呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:220

術後肺合併症、有効な予防的介入とは/BMJ

 術後肺合併症(postoperative pulmonary complication:PPC)はよくみられる病態で、術後の合併症や死亡と関連する。英国・University College HospitalのPeter M. Odor氏らは、PPCに対する予防的介入戦略について検討し、術中の肺保護的換気や目標指向型血行動態療法の有効性を示唆する中等度の質のエビデンスはあるものの、質の高いエビデンスによって支持される介入法はないことを示した。研究の詳細は、BMJ誌2020年3月11日号に掲載された。PPCのリスクを低減するために、さまざまな介入が行われているが、実臨床での予防処置と、介入試験のアウトカムデータの不一致を示すエビデンスが報告されているという。

新型コロナ、エアロゾルで3時間生存可能/NEJM

 アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のNeeltje van Doremalen氏らは、エアロゾル(粒子径5μm未満)での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とコロナウイルス(SARS-CoV-1)の表面安定性について比較した結果、SARS-CoV-2はエアロゾル内で3時間、物質の表面上では2~3日生存できることを示唆した。NEJM誌オンライン版2020年3月17日号のCORRESPONDENCEに報告した。

COVID-19とインフルの重感染例/CDC

 呼吸器疾患に影響するウイルスが共検出される可能性は周知の事実である。今回、中国・中日友好医院のXiaojing Wu氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とA型インフルエンザウイルスに重感染した症例について報告。上気道の検体検査が偽陰性になる、または、ほかの呼吸器ウイルスとの重感染によって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が過少診断される可能性を示唆した。研究者らは「明らかな病因が特定された場合、とくに臨床マネジメントの決定に影響を及ぼす場合は、より広範なウイルス検査が必要になるかもしれない」としている。CDCのEMERGING INFECTIOUS DISEASES誌オンライン版2020年3月11日号のリサーチレターに報告された。

非扁平上皮NSCLC、ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療第III相試験アップデート(KEYNOTE-189)/JCO

 転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、ペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-189試験の結果が更新された。Journal of Clinical Oncology誌2020年3月9日号オンライン版掲載の報告。同試験の対象は、再発・転移のある無治療のStageIV非扁平上皮NSCLC患者616例。登録患者は、ペムブロリズマブ(3週ごと最大35サイクル)+化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセドの3週ごと4サイクル後、ペメトレキセド3週ごと)群410例とプラセボ+化学療法(ペムブロリズマブ併用群と同一用法・用量)群206例に無作為に割り付けられた。

COVID-19、ロピナビル・リトナビルで悪化例も/JAMA

 シンガポールでSARS-CoV-2感染が確認された最初の18例の臨床所見は、軽度の気道感染症が多く、一部の患者で酸素吸入を要し、抗レトロウイルス薬による治療の臨床転帰はさまざまであったという。シンガポール・国立感染症センター(NCID)のBarnaby Edward Young氏らが、同国SARS-CoV-2感染症例の最初の経験を報告した。SARS-CoV-2感染は2019年12月に中国湖北省武漢市で発生し、中国国外で持続的なヒトからヒトへの感染が世界的に広がっている。JAMA誌オンライン版2020年3月3日号掲載の報告。

がん10年生存率57.2%に、80%以上のがん種も/全がん協調査

 国立がん研究センターの研究班は3月17日、全国がんセンター協議会(以下、全がん協)加盟の全国32施設における、全がんおよび部位別の、がん生存率最新データを公表した。前回調査と比較して、全がんの5年相対生存率は0.5ポイント増の68.4%、10年相対生存率は0.8ポイント増の57.2%であった。現在、10年生存率の算出と公開を行っているのは同研究班によるもののみで、部位別生存率において相対生存率(がんによる死亡)のほか、実測生存率(全死亡)も提示していることが特徴。

小細胞肺がんの1次治療、アテゾリズマブ+化学療法の患者評価(IMpower133)/Ann Oncol

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)へのカルボプラチン+エトポシド(CP/ET)+抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用の1次治療に関する「IMpower133試験」の安全性および患者報告アウトカムの評価結果が、米国・メイヨー・クリニックのA.S. Mansfield氏らにより示された。アテゾリズマブ+CP/ETレジメンはプラセボ+CP/ETと安全性プロファイルが同様であり、患者報告の健康関連QOL(HRQoL)に重大な影響は与えないことが示された。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、ES-SCLC 1次治療としてのアテゾリズマブ+CP/ETのベネフィット・リスクプロファイルを明確に示すもので、同レジメンを新たな標準治療として支持することをさらに裏付けるものであった」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年2月号掲載の報告。

新型コロナ肺炎、その他の肺炎と比較した臨床的特徴

 新型コロナ(2019-nCoV)肺炎とその他の肺炎の臨床的特徴に関する比較研究が行われ、新型コロナ肺炎では肝機能障害の発生頻度が高く、またLDHおよびα-HBDHの値がマーカーとなる可能性が示唆された。中国・安徽医科大学のDahai Zhao氏らによる、Clinical Infectious Diseases誌オンライン版3月12日号掲載の報告。2020年1月23日から2月5日まで、中国・安徽省の2病院において、19例の新型コロナ肺炎患者と15例の非新型コロナ肺炎患者が登録された。1日おきに咽頭スワブまたは喀痰検体が採取され、リアルタイムRT-PCRにより2019-nCoV感染の有無が確認された。非新型コロナ肺炎患者については、入院後7日間での3回の連続的なリアルタイムRT-PCRで陰性だった場合に、確定された。

PCR検査を巡る不適切事例、内容と今後改善すべき点は/日本医師会

 3月18日の日本医師会定例会見において、「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査結果が報告された。釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)、横倉 義武氏(同会会長)が登壇し、調査結果を受けての今後の対策等について説明した。併せて、医療機関の現場で「職場から新型コロナウイルス陰性の証明をとってくるように言われた」という労働者の事例が発生していることに触れ、正しい情報の周知および医療機関と各都道府県の協働を求めた。

COVID-19治療薬スクリーニングのための原薬提供など、各社対応/製薬協

 日本製薬工業協会(製薬協)は3月18日、治療薬スクリーニングのための原薬提供など、会員各社の新型コロナウイルス感染対策への取り組み(3月10日時点の会員会社の開示情報)について発表した。会員各社は、厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品のスクリーニングに用いる原薬の提供依頼について」を受け、国立感染症研究所(感染研)における「新型コロナウイルス感染症の治療に用いる医薬品の基礎的なスクリーニング計画」に協力し、感染研での治療薬スクリーニングのために化合物原薬または関連論文を提供している。