呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:241

PM濃度と死亡率の関連性が明らかに/NEJM

 世界24ヵ国652都市における粒子状物質(PM)(粒径10μm以下のPM10および2.5μm以下のPM2.5)の短期曝露が、1日当たりの全死因、心血管疾患および呼吸器疾患死亡率と独立して関連していることが明らかにされた。中国・復旦大学のCong Liu氏らが、天候または気候の死亡への影響を世界的に評価するために設立したMulti-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Networkによる研究結果で、「今回の結果は、地域・地方の研究で認められた死亡率とPM濃度との関連性についてのエビデンスを強固にするものである」とまとめている。短期間のPM曝露と1日死亡率との関連性を検証した研究は多いが、ほとんどが1都市あるいは1地域から得られたもので、大気汚染の時系列研究の結果を系統的に評価することは解析モデルの違いや出版バイアスにより困難とされていた。NEJM誌2019年8月22日号掲載の報告。

NSCLC免疫治療のバイオマーカーと生存期間の関係

 非小細胞肺がん(NSCLC)における免疫療法の役割や現在のバイオマーカーの臨床的関連について、興味深い知見が示された。中国・中山大学のYunfang Yu氏らは臨床試験計31件のメタ解析を行い、免疫療法はNSCLC患者の予後改善が期待できること、免疫療法の有効性を評価するバイオマーカーとしてはPD-L1発現と腫瘍遺伝子変異量(TMB)の併用が有用で、CD8+T細胞腫瘍浸潤リンパ球も加えることでさらに信頼性が高い予後予測が可能となることを示した。著者は、「これらを併用した予測値について、前向き大規模臨床試験で確認する必要がある」とまとめている。JAMA Network Open誌2019年7月号掲載の報告。

ゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果

 昨年発売された抗インフルエンザウイルス薬のバロキサビルは、臨床試験において、本剤に対する感受性が低下したPA/I38アミノ酸変異株の発現が報告されたことから、各国でその影響について検証が進められている。  2019年9月2日、塩野義製薬は、バロキサビルの特定使用成績調査におけるPA/I38アミノ酸変異株に関する結果を公表した。この内容は8月28日~9月1日にシンガポールで開催されたOptions X for the Control of Influenzaにて発表された。同学会では、1 歳以上12 歳未満の小児インフルエンザ患者に対するグローバル第III相試験、インフルエンザ発症抑制効果を検証した国内第III相試験の結果も報告された。

インフルエンザ増加傾向、例年比較で「かなり多い」~感染研

 国立感染症研究所が8月30日付でまとめた感染症週報(8月12~18日)によると、全国の指定された医療機関(定点)約5,000ヵ所から報告されたインフルエンザの報告数が3週連続で増加しており、過去5年の同時期(前週、当該週、後週)と比較して「かなり多い」数値だった。  全国総数では定点当たりで0.23(報告数:1,075)となり、都道府県別に見ると、沖縄県で突出して多く(定点当たり:12.26)、次いで愛媛県(同:0.38)、福島県(同:0.28)となっている。

既治療の非小細胞肺がんにおけるニボルマブの4年生存/Lancet Oncol

 ニボルマブは、第III相臨床のデータから、既治療の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ドセタキセルに対して客観的奏効率が高く、奏効期間が長く、全生存期間が長いことを示している。ニボルマブの長期的な利益と、 奏効状態とその後の生存に対する影響を評価することを目的としプール解析が行われた。Lancet Oncology誌2019年8月14日号オンライン版掲載の報告。  既治療のNSCLC患者におけるニボルマブの 生存転帰を評価するために、4つの臨床研究 (CheckMate 017、057、063、003) からデータを蓄積した。生存結果の決定にあたっては、 6ヵ月の奏効状態によるランドマーク解析を行った。

全国の医療施設、災害対策の実情はいかに!?

 地震大国の日本において、異常気象の常態化によるスコール、それに伴う洪水・土砂災害などが後を絶たない。このような災害時には、DMAT(災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チーム)と呼ばれる災害派遣医療チームにより医療支援が行われる場合がある。しかし、医療者一人ひとりが日頃から災害を意識し準備を行っていなければ、家族や患者、ましてや自らの命は救えないだろう。  そこで、ケアネットでは2019年7月に会員医師約200名を対象とし、「院内の災害対策」に関するアンケート調査を実施。医師たちの災害に対する意識や対策状況などの実態について、実情や意見を聞いた。

心血管リスク、禁煙後何年で低下するのか/JAMA

 ヘビースモーカー(20パック年以上喫煙)の心血管疾患(CVD)リスクは、禁煙後5年未満で、現喫煙者と比較して約4割減少するが、非喫煙者との比較では禁煙から5年以上を経過しても有意に高いままであることが示された。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのMeredith S. Duncan氏らが、フラミンガム心臓研究の被験者のデータを解析し明らかにしたもので、JAMA誌2019年8月20日号で発表した。禁煙後のCVDリスクの時間的経過は明らかになっていない。試算では元喫煙者のリスクは5年のみと考えられていた。

低線量CT肺がんスクリーニング、毎年と隔年の比較/Eur J Cancer

 2011年、米国のNLST試験では、低線量CT(LDCT)スクリーニングによる前/現喫煙者における肺がん死亡率の低下が示された。また、イタリアのMulticentric Italian Lung Detection(MILD)試験では、長期のLDCTスクリーニングが、肺がん死亡率を39%減少させることを示している。イタリア・Istituto Nazionale Dei TumoriのPastorino氏らは、MILD試験をさらに毎年と隔年のスクリーニングに分け、スクリーニング強度が10年後の全死亡および肺がん特異的死亡にもたらす影響を評価した。European Journal of Cancer誌2019年9月号掲載の報告。

日本の小中学生におけるインフル予防接種の有効性

 インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症予防や発症後の重症化の予防に一定の効果があるとされている。今回、東北大学の國吉 保孝氏らが、地域の小中学生における季節性不活化インフルエンザワクチン接種(IIV)の有効性について2シーズンで評価した結果が報告された。Human Vaccines & Immunotherapeutics誌オンライン版2019年8月19日号に掲載。  本研究は、公立小中学校の生徒における2012/13年および2014/15年シーズンのデータでの横断調査。調査地域における対象学年の全員にアンケートを配布し、得られた7,945人の回答を分析した。予防接種状況とインフルエンザ発症は、両親または保護者による自己申告式アンケートにより判断した。一般化線形混合モデルを用いて、学校および個人の共変量におけるクラスタリングを調整し、予防接種状況とインフルエンザ発症との関連についてオッズ比および95%信頼区間(CI)を計算した。