呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:238

日本人アレルギー性喘息に対するダニ舌下免疫療法の安全性

 ダニアレルゲン舌下免疫療法(HDM SLIT)は、コントロール不良のアレルギー性喘息に対し、有効かつ安全であることが、これまでに欧州で確認されている。  今回、田中 明彦氏(昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科部門 講師)らは、日本人を対象に、最大19ヵ月にわたるHDM SLITの有効性と安全性を評価した。その結果、成人アレルギー性喘息患者において、HDM SLITは良好な安全性プロファイルを示した。The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2019年9月18日号に掲載。

PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法の有効性とTMBに関連性示されず/ESMO2019

 ペムブロリズマブ+プラチナベース化学療法は組織型、PD-L1発現の有無にかかわらず、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に生存ベネフィットをもたらす。また、腫瘍変異負荷はNSCLCを含む固形がんの潜在的バイオマーカーとして興味を持たれている。スペイン・Hospital Universitario Doce de OctubreのLuis Paz-Ares氏らは、KEYNOTE-021(コホートCおよびG)、-189、-407のNSCLC患者における組織腫瘍変異負荷(tTMB)とペムブロリズマブ+化学療法の効果との関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床学会(ESMO2019)で発表した。

PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ単剤治療の有効性とTMBに関連/ESMO2019

 PD-L1阻害薬単独およびCTLA-4阻害薬との併用において、組織腫瘍変異負荷(tTMB)がバイオマーカーとして活用できる可能性が示唆されている。しかし、高TMBレベルと生存の関係は前向きに検討されていない。米国・イェール大学のRoy S. Herbst氏らは、KEYNOTE-010およびKEYNOTE-042試験のTMB評価可能患者のサブセットにおける、tTMBと臨床アウトカムの関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。tTMBは全エクソンシーケンスにより決定され、事前に設定したカットポイントは175mut/exonである。

EMA承認の新規がん治療薬、重要研究の半数が高バイアスリスク/BMJ

 2014~16年の期間に欧州医薬品庁(EMA)によって承認された新規がん治療薬に関して、その承認の基盤を形成する重要研究の多くは無作為化対照比較試験であったが、約半数は試験デザインや解析法に基づくバイアスのリスクが高いことが、米国・ハーバード大学医学大学院のHuseyin Naci氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年9月18日号に掲載された。EMAによって承認された新規がん治療薬の多くは無作為化対照比較試験による検討が行われ、治療効果の評価で“gold standard”と見なされているが、その試験デザインの特性やバイアスのリスク、報告の適切性の評価は十分には行われていないという。

免疫チェックポイント阻害薬の効果、抗菌薬投与で減弱?

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を左右する興味深い知見が発表された。広域抗菌薬(ATB)療法によって引き起こされるディスバイオシスが、ICIの効果を減弱する可能性があるという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドン、ハマースミス病院のDavid J. Pinato氏らが、実臨床でICI治療を受ける患者を対象に前向き多施設コホート研究を行い、ICI投与前のATB投与により、全生存期間(OS)および奏効率が悪化したことを示した。著者は「ICI治療予後不良の決定要因として、ATBを介した腸内細菌叢の変化の解明が喫緊の課題である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月12日号掲載の報告。

成人気管支喘息の重度悪化予防療法について(解説:小林英夫氏)-1118

今回指定された論文は、成人気管支喘息発作時の治療法によって重症増悪予防効果に優劣があるかどうかを検討したものである。登録885例の軽症・中等症では、発作時にブデソニド/ホルモテロール配合薬の頓用吸入群が、低用量ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用吸入群に比べて、重度喘息増悪の予防効果に優れると報告している。本CLEAR! ジャーナル四天王では、845(2018年4月30日掲載)、1060(2019年6月11日掲載)、に続き3回目のSMART療法関連へのコメントとなる。SMARTに関しては上記845内で解説しているが、当初は否定的な意見があったものの約10年間の経験により、その非劣性効果はほぼ定まってきた。

福井大、臨床実習を「見える化」するシステムを開発・販売

 2019年9月、福井大学はICTを使った臨床実習の管理システムを開発、発売すると発表した。医学部の5、6年生が病院に出向いて行う臨床実習は、いまだに紙で管理されているケースが多い。結果として、電子カルテとの連携が限られる、管理や評価が煩雑、双方向コミュニケーションに限界がある、など多くの問題点が生じていた。  今回発表した「F.CESS(エフ・セス)」は福井大学が学内ベンチャーと共同で開発。実習スケジュール管理、実習用カルテの記載、評価、学生と教員のコミュニケーション、他科連携など、従来さまざまな手段で行われてきた臨床実習周りの機能を一元的に管理できるようにした。

インフルエンザ発症リスクは喫煙者で5倍超

 喫煙者は、非喫煙者と比較してインフルエンザの発症リスクが高い可能性が示唆された。英国・ノッティンガム大学のLawrence Hannah氏らは、喫煙とインフルエンザ感染との関連をシステマティックレビューで調査し、結果をThe Journal of infection誌2019年8月26日号に報告した。  研究グループは、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、LILACS、Web of Scienceのデータベースを、それぞれ創刊から2017年11月7日までの期間検索し、関連するランダム化比較試験、コホート研究および症例対照研究を特定した。臨床症状からインフルエンザを定義した研究6件と、検査でインフルエンザウイルスが確認された研究3件が対象とされた。

オピオイド誘発性便秘わが国の実態(OIC-J)/Cancer Medicine

 オピオイド誘発性便秘(OIC)は、オピオイド疼痛治療で頻繁にみられる副作用だが、その発生率は報告によりさまざまで、十分に確立されているとはいえない。この発生率のばらつきは、臨床試験および横断研究におけるOICの診断基準の複数があることも要因である。  近年、大腸疾患の基準であるRome IVがOICの基準に取り入れられた。そのような中、Rome IV基準を用いた日本人がん性疼痛患者におけるOICの発生率を検討した多施設共同前向き観察研究の結果がCancer Medicine誌8月号で発表された。