呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:219

肺がん死亡率低下、NSCLCとSCLCで異なる傾向/NEJM

 米国の非小細胞肺がん(NSCLC)による住民レベルでみた死亡率は、2013年から2016年にかけて、性別や人種を問わず大幅に低下していることが、米国・国立がん研究所のNadia Howlader氏らによる検討で明らかにされた。低下に寄与しているのは診断後の生存率の大幅な改善によるもので、著者は、「治療の進歩による罹患率の低下、とくに同時期に承認された分子標的治療薬の使用が、観察された死亡率の低下に寄与しているであろうことが示唆される」と分析している。肺がんには、NSCLCや小細胞肺がん(SCLC)など異なるサブタイプがある。米国では肺がん全死亡率は低下しているが、住民レベルでみた肺がんのサブタイプ別の死亡傾向については、死亡届にサブタイプまでの情報は記載されないため不明だった。NEJM誌2020年8月13日号掲載の報告。

マスク・手袋などのPPEによる皮膚疾患をどう防ぐか

 COVID-19感染流行の長期化に伴い、フェイスマスク・手袋をはじめとした個人用防護服(PPE)の長期着用を要因とした医療者の皮膚疾患が報告されている。こうした皮膚疾患への対応と予防策について、Seemal R. Desai氏らがJournal of the American Academy of Dermatology誌のリサーチレターで提言している。  サージカルマスク・N95マスク・ゴーグル・フェイスシールドなどのPPEは、マスク表面やストラップの摩擦によって耳の後ろや鼻梁、あるいは顔全体に接触皮膚炎を引き起こす、という報告がある。

日本人COVID-19死亡例、80代と2型糖尿病併存で最多

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、自社診療データベースから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡事例を調査。その結果、2020年2月~5月までの期間の死亡者は110例(男性:77例 、女性:33例)で、年代別では80代が4割超を占めていることが明らかになった。また、併存疾患では2型糖尿病が最も多かった。  主な結果は以下のとおり。 ・年代別では、90代が17例(15.5%)、80代が48例(43.6%)、70代が33例(30%)、60代が7例(6.4%)、50代が5例(4.5%)だった。100歳以上と40代から下の年齢層はいなかった。

ぺムブロリズマブ+化学療法による小細胞肺がん1次治療、PFSを延長(KEYNOTE-604)/JCO

 未治療の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、初回治療としての抗PD-1抗体ペムブロリズマブと化学療法(エトポシド+プラチナ:EP)の併用療法について検討した第III相プラセボ対照二重盲検無作為化試験KEYNOTE-604において、ペムブロリズマブ+EPはプラセボ+EPと比較して、無増悪生存(PFS)を有意に延長したことが報告された。ペムブロリズマブ併用群で、想定外の毒性はみられなかったという。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのCharles M. Rudin氏らによる検討で、著者は「示されたデータは、ES-SCLCにおけるペムブロリズマブの有益性を支持するものである」と述べている。先行研究で、SCLC患者においてペムブロリズマブ単独療法が抗腫瘍活性を示したことが報告されていた。Journal of Clinical Oncology誌2020年7月20日号掲載の報告。

肺がん1次治療における抗PD-1抗体sintilimab+化学療法の成績(ORIENT-11)/WCLC2020

 新たな抗PD-1抗体sintilimabの非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)における有効性は、第Ib相試験で示された。この結果を基に、無作為化二重盲検第III相ORIENT-11試験が行われ、その初回解析の結果を中国・Sun Yat-Sen University Cancer Centreの Zhang Li氏が、世界肺癌学会WCLC2020Virtual Presidential Symposiumで発表した。

新型コロナ、無症状者のウイルス排出量と臨床経過

 無症状の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者の臨床経過とウイルス量に関する情報は少ない。今回、韓国・天安の地域治療センターに隔離されたSARS-CoV-2感染者のコホート研究で、感染者のウイルス排出を定量的に調べたところ、多くの感染者が長期間無症状で、無症状者のウイルス量は有症状者と同等であることが示唆された。報告した韓国・Soonchunhyang University Seoul HospitalのSeungjae Lee氏らは、この結果から「SARS-CoV-2の蔓延を防ぐために、無症状感染者の隔離が必要」としている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年8月6日号に掲載。

コロナ禍、がん診断の遅れで5年後がん死増加の恐れ/Lancet Oncol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、がん死に影響するとの報告が英国から寄せられた。同国ではCOVID-19のパンデミックにより2020年3月に全国的なロックダウンが導入されて以降、がん検診は中断、定期的な診断・診療も延期され、緊急性の高い症候性患者のみに対して診断・治療が行われているという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のCamille Maringe氏らは、診断の遅れが主ながん患者の生存率にどのような影響を及ぼすのかモデリング研究にて検討し、回避可能ながん死が相当数増加すると予想されることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「緊急の政策介入が必要である。とくに、COVID-19パンデミックのがん患者への影響を軽減するため、定期的な診断サービスの確保を管理する必要がある」とまとめている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。

COVID-19に有効な薬剤は?RCT23報のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者への薬物治療の有効性について比較検討したところ、グルココルチコイド投与は標準治療と比べて、死亡率および人工呼吸器リスクを減少する可能性が示されたという。カナダ・マックマスター大学のReed A. C. Siemieniuk氏らが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCOVID-19試験結果データベースを基に、システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行い明らかにした。なお、有症状期間を短縮する可能性がある薬物治療として、ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、ロピナビル・リトナビルが挙げられたが、著者は、「ほとんどの試験が小規模でエビデンスの質は低く、治療薬の有効性については確定できないままだ」と述べている。BMJ誌2020年7月30日号掲載の報告。

EGFR陽性肺がんに対する抗HER3ADC「U3-1402」とオシメルチニブ併用、臨床試験実施へ/第一三共

 第一三共は、2020年8月7日、U3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体)とEGFR‐TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)との併用療法を評価する臨床試験の実施に関する契約をアストラゼネカと締結したと発表。  本契約に基づき、同社は、EGFR遺伝子変異を有する進行および転移を有する非小細胞肺がん患者を対象とした、両剤併用のグローバル第I相臨床試験を実施する。  本試験は2つのパートからなり、パート1(用量漸増パート)では、同剤とオシメルチニブの異なる投与量の組み合わせによる安全性と忍容性を評価し、推奨用量を決定する。パート2(用量展開パート)では、両剤併用の推奨用量での有効性と安全性を評価する。

COVID-19罹患の精神疾患患者に対する推奨治療

 精神疾患患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のマネジメントでは、とくに薬物相互作用に関して、いくつかの課題がある。スペイン・バルセロナ大学のG. Anmella氏らは、COVID-19に罹患した精神疾患患者に関する代表的な3つのケースと、既知の文献およびコンサルテーション・リエゾン精神科の専門家チームの臨床経験に基づいた実践的なアプローチの報告を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年9月1日号の報告。