呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:219

COVID-19、レムデシビル投与で入院患者の回復期間短縮/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院し下気道感染が認められた患者の回復までの期間中央値について、プラセボ投与群15日に対してレムデシビル静脈内投与群は11日と、有意に短縮したことが速報として発表された。また、推定14日死亡率も、プラセボ群11.9%に対し、レムデシビル群7.1%だった。米国国立衛生研究所(NIH)のJohn H. Beigel氏らが、COVID-19で入院した1,000例超を対象に行った、プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験の中間結果で、レムデシビルの有効性が示唆されたこの中間結果を受けて、同試験は早期に盲検が中止された。NEJM誌オンライン版2020年5月22日号掲載の報告。

「複合的減塩」のすすめ―まずは、カリウム代用塩の活用を!(解説:石上友章氏)-1237

高血圧と食塩摂取との間には、緊密な関係が証明されており、高血圧の生活習慣指導の中心は「減塩」とされている。日本高血圧学会も、「減塩」に力を入れており、減塩サミット・適塩フォーラムといったイベントや、学会推奨の減塩食品の開発を行っている。したがって、公衆衛生的な取り組みが、高血圧ならびに、高血圧に起因する心血管病の制圧に有効とされている。英国では、国家的に食品(主にパン)中の食塩を減らすことで、血圧の低下、心血管イベントの抑制に成功している。中国では、パンに代わり、主要な食塩源が卓上塩であることから、卓上塩をカリウム代用塩に置き換えることで、同様の効果が期待できる。

COVID-19へのレムデシビル、国際共同治験の中間報告:国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センター(NCGM)は5月29日(金)、メディア勉強会を行い、これまでのCOVID-19に関する取り組みや現在行う治療、研究開発について発表した。  このうち、NCGMセンター病院 国際感染症センター長の大曲 貴夫氏がレムデシビル(商品名:ベクルリー)のアダプティブCOVID-19治療治験(ACTT、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験)について中間解析結果を発表した。  対象患者の主な選択基準は以下のとおり。 ・PCRまたはその他の検査法でSARS-CoV-2 感染が確定された入院患者 ・成人男性または妊娠していない成人女性

トラスツズマブ デルクステカン、HER2変異陽性肺がんに有望な結果示す(DESTINY-Lung01)/ASCO2020

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、抗HER2抗体およびトポイソメラーゼI阻害薬の抗体薬物複合体である。 DESTINY-Lung01(NCT03505710)は、HER2過剰発現またはHER2遺伝子変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)におけるT-DXdの多施設共同マルチコホートの第II相試験で現在進行中である。 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、HER2変異患者に対する、追跡期間中央値8.0ヵ月の中間解析の結果が報告された。

ALK陽性肺がん1次治療におけるアレクチニブの5年OS(ALEX)/ASCO2020

 未治療の進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアレクチニブ(ALC)とクリゾチニブ(CRZ)の無作為化第III相ALEX研究から、5年間の全生存期間(OS)データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、Solange Peters氏より報告された。  主な結果は以下のとおり。 ・追跡期間中央値はALC群48.2ヵ月、CRZ群23.3ヵ月であった。 ・データカットオフ(2019年11月29日)時点で、ALC群のOS中央値は依然として未達、CRZ群では57.4ヵ月であった(層別化HR:0.67、95%CI:0.46〜0.98、p=0.0376)。 ・5年生存率は、ALC群62.5%に対し、CRZ群では45.5%であった。 ・他のALK~TKIへの後治療は、ALC群では38.1%、CRZ群では53.5%で発生した。ALC群では、おもにロルラチニブとクリゾチニブ、、CRZ群ではおもにセリチニブ、アレクチニブであった。 ・更新データでも新たな安全性シグナルは観察されなかった。

新型コロナ患者の退院基準、2回の陰性確認が不要に/厚労省

 5月29日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」において、退院に関する基準の改正通知が発出された。  改正後の通知で、感染症法第22条の「症状が消失したこと」とは、原則として次の(1)に該当する場合とされる。ただし、次(2)に該当する場合も差し支えない。

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブのアジュバント(ADAURA)/ASCO2020

 第3世代EGFR-TKIオシメルチニブによる、Stage IB〜IIIAEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の有効性と安全性を評価する第III相無作為化二重盲検比較試験ADAURAが行われた。この試験は、独立データ監視委員会の勧告に従い、有効性により早期に盲検解除されている。中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)において、米国・Roy Herbst氏が報告した。

ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法限定追加レジメン、肺がん1次治療でOS改善(CheckMate9LA)/ASCO2020

  PD-L1とCTLA-4阻害薬は補完的に働く。また、PD-L1阻害薬と化学療法の併用は複数の臨床研究で生存ベネフィットが示されている。非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、PD-L1阻害薬ニボルマブとCTLA-4阻害薬イピリムマブに2週間の限定化学療法を追加治療を評価する第III相非盲検無作為化試験CheckMate9LAの中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)でMartin Reck氏が発表した。

切除可能NSCLC、アテゾリズマブ+化学療法は新たな術前治療の選択肢/Lancet Oncol

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の新たな術前補助化学療法として、PD-L1阻害薬アテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した第II相試験の結果が示された。米国・コロンビア大学のCatherine A. Shu氏らによる多施設共同単群試験で、高い病理学的奏効率が得られ、忍容性も良好であったという。著者は「切除可能NSCLC患者にとってアテゾリズマブ+化学療法は、新たな補助化学療法となりうることが示された」と述べている。NSCLCの約25%は切除可能なStageIB~IIIAであり周術期化学療法が標準治療だが、この治療戦略は生存期間をわずかに改善するのみである。一方で免疫チェックポイント阻害薬が転移NSCLCに有効であることから、著者らは本検討を行った。Lancet Oncology誌オンライン版2020年5月7日号掲載の報告。

COVID-19の入院リスク、RAAS阻害薬 vs.他の降圧薬/Lancet

 スペイン・University Hospital Principe de AsturiasのFrancisco J de Abajo氏らは、マドリード市内の7つの病院で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の調査「MED-ACE2-COVID19研究」を行い、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬は他の降圧薬に比べ、致死的な患者や集中治療室(ICU)入室を含む入院を要する患者を増加させていないことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月14日号に掲載された。RAAS阻害薬が、COVID-19を重症化する可能性が懸念されているが、疫学的なエビデンスは示されていなかった。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、そのスパイクタンパク質の受容体としてアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を利用して細胞内に侵入し、複製する。RAAS阻害薬はACE2の発現を増加させるとする動物実験の報告があり、COVID-19の重症化を招く可能性が示唆されている。一方で、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)は、アンジオテンシンIIによる肺損傷を抑制する可能性があるため、予防手段または治療薬としての使用を提唱する研究者もいる。また、RAAS阻害薬は、高血圧や心不全、糖尿病の腎合併症などに広く使用されており、中止すると有害な影響をもたらす可能性があるため、学会や医薬品規制当局は、確実なエビデンスが得られるまでは中止しないよう勧告している。