間はよくわかっていない。今回、米国ジョンズ・ホプキンズ大学のLauren M. Kucirka氏らが7つの研究のプール解析を行ったところ、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなることがわかった。著者らは、偽陰性の可能性を最小限にするために、検査は発症から3日間待って実施すべきとしている。また、臨床的にCOVID-19が疑われる場合は、PCR陰性のみで除外診断すべきではなく、臨床的および疫学的状況を慎重に検討する必要があると述べている。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2020年5月13日号に掲載。